11-17/Dec/2022  #WhatsHappeningInMyanmar

2022年12月11日から12月17日までの1週間にミャンマーで起きたことです。

▼先週に引き続き、国際関係で、注目すべき動きがありました。国連総会は、NUG推薦の現大使をミャンマー代表として決定しました。米国は、ミャンマーの国民だけでなく、NUG、NUCC、CRPH、CDM、および同盟組織を支援するビルマ法修正案を可決しました。EUは、EU-ASEANサミットへの軍事政権代表の出席を認めず、NUG外相をブリュッセルに招待しました。他方、ロシア、中国などは、新たな戦闘用ヘリコプター、ジェット戦闘機を軍事政権に引き渡しました。

▼「全国停戦協定(NCA)」に署名した7つの民族武装組織が、軍事政権との和平交渉を行う交渉チームを結成しましたが、いまのところ軍事政権はこれを無視しています。なお、このグループに、有力な民族武装組織は加わっていません*)。

ザガイン地方域の村々へ、情報を遮断し、交通を遮断し、村を焼き討ちし、残虐な殺害や拷問を行い、恐怖を与えて抵抗勢力から村人を離反させようとして、軍事政権は空爆や重砲による砲撃を続けています。カレン州でも軍事政権は空爆・砲撃を行い、パープン郡区では4つのコメ倉に放火し、村民は日々の食糧を失ってしまいました。シャン州でも、軍事政権の空爆・砲撃が行われ、数千人の住民が避難しています。

▼バングラデシュの難民キャンプから船で脱出を図るロヒンギャが、2,000人を超えており、とくに先月から、故障して2週間以上漂流する船が相次ぎ、餓死者が出ています。彼らは、難民キャンプの治安悪化、食料・飲料水不足、故郷に戻れる展望を失うなどに直面しています。

*) 政権と会談することに同意したNCA署名組織は、シャン州復興評議会Restoration Council of Shan State、新モン州党New Mon State Party、民主カレン慈善軍Democratic Karen Benevolent Army、カレン国民同盟/カレン国民解放軍 -平和評議会Karen National Union/Karen National Liberation Army- Peace Council、ラフ民主同盟Lahu Democratic Union、パオ国民解放組織the Pa-O National Liberation Organisation、アラカン解放党Arakan Liberation Party。
カレン国民同盟the Karen National Union、チン国民戦線Chin National Front、全ビルマ学生防衛軍All Burma Student’s Defence Forceは NCA に署名したが、軍と戦っており、軍事政権に会うために代表者を派遣することはない。

目   次

国内情勢

◆ザガイン地域コーリン郡ワーヨンゴン村近くの路上で10日、頭を銃で撃ち抜かれた6人の若者男女の遺体が見つかった。うち3人は、25歳〜30歳の地元住民。残り3人の身元は分かっていない。

◆「全国停戦協定(NCA)」に署名した7つの民族武装組織(EAO)は、軍事政権の「国家安全保障と平和交渉委員会(NSPNC)」との非公式の和平交渉のためにグループを代表する交渉チームを結成。ミャンマーの軍事政権は、親政権の武装グループの和平交渉の呼びかけを無視する。

◆軍事評議会が、ロシア製の KA-27 ヘリコプターと SU-30 ジェット戦闘機を含む新しいヘリコプターと戦闘機を発表。

◆強硬派の仏教僧 Sayadaw U Wathawa は、サガイン地方域 Kanbalu 郡区で軍事政権の民兵に、地元の軍事政権に抵抗する武装勢力と戦うように指示した。

経済ビジネス

◆モーアウン海軍司令官を含むアウンタウン元第1工業相の息子3人の所有する大手財閥IGE社が、ロシアの協力のもとでの原子力発電所開発計画やロシアからの武器輸入に深く関与していることが分かった。ロシアへの原発建設協力にかかるMOU署名、原発視察、エネルギー関連フォーラムに同社の代表が出席した。

◆ヤンゴンの靴工場は、賃上げを求めてストライキを主導した 26 人の労働者を解雇した。台湾が所有するMyanmar Pou Chen Shoe Factoryは、アディダスやその他の有名ブランドの靴を生産している。

人道問題

◆先月23日にバングラデシュの難民キャンプを出発したロヒンギャ200人程を乗せたボートが故障。10日に渡りインドネシア海域のマラッカ海峡を漂流している。すでに食料、水が尽きているが、救助の手が及ばず大量に餓死者が出ることが懸念されている。すでに子どもが1人死亡している。

◆ザガイン地域ミャウン郡の18歳〜35歳の大学生、大卒者、農民を中心とする若者約50人が8月に人道支援団体Youths for Communityを結成。軍の焼き討ちで家を失った住民への食料支援を実施。自家農園で栽培した野菜等を避難民に届けているが、常に数千人の避難民がおり2割程度にしか支援が届いていない。

◆今年、船で危険な旅をするロヒンギャが劇的に増え2,000人に達している。2 週間以上海を漂流するボートが増えている。バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプの治安悪化、食糧不足等が原因。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆チン州境の町、ザガイン地域タムー市で、軍評議会と軍製民兵組織のピューソーティーが住民を拘束し刑法505条b項で起訴するケースが相次いでいる。7日に5人、8日に1人、9日に3人が拘束。いずれも職務を放棄することで軍に抵抗する市民的不服従運動CDM参加中だとの情報があるが詳細はわかっていない。

◆12日、ネーピードー刑務所の特別法廷で行われたアウンサンスーチー国家顧問のヘリコプターのリースや購入契約に関する「汚職容疑」に関する公判で、ヘンリー・ヴァンティーユ副大統領が証言台に立ち、国家顧問は契約にあたり所定の規則・手続きを守っていたと証言した

◆軍事政権は、13 日、シャン州Aungpan郡区で地元国民防衛隊 (PDF) のメンバー 11 人を逮捕したと主張している。(Chindwin News Agency, 2022年12月16日 20:06)

◆米ジャーナリスト保護協会CPJの年間報告書によれば、2022年中にミャンマーで投獄されたジャーナリストの数は最低でも42人にのぼる。昨年より12人増加。ジャーナリストの投獄件数が最も多い国は中国、イラン、ミャンマー。ミャンマーではクー後、ジャーナリスト151人が逮捕され3人が殺されている。

◆12月1日から3日にかけてネピドー連邦領Lel Way郡区で逮捕され尋問されたメンバーの男性 (19歳) が死亡したと、ネピドー人民防衛軍は14日発表した。家族は、彼が心臓発作で死亡したと告げられた。

◆軍事政権は、在職中に問題と戦おうとした元中央銀行職員Bo Bo Ngeに、汚職で懲役20年の有罪判決を下した。

◆軍事法廷は、Thingangyun Post mediaのチーフ編集者Ko Wai Linn Yuと編集者の Ma Htet Htetに対し、家宅捜索中に家に爆発物を所持していた疑いで、爆発物法5条でそれぞれ5年の判決を言い渡した。 Ma Htet Htet さんは 8 歳の娘がいる。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆ミャンマー軍は12月10日、KNU第5旅団があるカレン州Hpapun郡区の4つの米倉庫を焼き払った。地元住民によると、彼らは攻撃中に村を略奪した。 KNU 関係者は、11月からの空爆で10 軒以上の家が破壊されたと言う。村人には、もはや家族のための食料がなくなり、これは恐ろしい問題を生み出すだろう。

◆シャン州パラウン自治区ナムサン郡コンター村のタアン民族解放軍TNLA基地への空爆や重火器攻撃を軍が7日に開始。村の民家等が損壊。焼き討ちも。激しい戦闘に発展し現在も継続。住民約千人が避難。TNLA活動地域を含む少数民族地域への軍による空爆は、先月のアラカン軍AAとの停戦合意後に更に苛烈に。

◆ザガイン地方域でミャンマー国軍が次々と18の村を焼き打ちし、9日間で1,000戸以上が焼失し、避難民も多数。ザガイン地方域ではクーデター以降今年11月末までに、約2万7,500戸の家屋が焼失。同地域の国内避難民は60万人超に上るという。

◆カレン州西部のLer Doh郡区とHsa Hti 郡区で戦闘が続いており、ミャンマー軍のジェット機と迫撃砲によって民間人が殺害され、 過去 2 か月で 9 つ以上の村から 8,315 人以上の村人が避難した。

◆サガイン地方域の非公開の場所で100軒以上の家を焼き、2人の女性を生きたまま焼いた軍事政権軍の残虐行為を暴露する恐ろしくて悲惨なビデオは、戦争で荒廃した国で口コミで広がった。ビデオの女性は語った: 「生きたまま焼かれた2人の女性は、村から逃げることができず立ち往生した女性で、彼女らは軍事政権の非人道的な残虐行為に直面した。」

◆14日午前2時半、ザガイン地域サーリンジー郡シャンガイン村とタヤー村を軍が侵攻。収穫した稲や耕運機、民家を焼き変圧器を銃撃して破壊。レッパダウン銅山開発事業に携わる中国企業の中国人従業員の春節の帰省の動きが始まっており、この警護にあたる軍部隊が周辺13村を襲撃。住民1万2千人が避難。

◆ザガイン地域ディペーイン郡メーオー村に11日、軍が侵入。民家を焼き討ち。80棟が全焼。

平和的抗議・CDM

◆❝ 違法・偽の選挙、民の力で戦う❞ 専制政治を根絶するための努力に、日々参加している農村集団抗議デモ「အောင်လံလွှင့်မည် ရွှေရေကြည် (Shwe Ray Kyiは、勝利の旗を掲げる)」の現場。今日の公開デモを通じて、彼らは、テロ・クーデター・ファシスト軍事グループが強制的に実施する準備をしている「選挙」に対して明確な反対を表明した。(Tayzar San, 2022年12月16日 19:47)

武装抵抗・PDF・戦闘

◆ヤンゴン市フライン郡区インセイン通り所在の電力局(EPC)事務所前に拠点を構える軍部隊をEmerald Girls Army、Freeland Attack Force 等の都市ゲリラ組織が10日午後3:45に爆弾で攻撃。被害の程度は分かっていない。同日夜、フラインターヤー郡区の警察職員家族用官舎を都市ゲリラ組織が爆破。

◆16日、カレン州コーカレー郡区で 2 つの激しい戦闘があり、KNUとその同盟軍が勝利を収めた。

国際関係

◆10日の「世界人権デー」に、東京でも在日ミャンマー人ら約400人が人権の重み訴えてデモ行進。

◆米国は、12月中旬に帰任するトーマス L. ヴァイダ現大使に代わる正式な大使を派遣せず、外交関係を「格下げ」する。大使信任の場合は軍事政権に信任状を提出する必要があり、これは軍事政権を認めることになってしまう。

◆国連総会資格委員会は、ビルマの国連常駐代表として、チョウ モー トゥン大使の地位を更新し、軍事政権が選んだ指名者の承認を拒否した。国連総会は 16 日、国連でアフガニスタンとリビアを代表する権利に関する決定を延期し、現在の大使のみを割り当て続けることを決定した。(People’s Spring, 2022年12月17日 19:17)

◆2021 年 2 月の軍事クーデターの際にヤンゴンから逃れたミャンマー人の女性作家Ei Pencilo (31 歳 )は、ビルマでの逮捕を回避し、最終的に米国にたどり着くまでを記録した回顧録「Burma Spring Revolution: 100 Days of Darkness」を韓国で出版した。

◆ドゥワラシラ大統領代行の声明(2022 年 12 月 16 日)。「ビルマの軍事的責任の厳格化」法の修正案を含む米国国防権限法(2023 NDAA)が可決された。 バイデン大統領がすぐに署名して法律を制定することを期待する。この重要な法律は、民主主義、人権、正義のための軍事政権との闘いにおいて、ミャンマーの国民だけでなく、NUG、NUCC、CRPH、CDM、および同盟組織を支援する米国の政策を明確に定めている。(National Unity Government of Myanmar, 2022年12月16日 13:38)

◆EUが、EU-ASEANサミット中にNUG外相をブリュッセルに招待、EU当局者とミャンマーの問題について話し合う。NUG 外相の Daw Zin Ma Aung は、12 月 16 日にベルギーでEU外務省の事務総長と会談した。 ミャンマー問題はブリュッセルで議論された。会議では、軍事評議会とその家族・関係者に対して経済制裁を含め、EUが効果的な行動を取り続けることに適用できる法律、協力できる問題について話し合う。軍事評議会は、EU-ASEAN サミットへの出席を許可されなかった。(People’s Spring, 2022年12月17日 02:37)

◆19日(月)に、バンコクの在タイ国ミャンマー大使館前で国際移民労働者デーに合わせたミャンマー人による抗議集会が行われる見込み。在タイ日本大使館が注意喚起。

◆国連人権担当、ミャンマーとウクライナに対する国際社会の対応が異なり、二重基準だと非難。

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