11-26/JUL/2025 #WhatsHappeningInMyanmar

2025年7月11日から7月26日の2週間にミャンマーで起きたことです。

①激化する民間人被害
軍事政権はザガインやマンダレーなどで空爆・砲撃を激化させ、国内避難民が身を寄せる僧院や医療施設まで標的にしている。子どもを含む民間人の犠牲者が急増し、村の焼き討ちで大規模な避難民も発生。

②戦闘状況
シャン州ナウンチョやラカイン州チャウピューなど戦略的要衝で、軍事政権軍と抵抗勢力との激しい攻防が続く。政権軍は一部で優位に立つが、抵抗勢力も応戦。兵士の脱走や投降も相次ぎ、政権軍の士気低下がうかがえる。

③深刻化する人道・人権危機
クーデター後の死者は7,000人を超え、政治犯の拷問死も報告された。医療制度の崩壊でワクチン由来ポリオ感染が発生し、国際NGOの支援撤退で難民キャンプは医療崩壊の危機にある。食糧危機やロヒンギャへの意図的な飢餓も深刻化。

④国際社会の動向
ASEANは軍事政権主導の選挙を否定するが、実効的な打開策は見いだせていない。米国は追加制裁法案を承認する一方、一部制裁を解除するなど政策に揺らぎも見られる。軍事政権はトランプ米大統領に接近を図っている。

⑤その他の動き
軍事政権は、高官の汚職や国防省からの大規模な機密情報漏洩で、内部の統制の乱れを露呈。
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●詳しい日誌、出典は、下記をご覧ください。
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目   次

国内情勢

◆ミャンマーで3歳少女がワクチン由来ポリオに感染した。クーデター後の内戦で医療制度が崩壊し、ワクチン接種率が大幅に低下したことが原因。紛争地での発生のため感染追跡は困難で、未発見の症例による感染拡大も懸念される。医療の分断が深刻な公衆衛生危機を招いている。

◆8日、アラカン軍(ULA/AA)、ミャンマー民族民主同盟軍(MNTJP/MNDAA)、パラウン州解放戦線(PSLF/TNLA)の三同胞同盟が3か月にわたり建設を進めてきた62床の公立病院が、いままで病院がなかったシャン州北ムセ郡区の105 – Mileに開院した。

◆ミャンマー国軍、トランプ氏を「愛国者」と称讃する関税巡り異例の書簡:ミンアウンフラインは書簡で、2020年の米大統領選で「不正」を訴えたトランプに、同年のミャンマー総選挙での自身の境遇を重ね、理解を示す姿勢を見せた。

◆軍事政権の指導者ミンアウンフラインは10日、事実に基づいた報道で長らく悩みの種となっていた米国出資の放送局の放送停止をトランプ米大統領が決定したことに、感謝の意を表した。

◆7月11日、ヤンゴンでベトナム大使館は国際電気通信合弁会社(Mytel)と連携し、Viettelグループの専門家であるNguyen Thai Ha Trang氏を招き、オンライン形式でデジタル変革の問題について紹介した。

◆ヤンゴンの北オッカラパ郡区で、11日に「Yangon Army」を名のる集団が連邦団結発展党(USDP)事務所を手榴弾2発で襲撃後、20代の若者2人が地元当局に逮捕された。彼らは、 USDPの選挙準備活動を阻止するために襲撃したと主張している。攻撃による死傷者数は不明。

◆11日、シャン州南部Mawkmai郡区の連邦団結発展党(USDP)議長で、2010~20年連邦議会議員を務めたサイナウンサイ氏(62歳)が、自宅敷地内で正体不明の武装集団に殺害された

在韓国の軍事評議会大使館職員ニンウーラインは、ザガイン地震への義援金、ビザ・領事業務、在韓国ミャンマー人労働者からの税金やパスポート更新料など70万ドル以上の横領容疑で、4月3日にネピドーに召還・逮捕された。タンシン大使も共犯だった可能性がある。

◆軍事評議会が「総選挙」で導入する約5万5千台のミャンマー電子投票(MEVM)の使用方法に関する郡レベル上級研修コースに参加した教師数名が、この投票機は投票所長と区・村選挙管理委員会の同意があれば投票結果を即座に書き換えられる可能性があり、証拠は残らないと述べた。

◆【アウンサン将軍演説ビデオ】アウンサン将軍が1947年、英国に対して「ビルマの自由と独立を求める」英語での演説ビデオ。7月19日、東南アジアのこの国は、1947年にヤンゴンで将軍と彼の8人の同僚が暗殺された殉教者記念日の78周年を迎える。

◆17日、軍事政権の国防省から3万7千件以上のファイルを含む画期的なデータ群が漏洩し、膨大な機密情報、秘密命令、大学や国防省高官職への応募書類などが明らかになった。これらは2025年7月16日までのデータがだが、最も重要な情報は2025年5月までのデータにしか含まれていない。

◆漏洩文書によると、タニンダーリ地方域ベイ市に駐留する軍事政権軍第918軽歩兵工兵大隊において、32名もの兵士が任務を放棄し脱走したことが明らかになった。大隊指揮官は、ネピドー当局に兵士の脱走を報告しないことで、大隊の資金を全額確保しようとしていたとみられる。

経済ビジネス

ロシアと軍評議会がダウェー経済特区に660メガワットの発電が可能になる石炭火力発電所を建設することで合意

地震の被害により、ミャンマーの経済は2.5パーセント縮小すると世界銀行。今年4月までのインフレ率は34.1%。 2024年の貧困率はミャンマーの総人口の31%だった。紛争と震災に引き続き直面する今年の貧困率はさらに上昇する見通し。

メコン川のヒ素汚染、ミャンマー鉱山が原因

レアアース豊富なミャンマー、反政府軍が生産を本格化し、すでに世界に流通。昨年10月18日カチン独立軍(KIA)は、中国との国境にあるカチン州パンワを攻略した。ミャンマーは米国・中国に次ぐ世界第3位のレアアース供給国で、レアアース鉱山の大半はパンワ周辺に点在している。

ミャンマー人出稼ぎを軍政が制限。日本企業、人材新市場にリスク。

◆ミャンマー地震まもなく4か月、がれき山積み生活再建見通し立たず…それでも続く空爆・武力衝突。

人道問題

タイ・ミャンマー国境沿いの難民に人道支援を続けてきた国際救援委員会(IRC)は、7月31日に活動を終了する。その結果、2つのカレンニー難民キャンプの医療従事者の数はさらに減少する可能性があり、医療サービスは停止される見込み。トランプ米大統領の1月の大統領令により資金援助の停止に直面した。

◆11日午前1時頃、ザガインで虐殺:ミャンマー軍はザガイン市リン・タ・ルー村の僧院を空爆し、子どもを含む民間人28人が死亡した。僧院内には、避難民たちがいた。

AAPPによると、11日の軍事政権軍による、ザガイン地方域ザガイン郡区リンタール村にある国内避難民(IDP)が避難していたティサワディ僧院への空爆で、少なくとも民間人30人(バガン・トゥ村13人、チョー・ザイ・ヤール村9人、そして身元調査中の8人)が死亡した。

◆8~11日の4日間で、軍事政権の空爆・砲撃により民間人が少なくとも37人(その後の調べで、少なくとも47人)が殺害された。8日、タニンダーリ地方域で重火器により家族4人死亡、 同日、マンダレー地方域の空爆で民間人3人死亡、 9日、別の空爆で子供2人死亡、 同日、カヤー州の空爆で住民5人死亡、 ザガイン地方域で、 10日砲撃により民間人2人死亡、 11日僧院への空爆で約20人死亡、 同日空爆で民間人1人死亡。

◆ミャンマー北部ザガイン。大地震から3か月。市民の暮らしは限界を迎えている。高温と逃げ場のない湿度。水が飲めず、脳梗塞で倒れた30代の男性の自宅を訪ねた。足が動かず寝たきりになった。3人の子供と妻が見守る。往診を続ける林医師は「理学療法士の力が必要だ」として支援を求め東奔西走している。

◆14日、軍事政権空軍はマンダレー地方域タベイキン郡区ポエザンウェ村を空爆し、子供5人を含む民間人6人が死亡した。タベイキンは、昨年8月にPDFとその同盟抵抗勢力の支配下に入り、軍事政権は3月、奪還のための反撃を開始した。

◆ミャンマー空軍が17日、ザガイン地方域Wetlet郡区東部のの3つの村を空爆し、少なくとも20人の民間人が死亡、負傷者は不明である。負傷した民間人の一部が重体であるため、死者数はさらに増加する可能性がある。戦闘は行われていなかった。

◆ミャンマークーデター軍が地方の村を焼き払い、ミャンマー全土の避難民達は食糧危機に瀕している。 義務教育すら受ける機会を奪われた戦災孤児の将来には不安しか無い。 こうした情報は英語かタイ語で頻繁に報じられている。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆マンダレー地方域ミンジャン郡区出身のPDF隊員4人が、17日に殺害された。彼らは、軍事政権軍がミャンマー中央部にあるPDF基地を襲撃したとき逮捕されたとみられる。PDF隊員4人は生きたまま拘束され、その後、背中を銃撃されて処刑されたという。

◆21日、カレン州パアン刑務所で刑務所職員が政治犯コー・アウンナインソー氏を、監房の施錠時間中に起きた受刑者同士の口論と喧嘩に関わったという名目で外へ連れ出して殴打、その傷が原因で氏は死亡した。軍事評議会は、氏が心臓発作で死亡したと虚偽の主張をしている。

◆AAPPが確認した25日までの集計によると、2021年クーデター以降、軍事政権に殺害された人数は7,000人に達した。2万9,437人が逮捕され、依然2万2,211人が拘束されている。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆タアン民族解放軍(TNLA)は10日、マンダレー地方域モゴック郡区パンマティエク村で軍事評議会のジェット戦闘機による爆撃があり、子ども2人が死亡、8人が負傷したと発表した。

◆8日以降、軍事政権軍約150人が、ユネスコ世界遺産バガンがあるマンダレー地方域ニャンウー郡区の村々を焼き払っていおり、約30の村の2万人以上の住民が避難を余儀なくされた。地元住民は、他の村人たちが自分たちに食料を供給してくれたが、近所の人たちは森に隠れていたと述べた。

◆25日、軍事評議会はマンダレー地方域Natogyi郡区Myetshu村の国内避難民が住む僧院を標的にドローンから爆弾を投下し、子ども4人を含む民間人6人を殺害した。

◆26日夜、軍事評議会の航空機がマグウェ地方域Pauk郡区Sahpe村の農村医療センターを標的に激しい爆撃を行い、民間人1名が死亡を殺害、僧侶1名が負傷し、家屋数棟に損害を与えた。

◆26日、軍事政権の軍用機がタニンダーリ地方域パラウ郡区パラ町に爆弾を投下し、僧院と数軒の家屋を破壊し、僧侶1人殺害、もう1人に重傷を負わせた。

◆26日、軍事評議会のジェット戦闘機がTNLAが支配するマンダレー地方域モゴック町のゴールデンバタフライホテルを爆撃し、2名が死亡、3名が負傷し、敷地内の建物もいくつか破壊された。

武装抵抗・PDF・戦闘

◆住民や地元軍筋によると、軍事評議会の部隊は13日、TNLAが支配する北シャン州ナウンチョ郡区郊外に到達し、軍による奪還間近となっている。中緬国境の重要な交易路に位置するナウンチョは2024年7月10日、1027作戦中にTNLAとその同盟軍が占領した。

◆北シャン州ナウンチョの攻勢では軍事評議会が軍事的な優位を確保しているが、強制的に徴兵・訓練された新兵の一部が革命勢力のもとへ投降してきていると、チャウメー県特別攻撃部隊とダヌー人民解放軍(DPLA)は述べた。

◆【ビデオ】Chinland Defense Force-Asho が公開した、ザガイン地方域で捕虜にした軍事政権兵士の扱いを詳細に記録したビデオ。これらの兵士が敬意を持って扱われ、食事のときには、食べ物を供給し彼らを支えてくれる地元住民を敬う誓いを暗唱させられていたことが明らかにされている。

TNLAは、支配する北シャン州ナウンチョを軍事政権軍に制圧され、撤退した。

◆軍事政権は北シャン州のナウンチョ町を制圧したと主張しているが、TNLAは16日、この主張を断固として否定している。TNLAは激戦が続いていることを強調し、住民にIDPキャンプに避難するよう呼びかけている。

◆中国にとって最重要な巨大プロジェクトの拠点であるラカイン州チャウピュー郡区にある軍事政権ダニャワディ海軍基地からわずか3kmしか離れていない軍事前哨基地をめぐって戦闘が激化している。

16日、軍事政権軍は、ナウンチョ町をTNLAから奪還することに成功した。Telegramで拡散された画像が示している。TNLAはメディアによる同町喪失の報道を否定していない。最近KIAとの緊張を激化させているTNLAは、再奪還の効果的な取り組みを展開する上で大きな困難に直面している。

◆ラカイン州チャウピュー郡区における政権軍とAAの戦闘は、7月10日から11日間の休止を経て、政権軍が21日、AAに対する報復として空爆と砲撃を開始し、攻勢を再開した。AAは、中国からの投資プロジェクトが複数あるチャウピューの深海港周辺のほぼ全域を支配していると主張している。

◆【ビデオ】マンダレーPDFや他の抵抗勢力は、カチン州バモーに向かって、援軍と武器を積んでイラワジ川をさかのぼる軍事政権の船団に対し、川沿いの全域――マダヤー、シングー、タベイキンの各郡区で大規模な待ち伏せ攻撃を行う奇襲作戦を遂行し、補給船を沈没させた。

◆【ビデオ】マンダレー地方域Ngazun郡区 Kungle村で、軍事政権軍とピュー・ソー・ティーが民家への残忍な放火攻撃を仕掛けたが、11 Brother Revolution Forceが率いる地元PDFは勇敢に反撃し、これら侵略者を村から撤退させた。

◆25日、政権軍は、カレン抵抗勢力に対する数ヶ月に及ぶ反撃の後、カレン州Kyonedoe‐コーカレイ間、アジアハイウェイ24kmの区間を奪還したと報告した。

国際関係

ジンマーアウンNUG外相はASEAN会議(8~11日クアラルンプールで開催)を前に、6日付でASEAN首脳に、ミャンマーへの人道支援優先、軍事評議会による偽の選挙はASEAN五原則に反しており拒否すること、ASEAN常任特使の任命を支持することを求める書簡を送付した。

ASEANはミャンマーの選挙は優先事項ではないことで合意し、2021年2月1日のクーデターで権力を掌握した軍事政権に対し、代わりに平和へのコミットメントを遵守するよう求めている、とマレーシアが11日発表した。

◆中国、ミャンマー拠点の犯罪組織捜査で5万7000人あまり拘束。

◆10年以上タイで合法的に働いていたミャンマー人出稼ぎ労働者のKo Phyo PaingとKo Naing Naing Soeは、軍事政権指導者のタイ訪問前夜、シャングリラホテルの外で抗議デモが行われる前に逮捕された。3カ月が経過した今もなお、2人はバンコクの入国管理局収容センターに拘留されている。

ミャンマー特別諮問委員会(SAC-M)は新たな報告書の中で、軍事政権が自国民に向けて使用する爆弾の設計と製造材料を中国企業が提供していることに対し、国際社会が行動を起こすよう求めている。

◆ルビオ米国務長官が自国の外交官に、、外国の選挙の公平性を巡りコメントすることを禁止。ミャンマー軍政はこれを歓迎。

◆22日、米下院委員会は既存の米国制裁に加え、軍事評議会を標的としたミャンマー関連法案3法案――「新たなビルマ資金禁止法案」 (H.R. 4423)、「BRAVEビルマ法案」(H.R. 3190)、「ビルマ・ジェノサイド責任追及・保護法案」(ビルマGAP法案、H.R. 4140)を承認した。

米国、ミャンマー軍政側近への制裁を解除、これに対し人権団体は懸念表明。 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は「極めて憂慮すべき事態だ」とし、ミャンマー軍政に対する米国の政策が大きく転換している可能性があるとの見方を示した。

◆ミャンマーから逃れた少年と父親、関空で入国拒まれて入管施設に収容された。

その他

◆スーチー氏邸、競売にかけられるも入札不調。ミャンマー民主化の象徴、政変で思惑が交錯:競売は2024年3月に1回目を実施。8月と2025年2月にも行われたものの、いずれも不成立に終わった。2025年4月29日に行われた4回目の入札も不成立だった。

◆6月のミャンマー・ロヒンギャ組織UKの報告書「飢餓による死:ロヒンギャ虐殺の最新の段階」は、飢餓の意図的な使用を明らかにしている。 ロヒンギャは逃げることも、漁をするのも、働くことも許されていない。飢餓は戦争の副次的な結果ではなく、戦略なのだ

◆国境地帯で見たミャンマー避難民支援活動。アメリカ政府の援助が途切れ、苦境に陥る医療。日本がつなぐ教育支援。

11-26/JUL/2025 #WhatsHappeningInMyanmar

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