独裁政権は必ず崩壊する:タイザーサン氏の確信

写真は、2021年4月19日にタイザーサン氏自身のSNSに投稿された写真です。

反クーデターの街頭デモを最初に組織したタイザーサン氏 (Dr. Tayzar San)

タイザーサン氏は、2021年2月1日に起きた軍事クーデターから3日後の2月4日、全国に先駆け、マンダレーでクーデターに反対する街頭行動を組織したリーダーです。当時32歳の医師でした。
街頭での抗議行動は、翌5日にヤンゴン、翌々6日にモンユワでも始まり、7日にはミャンマー全土へ広がっていきました。

軍事政権はタイザーサン氏を賞金付きで指名手配

軍事政権は2021年4月19日にタイザーサン氏に対し逮捕状を発行し、1,000 万チャット (7,000 米ドル) の懸賞金を出しました。
軍事政権の最重要指名手配者であるにもかかわらずタイザーサン氏は国内に潜伏しながら、SNSで、軍事政権へ鋭い批判を行い、国民の戦いへの励ましを投稿しています。

2021年6月8日、「自由は、タダではもらえない。」

クーデターが起きた年の最後の日に、決意と希望を投稿しました。

2021年12月31日、「連邦民主主義の新年を!!!」

2022年4月21日、「国のために軍が役立ったことは、まったくない」

タイザーサン氏は、全国の戦いの現場を旅した

タイザーサン氏は、全国を徒歩で、あるいは自転車やオートバイに乗り、水路を伝わり、あるいは象に乗って旅しながら、CDMや地元のPDFを励ましてきました
軍事政権が「4カット」作戦を展開している地域を旅しているのでしょう。

2022年6月15日、「私は元気、安全安全です。」

「テロリスト軍によってインターネットが遮断された地域に私が旅行しているので、最近オフラインになっていたのです。
大事なことは、クーデターへの怒りと春の革命への情熱を失わないこと、臆病になって革命を諦めないことで、ともに戦いつづけることです。
革命は成功しなければならない。」

2022 年8 月 29 日の “The Irrawaddy” に掲載されたタイザーサン氏へのインタビュー「Myanmar’s Military Regime Cannot Withstand the Revolution (ミャンマーの軍事政権は革命に耐えられない)」(以下、インタビュー) では、彼がこの旅から学んだことが詳しく語られています

以下、このインタビューおよび彼自身によるツイッター投稿を紹介しながら、ミャンマーの現状と人々の状況、展望について考えてみます。

タイザーサン氏が確信したこと

インタビューでは、「簡単に言うと、この革命が確実に成功するという確信がより強くなった人々は間違いなくこの戦いに勝つだろう。軍事政権は、肉体的にも精神的にも、この革命に耐えることができない」と述べています。
ツイッターでも、以下のように投稿しています。

2022年8月23日、「バイク日記」

「今回の遠征で学んだことを総括すると、絶対に勝てる試合だという確信です。
奴らが我々の革命に勝つということは、物理的にも精神的にもまったく無理なことです。」

国民の置かれた状況

タイザーサン氏が見たミャンマーは、理由もなく村を焼き払い、理由もなく民間人に爆弾を投下し銃を発砲する軍事政権に対して、失うものは何もなく、革命に身を投じるほかはない人々の姿でした。
そして、軍事政権の行為が残酷であるほど、人々がより革命的になるということでした。

7月26日、「悲しみから革命の実践へ」

「私たちの悲しみ、怒り、恨みを「革命の思考」に変えましょう。革命をこれまで以上に加速して、軍の檻からもがきましょう。
ファシスト軍を根絶する。
クーデターへの怒りと春の革命への情熱を失うことは許されない。」

タイザーサン氏は、極度の困難に直面している国民の生活について述べます。
軍事政権は、「4 つのカット」戦略を採用し、住民への食料・医薬品・燃料の供給を絶ち、インターネットへのアクセスも遮断しました。
さらに、通貨チャットの価値の下落、インフレの高進は、農家や低所得世帯に大変な苦労を強いています。
軍事政権の攻撃で失うものがもう何もない彼らは、その場しのぎの避難所や木の下に住み、持っているもので間に合わせます。

国際社会へ人道支援を訴える

タイザーサン氏は、何百万人もの人々が人道支援を必要としていることを国際社会に訴えます。
彼らには避難所も、食べ物も薬もありません。
ミャンマー中部、カレン州、シャン州北部、タニンダーリ地方域での戦闘によって何百万人もの人々が影響を受け、お腹をすかせています。

地方では、革命の巨大な波が席巻して、日に日に勢いを増している

ミャンマーの総人口の70%は、農村部の人口です。
全国には300を超える郡区があり、各郡区には 100 から 200 の村 (集落) があります。
今日、NUG が率いる革命勢力は、すべての農村地域を支配するほど強力です。
タイザーサン氏が現在住んでいる地域は広大で、この地域の学校の80~90%は、地域のNUGが主導する理事会によって開設されているそうです。
一方、軍事政権が運営する学校は、 1つの郡区でだけ開校されています。
タイザーサン氏は、ヤンゴンやマンダレー、あるいは軍事政権が支配するメディアを見るだけで状況を判断してはいけないと指摘します。
地上では、革命の巨大な波が地方を席巻し、日に日に勢いを増しているのです。

革命が成功するには、全員が立ち上がらなければならない

タイザーサン氏が会った、極度の困難に直面している人たちは、落ち込んでいません。
それとは反対に、革命のために戦いたいという願望にとらわれています
彼らは、自分の命を必要なときには犠牲にすると決めていて、もはや悲しみやショックを感じていません
彼らは、軍事独裁を最短時間で終わらせる方法について考えています

タイザーサン氏は、村の様子を語っています。

15 歳のティーンエイジャーが高齢者と一緒に革命に参加していることは励みになります。村のほとんどすべての若者が何らかの形で革命に参加しています。戦闘に参加しなくても、兵站や避難民の支援に参加しています。
また、保護者は子供たちを地元のPDFグループのところに連れて行きます。幼稚園から入学までの中間学校が開校され、子供たちは授業を受けています。
武装革命に参加できない人の中には、ボランティアの教師として働いている人もいます。

2022年7月5日、「 . . この偉大な革命は、皆さんと私たち国民のものです。」

「この革命は自分たちがやらなければいけない革命だと思って、さまざまな分野からそれぞれ参加してください。
この革命が失敗すれば、すべての子孫が共に苦しむでしょう。成功させるには、全員が立ち上がらなければなりません。」

タイザーサン氏は強調します。
他の地域の人々が同様の考えを持っているなら、私たちの革命は成功するのにそれほど時間はかかりません. この試練を一刻も早く終わらせたいのであれば、全員が革命に参加することが重要です。

革命勢力への提案、NUGに求めること

革命勢力への提案

NUGは2021年5月5日、ミャンマー国内の少数民族武装勢力と交渉して「国民防衛隊 (PDF)」を創設したとの声明を発表しました。
ミャンマーの抵抗勢力は、革命の必要性から一晩で確立されたのです。彼らは、数か月の軍事訓練の後に PDF に参加した民間人で構成されています。
創設当初、国民防衛隊は、南部地域軍事本部、北部地域軍事本部、中央軍事本部、東部地域軍事本部と西部地域軍事本部で構成され、2021年7月6日には南部地域軍事本部で5回目の軍事訓練卒業式が行われました。
PDFには軍事政権の攻撃から国民を守るための満足な武器・弾薬はなく、タイザーサン氏は、現在でもすべてのPDFグループが武器と弾薬が必要だと言っている、と紹介しています。
氏は、NUGには財政上の制約があるので、抵抗運動に資金を提供するための寄付を広く訴えています。

体系的かつ迅速な指揮系統が必要

タイザーサン氏は、PDFの指揮命令系統は体系的ではなく改善の余地がまだあること、彼らがまだ民間人の行動様式を取り除くことができていないことを指摘し、2つの課題を提案しています。
ひとつは、最も基本的なユニットから、小隊、中隊、大隊レベル、NUG の国防省に至るまでの、体系的かつ迅速な指揮系統の必要性です。
もうひとつは、村、郡区、県、州・地方域レベルの PDF が、行政当局、郡区資源管理委員会、郡区保健委員会、郡区教育委員会などの行政官と団結する必要性です。

行動規範、規則・規制の遵守が必要

タイザーサン氏は、もうひとつの重要な提案をしています。

それは、PDF メンバーは兵士の行動規範に従わなければならないこと、行政官も規則や規制に従わなければならないことです。
彼らの武器は、国民の生命と財産を守るためだけに使用されるべきで、これは重要です。

NUGに求め、期待すること

タイザーサン氏は、NUGを次のように評価しています。

  • 私を含むすべての人々は、NUG を私たちの政府と見なしています。
  • 私たちはNUGに大きな期待を寄せており、大きく依存しています。
  • 私たちは NUG を信頼しています。
  • NUG が様々な課題を抱えながらも頑張っていることは理解しており、さらに期待しています。

そのうえで、氏はNUG に、資金、武器、弾薬を必要としているPDF とレジスタンス グループが効果的に機能するようにするための実際的な措置を講じることを期待しています。
また、NUG が避難民のために国際社会からの支援を求めるよう、強く求めています。私たちの国では今、何百万人もの人々が飢えています。彼らは避難所と薬を必要としています。

独裁政権は確実に崩壊する。鍵は国民にある。

タイザーサン氏は、春の革命の最も重要な部分を、個人的には「革命の人々」だと言います。
なぜなら春の革命は、国民の革命だからです。この革命は NUG にも国民民主連盟 (NLD) にも属していないし、PDF にも属しません。これは国民のための国民の革命です。

銃によるクーデターで不法に占拠した政権に対して人々が起こした反乱は、個人的な戦いではなく、赤軍[NLD]と緑軍[ミャンマー軍]の二者の戦いでもありません。
この春の革命で中部の地方は軍隊と激しく戦っています。ミャンマー軍は伝統的にビルマ族が支配しているにもかかわらず、ビルマ族自身が政権に対して激しく戦っています

ミャンマー軍は、根を失った木にたとえることができます。どんなに大きくなっても、根がなくなってしまうと長くは生きられません。必ず倒れます。
独裁政権は確実に崩壊する。国民が鍵なので、私はすべての国民が引き続き革命に参加するよう促したいと思います。

6月16日、「最近、私は多くの地域を旅しています。」

「この旅行の経験から私が学んだことを簡単に言うと、この出来事によって、間違いなく私たち国民が勝つということを私がより強く信じるようになったということです。
大事なことは、クーデターへの怒りと春の革命への情熱を失わないこと、臆病になって革命を諦めないことで、ともに戦いつづけることです。」

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