22-28/JAN/2023 #WhatsHappeningInMyanmar

2023年1月22日から28日までの1週間にミャンマーで起きたことです。

キリンホールディングスは、ミャンマー合弁企業ミャンマー・ブルワリー (MBL) の株式を売却額205億円でMLBへ譲渡完了したと発表しました。企業活動における「ビジネスと人権」がいかに大事であるかを、他の企業も教訓にしてほしいと思います。にもかかわらず昨年、横河ブリッジがミャンマー軍系企業に130万米ドルを支払っていたことをヒューマン・ライツ・ウォッチが明らかにし、日本政府のODA建設事業が国軍を利すると告発しました。

▼NUG政府は、ミャンマーでさまざまな暴力行為を行っているクーデター軍事グループに対して、インドネシア、ドイツ、トルコ、アルゼンチンの裁判所で訴訟を起こしました。教皇フランシスコは、ミャンマーでカトリック教会が放火され、全焼したことに悲しみを表し、ミャンマーの多くの都市で辛い試練の下に置かれている無実の市民らに寄り添うと述べました。

▼ミンアウンフラインは軍事評議会で、いかなる状況下でも国民全員参加のもと選挙を実施すると発言。 事実上USDP(軍系政党)以外の政党を排除する内容の、新たな政党登録法を成立させました。また、軍事政権はNLD党員の逮捕・拘束をつづけており、クーデター後1280人が拘束しました。

▼軍事政権が行おうとしている「偽選挙」に対して NUGや市民勢力は強く反対。クーデター2周年に当たる2月1日、市民が「サイレントストライキ」に参加し、外出しないよう呼びかけました。

▼マグウェー地方域でNUG支援の診療所を軍が空爆して破壊し、チン州でも、戦災避難民用の支援物資を保管していた民家が軍による空爆を受けました。マンダレー市では軍の支持者が、診療所の所有者の医師たちがCDMを支援しているとして閉鎖を求めました。最近、CDM に参加する人々が全国で逮捕されているため、この国の 2 番目に大きなマンダレー市でも、いくつかの私立診療所や病院が閉鎖されています。

▼軍による掃討作戦がつづいているザガイン地方域カレン州で軍と地元PDFとの激しい地上戦が行われ、優勢なPDFに対し軍は戦闘用ヘリコプターや戦闘機から銃撃や空爆を行っています。軍の重砲による砲弾が着弾するため、周辺の村を含め村民たちは避難を余儀なくされています。

▼都市ゲリラへの特殊軍事作戦を行っていた軍の将校、さらに抵抗勢力への弾圧を担当していた元軍事情報将校が、相次いで射殺されました。

▼国連は、ミャンマーのアヘン栽培が急増し、2022年は2021年の約1.9倍の収量になったと報告しました。

ミャンマーからの労働者流出は急増し、2021年度1年間の6000人から2022年は7~11月で5万人を超えました。統計に現れない不法出国者も多数いると見られています。

目   次

国内情勢

NUG発表:1. 2022 年 2 月 5 日、連邦議会は人民警察法を承認した。 2022 年 7 月 6 日、大統領府令第 12 号 により、国民統一政府、内務移民省は、国民統一政府の下で人民警察を設立し、国民統一政府が管理する地域で治安と法執行活動を行っている。2. テロ戦争評議会とその部下によって犯された犯罪を記録し、保存することを目的とし、 2022 年に国家統一政府の支配下にあった地域だけでなく、国民によって犯された犯罪についても、加害者と被告を裁判にかける。 人民警察法第 14 条 (b) により、人民警察の下に E 警察署が設置された。(National Unity Government of Myanmar, 1月20日 23:54)

◆21日、国民統一政府 (NUG) は、ヤンゴンの軍所有地に建設されるスプリング バロール コンドミニアムの先行販売によって、わずか 18 時間で 1,000 万米ドル以上を調達した。

◆21日、カレン州パヤートンズー郡ピャウンマテイン村落区チェインチャウン村所在のカレン慈善軍(DKBA)幹部ソオ・エーワン大佐宅を軍が空爆。住人は不在だったが、学校を含む周囲の建物も損壊。兵員1人が負傷。DKBAは全土停戦協定NCAに署名済みだが、この爆撃について軍への明確な批判を避けている。DKBA (Democratic Karen Buddhist Army) は反クーデター政権でKNU 傘下だが、KNU から離脱したDKBA派閥は、軍による反KNU軍事作戦の重要な味方になっている。

◆23日、RCSS (シャン州復興評議会) 議長がネピドーでクーデター軍事政権の指導者と再び会談。

https://twitter.com/TheChindwin/status/1617693008845234176?s=20&t=hw1vjRqKB99Gc0TkScqz8w

◆23日のSACの会合で軍司令官は、いかなる状況下でも国民全員参加のもと選挙を実施すると発言政党登録関連法の改正の必要性を訴え、政党の認可にあたり当該政党の憲法違反の有無を確認するよう選挙管理委員会に指示。 少数民族とも合意済みとも。 NUGや市民勢力は強く反対

◆ 24日10時にNUG政府の2023年第4回閣議開催。 大統領代行は、「数日で春の革命の2周年がやってくるに当たって、NUG 政府の各メンバーはそれぞれリーダーシップの問題を再検討しなければならない。 また、国民のためにどのような目標を導くかを事前に考えておく必要がある。 パンロン条約調印から76周年を迎える今、春の革命において、堅固でコンパクトな政治的合意に向けて絶えず交渉している。 戦いを最後まで導き、新しい連邦民主主義国家をつくる」と発言。(National Unity Government of Myanmar, 2023年1月24日 16:00)

◆ 24 日、NUG の武装国民防衛隊Black Panther連隊の高等訓練卒業式が開催され、NUG国防省が武器を提供した、とSouthern Military Region News and Informationが報じた。 式典は NUG 国防省によって開催され、NUG のマン ウィン カイン タン首相は第 3 軍区副司令官Sawshaにメッセージを送った。(BBC Burmese, 2023年1月25日 12:13) 副司令官はKaren Newsのインタビューに、南部軍管区のすべての縦列の 75% を完全に武装させることを目指しているが現状は 50% も完成していないとし、軍備が進むにつれて、以前の防御的な革命的戦術は後期段階で攻撃的な戦略に移行し、戦線は拡大するだろうと述べた。

◆軍が17日に海外雇用斡旋業者に旅券発給業務の無期限停止を告げた後も、ヤンゴン市内の旅券事務所には連日早朝から約500人の市民の行列が見られる。就労、留学等の目的での渡航手続きが完了した市民も足止めを食っている。業者を通した裏ルートでの取得も不可能。隣国への密入国者が増えるとの懸念も。

◆国連薬物犯罪事務所 (UNODC) によると、クーデター後の危機の中で正規の経済が衰退するにつれてミャンマーでアヘン栽培が急増し、闇市場と違法取引が拡大した。アヘン用ケシの栽培面積が2021 年の推定 3万haから、昨年は 4万haに増加し、平均推定収量が 41% 増加して 1ha当り約 20 kgとなった。

◆26日、軍司令官は新たな政党登録法に署名して成立させた。 タンシュエ氏率いる旧軍政下の政党登録法では登録許可を受けた日から90日以内に党員1000人を確保することが義務付けられていたが、新法では60日以内に党員10万人、党の資金1億チャットの確保が義務付けられ、事実上USDP以外の政党を排除する内容に。

◆28 日にDMO-PDF と KNDF は共同で、カヤー州の軍事評議会選挙を許可せず、これと戦うこと、および政党を結成して立候補することを何人にも許可しないことを発表した。

経済ビジネス

◆23日、キリンホールディングスは、ミャンマー合弁企業ミャンマー・ブルワリー (MBL) の株式を売却額205億円でMLBへ譲渡完了したと発表。

軍による米の買い占めによりチン州マトゥーピー郡の市民が米を調達できないという事態が起きている。周辺幹線道路も閉鎖されており物流も滞っている。チン民族防衛隊CDF-軍間の戦闘の影響で通信も遮断。現地の情報が伝わりにくい。今は避難中であるため陸稲の栽培もできず深刻な食糧不足に瀕している

ミャンマーからの労働者流出、2022年7~11月の4カ月で5万人超で、2021年度の年間6173人を大幅に上回った。不法出国者も多数か。

人道問題

◆23日午前10時半頃、チン州ミンダッ郡パレイットゥイー村内の戦災避難民用の支援物資を保管していた民家が軍による空爆を受けた。全部で5発の爆弾が投下され、うち1発がこの民家に落下し爆発。住民2人が負傷。

マグェー地域イェーザジョー郡バヒン村を軍が空爆。これにより村内の診療所が破壊され、勤務していた50代女性が死亡。患者約40人を緊急避難させた。同診療所は、村内の公立病院を地元住民から成る国民防衛隊PDFが統制下に置き、NUGの支援を受けて運営していたもの。爆撃に使用されたのはヘリMi-35。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆17日夜、マンダレー地域ニャウンウー郡NLD議長ウィンミンカイン氏が息子、甥、客人と共に自宅で軍に拘束され、車両1台が接収された。同氏は2015年総選挙で当選経験を持つ。軍側ロビイストのテレグラムには避難先からPDFと共に帰宅中だったと書かれている。 クーデター後約2年間でNLD党員1280人が拘束されている。

軍事政権による国民・財産への攻撃

ザガイン地域カンバルー郡で軍が昨年末より掃討作戦を開始。今月21日にはインマ村に侵入し民家を焼き討ち。周辺の村の住民も退避。2度目の焼き討ちで、すでに家を失っていた住民は簡易テントで暮らしていたが今回それも焼かれた。これまでに9村が焼かれ11人が殺害された。郡全体で住民3千人が避難中

◆28日、ザガイン地域サーリンジー郡の中国ワンバオ(万宝)社の敷地内に駐留していた軍部隊が銃を発砲しながら同郡内の6村に侵入。これにより村の住民約5000人が村外へ退避。これまでにも同社に駐留する軍部隊は、周辺の村の焼き討ちを行って来た。

平和的抗議・CDM

◆軍事政権の支持者は、マンダレー市にあるShwe Kant Kaw研究所と専門クリニックを閉鎖するよう政権に求めている。 軍の支持者とロビイストは、診療所の所有者であるSan Han Pha博士とThet Wa Soe博士が CDM (市民的不服従運動) 実践者たちを支援しており、無許可で診療所を開いていると主張した。 最近、CDM に参加する人々が全国で逮捕されているため、この国の 2 番目に大きなマンダレー市でも、いくつかの私立診療所や病院が閉鎖されている。(Chindwin News Agency, 2023年1月24日 21:56)

◆軍が実施しようとしている違法な選挙に抗議する#SilentStrike が呼びかけられている。タイザー サン博士も、2 月 1 日の午前 10 時から午後 3 時まで、春の革命 2 周年記念 #SilentStrike に参加し、外出しないよう一般市民に呼びかけた。

武装抵抗・PDF・戦闘

◆20日、ザガイン地域カター郡モーターレー村落区村付近での軍と地元防衛隊との間の地上戦が3日目に突入。防衛隊側が優勢に終わると軍は同日ヘリや戦闘機などから銃撃や空爆を行い学校等を破壊。また、空路で兵員を輸送して補充。22日まで村落区内の焼き討ちを行ったことで民家等が焼失。住民は全員退避。

◆ヤンゴン管区の尋問を担当するタン・トゥット少佐とミン・アウン軍曹が、バゴー地方域PDFの周到な作戦によっておびき出されて射殺され、武器は没収された。この2名は都市ゲリラに潜入して、都市ゲリラの分裂や摘発の特殊作戦を行っていた。

◆23日、カレン州チョンドー市ミガロー村で軍とカレン民族同盟KNUとの間で戦闘が発生。24日、25日には、カンニー村とコーカー村で戦闘が発生。軍の放った重砲により民家が燃えている。全住民が退避。周辺の村の住民も合わせて約5千人が避難を余儀なくされている。

◆24日午後、カレン州のKawkareik郡区にある村で戦闘が勃発したため、いくつかの家が火事になった。 重砲の砲撃が村に着弾し、いくつかの民家が破壊されたため、何百人もの村人が村から逃げることを余儀なくされた。 地元カレンのメディアは、軍事政権軍第545、第 546軽歩兵大隊と、カレン民族解放軍(Karen National Liberation Army)および国民防衛隊の合同部隊との間の衝突が 1 月 2 日以来、この地域で起こっていると報じた。(Chindwin News Agency, 2023年1月25日 14:02)

元軍事情報大尉の Khin Maung Tun と彼の妻が Myeng Farm で射殺された。 彼に逮捕され、あるいは逃走中の人は多い。

国際関係

◆21日にヤンゴン市の第1国立競技場で開催された中国の春節の記念行事に軍司令官が出席。中国はミャンマーにとって重要な隣人であり、ミャンマーは中国にとって信頼できる隣人だと祝辞を送った。 一方、NUG外相も、22日付けで中国外交部に宛てて、中国は良き隣人の名に相応しいとする祝電を送った。

教皇フランシスコは、ミャンマーでカトリック教会が放火され、全焼したことに悲しみを表し、ミャンマーの多くの都市で辛い試練の下に置かれている無実の市民らに寄り添いを示された。

◆ヒューマン・ライツ・ウォッチが、日本政府のODA建設事業が国軍を利すると告発。横河ブリッジは2022年7月から11月の間にMECに約130万米ドル(約1.7億円)をバゴー橋建設事業のために支払った。支払いは、日本のみずほ銀行からミャンマー外国貿易銀行のMEC[=ミャンマー軍系企業]の口座に複数回行われた。

◆27 日にNUG政府は、ミャンマーでさまざまな暴力行為を行っているクーデター軍事グループに対して、世界中の国際法廷で訴訟を起こしたインドネシア、ドイツ、トルコ、アルゼンチンで訴訟が起こされていることが報告されている。

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