2023年2月26日から3月4日までの1週間にミャンマーで起きたことです。
▼軍トップは1月に、国内の民間のインターナショナルスクール等で西洋式民主主義の文化を教えることを厳重に禁じるよう指示し、ハロウィン等の西洋文化行事を禁じる方針。
▼スイスの食品大手ネスレは、ミャンマーでのすべての生産を停止すると発表。
▼軍はザガイン地方域での戦闘中、12歳と13歳の少年を含む4人の民間人を斬首。
▼軍事政権はザガイン地域の村々への侵入、焼き討ち、砲撃、殺人を繰り返し、イェーウー-ダゼー-カレーワ道路沿いの19村の住民約1万人が退避するなど避難生活を強いられている。バゴー地域、マグェー地域、カチン州でも、軍の攻撃が報道されている。チン州では過去2カ月に軍の空爆が53回行われ140発の爆弾が投下された。
▼日本政府は国際機関等を経由し、食料や医薬品等の提供、水・衛生インフラ、栄養改善等のミャンマー国民に直接届く約70億7,770万円の人道支援を決定。
▼米商務省、ロシア軍や中国軍への支援、ミャンマーや中国における人権侵害への関与などを行っているとして、中国・ロシアなどの37団体を貿易ブラックリストに追加すると発表。
▼インド国有軍需会社が昨年10月にミャンマーへ122ミリの砲身20門を輸出したことが明らかになった。
目 次
国内情勢
◆人権や避難民支援団体等68のカレン族系団体がカレン民族同盟KNUの中央執行委員全員に対し辞任を求めた。組織の方針に反する行動が見られるという主張。軍評議会と手を組んでビジネスを行ったりタイ国境のシュエコッコー市等で中国企業の事業に関与していることを問題視。
◆27日の会見でアラカン軍のカイントゥカ報道官は、AAと軍は現在停戦しており一時的に銃声が止んでいるが、確固たるものではなく、いつ戦闘が再開してもおかしくない状態であり、軍がラカイン州への攻撃と市民の拘束を続けるなら総選挙の実現は見込めないだろうと述べた。 現在、ミンアウンフライン軍司令官がラカイン州を訪問中。
◆軍の施行した新政党登録法に基づきUSDP 、NUP等13政党が登録を済ませたと軍が発表。1月27日に施行された新法では60日以内に登録手続きを行わない場合、登録は自動的に抹消。党員10万人以上、資金1億チャット以上の要件を満たさなければならない。NLD議員は登録は行わず、軍による選挙は認めないと発言。
◆ミャンマー軍の代理人である連邦連帯発展党 (USDP) 党員が先端をとがらせた竹槍で武装。
◆軍トップは1月6日の軍評議会会合で、国内の民間のインターナショナルスクール等で西洋式民主主義の文化を教えることを厳重に禁じる方向で民間教育法の整備を進めるよう指示。英語を教授言語とする民間学校でも教育省のカリキュラムで授業を行うことを義務付ける方針。ハロウィン等の行事を禁じる通達も。
◆2月28日〜3月2日の3日連続で、軍評議会の役所が集まるネーピードーで爆発が起きている。軍翼賛政党のUSDP 元幹部自宅、タンシュエ氏と近い関係にあるクローニーの経営する飲食店Mandalay Paradiseに続き、2日にはネーピードー評議会事務所通り上に設置された警察のバリケードに手榴弾が投げ込まれた。
経済ビジネス
◆スイスの食品大手ネスレは、ミャンマーでのすべての生産を停止すると発表。しかし、代わりにミャンマーの会社が、タイ、マレーシア、フィリピンのネスレ製品を販売し、流通させるだろう、と広報担当者は述べた。
◆軍政ミャンマーで、頼みのガス事業が停滞、タイPTT系も延期。
人道問題
◆25日午後4時頃、ザガイン地域カンバルー郡ティンバウンジン村で地雷が爆発し、牛追いをしていた8年生の少年が死亡。4年生の弟も重体。8年生の少年1人が軽症を負った。
◆26日、ザガイン地方域Myinmu郡区の村を攻撃した政権軍が地元PDFとの10時間にわたる銃撃戦の最中、人間の盾とガイドとして誘拐していた近くの村の民間人4 人を斬首、うち2 人は12 歳と 13 歳の子供だった。
軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力
◆タニンダリー地域パロー郡で23日〜26日にかけて国民防衛隊PDFを支援した疑いでCDM参加教員を含む市民少なくとも10人が夜間拘束された。いまだに解放されておらず尋問所で激しい暴力を伴う尋問を受けているとの情報も。 タニンダリー郡でも26日、定年退職した元教員を含む市民20人程度が拘束された。
◆マンダレー地域ミンジャン郡レーユワゾン村の20代から40代の住民男女4人を軍と軍製民兵ピューソーティーの合同部隊が2月28日午後10時頃、バイク8台でそれぞれの自宅にやって来て、拘束し殺害。後日、用水路から遺体で発見された。また1日には、カンズェー村の住民男性1人が軍によって射殺された。
軍事政権による国民・財産への攻撃
◆23日,ザガイン地域アヤードー郡カンイン、マレーター、ニャウンビン村を軍がヘリで空から攻撃。学校や病院が破壊された。死傷者も出ている模様。 軍はさらにヘリで兵員を補充。兵士らは3村に侵入し村を焼いている。 地元住民で編成される防衛隊からの攻撃への報復だという。
◆24日、バゴー地域チャウッチー郡のニャウンビンター村,トープ村を含む15村に軍が侵入を開始。住民約10万人が避難。侵入した軍部隊と市民防衛隊との間で戦闘が起こった村も。
◆25日,兵員150人程度で編成される軍部隊がザガイン地域ダゼー郡西部のチーガン村に侵入。イェーウー-ダゼー-カレーワ道路沿いの19村の住民約1万人が退避。総世帯数600世帯を超えるチャウンウー村が含まれる。現時点で焼き討ち等は行われていない。
◆26日早朝、マグェー地域イェーザジョー郡ミン村に駐留する軍部隊が近隣のネーイン村を襲撃。住宅30棟が焼かれた。住民は昨年7月に軍がミン村に拠点を構えた時から村から逃げ、職を変えることを余儀なくされた。現在はエーヤーワディ川で漁業をして生計を立てているという。
◆カレンニー民族防衛隊KNDF第11大隊広報部門の発表によれば、28日午後7:20頃、シャン州南部ペーコン郡(カヤー州境)の村に軍が重火器を撃ち込んだ。これにより村内の僧院で勉強していた19歳と15歳の兄弟が死亡。僧院の一部が損壊した。
◆チン人権団体CHROによれば、ミンダッ、ハーカー、タンタラン、マトゥピー郡が過去2ヶ月に受けた軍の空爆の回数は53回。投下された爆弾の数は約140発。最も激しい攻撃を受けたのがタンタラン郡。軍の拠点が2ヶ所ありうち1カ所を2月6日、チン民族軍CNAと地元市民防衛隊が制圧。軍にとって政治・軍事的要所。
◆3月1日、カチン州パーカン郡シャーヨーカ村に軍が銃を発砲しながら侵入。住民120人超を拘束。この際2人が被弾して死亡。人間の盾として翡翠鉱区に連行。18歳未満と50歳以上の計28人のみが解放され、92人は拘束されたまま。軍が何者かに爆弾で襲われた後、実行者が同村に逃げ込んだという嫌疑。
◆Wetlet Informational Networkによれば、ザガイン地域ウェッレッ郡チーガン村を軍が2日から2日間に渡り焼き討ち。住宅が焼かれ,住民少なくとも7人が焼殺された。被害の程は明らかになっていない。
平和的抗議・CDM
◆22日、ヤンゴン地域フレーグー郡イェイッター地区に住む5人家族が何者かによって射殺された。家族のうち男性1人が市民的不服従運動CDMに参加する中学校教員であることから軍支持者による犯行が疑われている。 死亡した家族の中には80代の男性や3歳の男児が含まれていた。
◆カチン独立軍KIAの司令本部の所在地カチン州ライザー市でカチン州総合大学の第1回学位授与式が対面で開催された。オンラインで学業を収めた学生に修士号が授けられた。
国際関係
◆日本政府は、クーデターの影響を受けたミャンマー国民に対して追加的に合計約6,030万米ドル(約70億7,770万円)の人道支援を実施することを決定したと発表。国際機関等を経由し、食料や医薬品等の提供、水・衛生インフラ、栄養改善等の国民に直接届く支援を行うとのこと。
◆3月2日、アンワル・マレーシア首相がフィリピン大学での名誉学位号授与式典の演説でミャンマー問題について触れ、「ASEANの内政不干渉の原則を免罪符にしてはならない。マレーシア国内にも約20万人のミャンマー難民がおり域内の安全を脅かす要素。ただしミャンマーのASEAN離脱を求めているわけではない」と述べた。
◆インドのマニプール州インファー刑務所に入管法違反で収監されていたチン人難民が急死した事件に関し約100の市民団体が州政府及び中央政府に対し、真相調査・公表、全員の解放を含む4つの項目を要求する声明を発表。「民主主義を標榜する大国として責任を持って解決すべき問題」とIndia For Myanmar。
◆インド国有軍需会社が昨年10月に122ミリの砲身20門を輸出したことが明らかになった。
◆米商務省、ロシア軍や中国軍への支援、ミャンマーや中国における人権侵害への関与などを行っているとして、中国・ロシアなどの37団体を貿易ブラックリストに追加すると発表。
26/FEB-04/MAR/2023 #WhatsHappeningInMyanmar