7-13/Aug/2022 #WhatsHappeningInMyanmar

2022年8月7日から8月13日までの1週間にミャンマーで起きたことです。
米、食用油をはじめ食料品の価格が急騰し、ガソリンスタンドには車やバイクの長い列ができています。中央銀行は紙幣を増刷していますが外貨準備が減り、金価格は高騰し、公定為替レートを1ドル=1,850チャットから2,100チャットへと13.5%切り下げました。実勢レートはこれより20~30%安くなっていて、経済の混乱は拡大しています。
根本敬教授はテレビ番組でミャンマーの現状について、クーデター軍はこれまで越えてはいけなかった一線を越え、徐々に追い詰められてきているという認識を示しました。
軍の残虐な行為に対して、マレーシア、カンボジア、米国、在ミャンマー各国大使館からの批判が続いています。
日本の防衛省管轄施設で訓練を受けたミャンマー陸軍の准将が、人権侵害に関与した東部陸軍司令部に所属していたことが明らかになりました。また、自民党所属の国会議員がネピドーを訪問してミンアウンフライン最高司令官と会談しました。日本政府が、日本の元首相国葬の日時や場所などを「ミャンマー政府」に通報したことに対して、軍事政権を承認することにつながるのではないかという強い懸念が出ています。
1988年8月8日から34年たった記念日に、全国で8888記念デモが行われました。大都市での街頭行動は軍事政権の取締りを避けて中止されましたが、ヤンゴンでは4人の若者が市の中心部で「8」という字を書いた傘を広げ、抗議の意思を示しました。政治囚の死刑執行に抗議するハンガーストライキがマンダレーの刑務所で行われ、参加者は弾圧によって生命の危険にさらされています。
軍事政権は、ザガイン地方域、カチン州、マグウェー地方域の村々へ侵攻し、軍事ヘリコプターによる空爆、重火砲の砲撃、家屋の焼き討ち、殺人、略奪、拉致を行い、多数の住民が避難せざるをえなくなっています。
ザガイン地方域の地元PDFは、ドローンによる爆撃を軍施設に行いました。バゴー地方域では国軍の空爆に対して、カレン民族同盟 (KNU) は対空砲で反撃しました。

目   次

国内情勢

◆就労のために日本に渡航する際に重要となる日本語能力試験N4の願書を求めて約5千人の若者が交付会場に押しかけ、書類の奪い合いを発端に大混乱

◆軍事政権の選挙機関は、登録政党に対し、外国の組織や個人との会談を行わないよう警告、承認なしに会談した場合は登録取り消しも。軍事評議会は、外国の大使館と NGO が20年総選挙に干渉したと非難。

◆軍の選挙管理委員会は、チン州ハーカー郡、パレッワ郡において正確な有権者名簿の作成のためのパイロットプロジェクトとして人口調査を開始したと発表。

◆タイ国境のメーサイ川が氾濫しタチレク市街地が浸水。13日午前中時点でまだ水位は下がっていないという。救助隊がアクセスできない地区では、脱出用のボートが足りず、住民が取り残されている

◆国軍と警察の腐敗行為を辛辣に批判し、3 年 3 か月 3 週間の懲役刑を言い渡された国軍の退役大尉 Nay Myo Zin 氏が、今朝、ミャンマーの刑務所から釈放されたことが確認された。

経済ビジネス

◆8日、キリン、ミャンマー事業利益46億円を計上と発表。同日、ミャンマー事業に関連して、同期業績に181億5,800万円の減損損失戻入益をその他営業収益として計上。

◆8日、ミャンマー中銀、通貨チャットの公式レートを13.5%切り下げ1ドル=1,850チャットから2,100チャットへ。 闇ドルは、これより20~30%高い。

◆カチン州の山岳地帯は現在、電気自動車、風力タービン、電子機器の生産に不可欠な重希土類鉱物の世界最大の供給者になり、世界最大の加工国・中国へ供給している。 これらの鉱物の需要は、軍事政権を支える可能性がある。

◆ヤンゴン市で物価の高騰が市民生活を圧迫している。今年1月の時点で1ぺイッター(≒1.6kg)2500ksだった食用ココナッツ油の価格が12日時点で9千ksに。落花生油は、1ヶ月で9千チャットから1万2千チャットに。

◆クーデター発生後1年半の間に、米の価格が2倍に跳ね上がった。クーデター発生前のポーサン米1袋の価格は5万チャット。現在は10万チャット近くまで上昇している。販売店でも品薄の状態。

◆ワーズィー印刷工場が、新札4千億チャットのうち3千3百億チャット分を「国家経済振興資金(コロナ貸付金)」として各地域・州の軍評議会及びその傘下の省庁に引き渡した。農業省、協同組合省、農業金融のエメラルドグリーンプロジェクト、各地域・州に分配済み。[新札増刷は、チャット安を加速するという観測がある]

◆6日は 1 リットルあたり1,600チャット前後だったガソリン価格が、12 日に 2,245 チャットへ上昇し、史上最高値を更新。8日に軍事評議会議長が石油と石油製品の輸入を削減すると述べた後、都市部ではガソリン不足により販売がストップする事態も生じている。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆アウンサンスーチー氏が拘束された5日後に拘束され、国家機密法違反などの罪で起訴されていた豪人経済学者ターネル氏の公判が11日に開かれ、同氏は全ての犯罪事実を否認。

◆女性人権活動家たちは、クーデター軍事評議会による俳優Theza Win KyawとモデルNang Mue Sanの逮捕を、女性全体の人権侵害として批判

◆ウェーモーナイン氏に対しモンユワ刑務所の特別法廷はデモの主導やCDMへの参加強要等5件の罪で計10年の禁錮刑を言い渡した。 加えてスパイ行為、殺人等4件の罪で起訴されており審理が進行中。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆6日、ザガイン地域ディペーイン郡の村に軍が侵入し焼き討ちを行ったため、住民は全員村外に避難。軍の侵攻部隊はヘリコプターで移動している。

◆6 日、ザガイン地方域Depayin郡区のKaingKan村を軍事評議会がヘリコプターで攻撃し、村に 3 日間滞在して 145 軒の家屋を放火、700 人以上が家を失った。

◆ザガイン地域ミンムー郡の村に軍が空路と陸路で進攻。住民8人とPDF10人を殺害。村内の学校を占拠し、幼稚園児を含む生徒と教員・住民約100人を2日間に渡り人間の盾として拘束。

◆7日午後6時頃、マグェー地域パコックー郡の村に軍が侵入。 8日午前7時頃にピューソーティーと共に民家の焼き討ちを始めたため、同村の住民及び近隣の村の住民は避難。

◆8日、ザガイン地方域Wetlet郡区のYaylamaw村を軍隊が襲撃し、6 軒の住宅に放火

◆8日午後、ザガイン地域ディペイン郡の村に4つの軍部隊が機関銃や重火器を発砲しながら侵入、民家を焼き討ち。 同村は全4千世帯程度の大規模なモデル村で今回で2回目の焼き討ち

◆9日夜、カチン州Hpakant郡区のSezin村で、軍隊と親軍民兵組織 SNA 軍が500 戸のうち 400 戸以上の住宅を焼き払った。

◆付近でSNA、KIA、PDFと軍との間で戦闘が続くカチン州パーカン郡の村を軍が空爆し、住民8名が死亡。 民家400軒を焼き討ち、子どもを含む住民約千人を僧院に閉じ込めている。

◆8日、カチン独立軍KIAとPDFの合同軍がシャンニー民族軍の基地を攻撃したことをきっかけに戦闘が始まったカチン州パーカン郡の村の全住民約3千人が避難。

◆マグェー地域パウッ郡ジャーゼージェッ村に軍が侵入し、40代の住民男性を殺害、住民10人を拘束し、民家の焼き討ちを始めた。

平和的抗議・CDM

◆1988年8月8日から34年経つ8日、全国で8888記念デモが行われている。先日処刑されたジミー氏はこの民主化運動の象徴的存在だった。

◆5日、マンダレーのObo刑務所で民主化活動家 4 人の処刑抗議のハンストを行った政治囚を刑務所職員が銃撃し、2 人が重傷を負った。政治犯たちは、ミャンマーのNUGや民族武装組織と協力するよう国際社会に訴える声明を密かに持ち出した。

◆NUG 学校教育祭が開催された

◆Spring University Myanmarとチェンマイ大学 – 公共政策学部が覚書に署名。 2つの機関は、ミャンマーの学生のための学術プログラムと研究プロジェクトで協力する。

◆ミャンマーで拘束された久保田徹さんは「デモに参加せず、撮影していただけだった」と、デモ参加の目撃者が証言。デモは成功したが、治安当局者はデモ終了後、1人で歩く久保田さんをまず拘束。近くにいたデモ主催者ら3人は逃げたが、間もなく逮捕されて連行されたとのこと。

◆マンダレーのObo刑務所で 7 月 28 日からハンガーストライキを行っている元ヤンゴン教育大学学生自治会委員長コ・ナウンチェットアウンは、刑務所で殴打され前歯を折られ、背中に怪我を負っているが、治療を受けることを許可されず、生命の危険を心配されている。ハンガーストライキは、非暴力闘争の最も高いところにある闘争形態だと言える。メディアと NUG が、国際社会に向けて声を上げるよう訴える(BBC Burmese, 8月12日 14:33)

武装抵抗・PDF・戦闘

◆7月下旬、国軍と激しい戦闘を繰り広げる東部カヤ州と中部マグウェ地域で戦う3人の若者に、東京新聞がオンラインでインタビューした

◆7月30日午後1時ごろ、北西部ザガイン地方域のシュエボ大学にある軍の検問所付近の車両と兵士に対して、上空の「攻撃型ドローン」から計5発の爆弾が投下され兵士3人が死亡

◆4日ヤンゴン市新ダゴン(北)電力公社事務所で都市ゲリラ組織による爆発が発生。5日インセイン、マヤンゴン郡区で爆発、ミンガラードン郡区でも電力公社銃撃事件が発生。

◆8日、KNUの統治下にあるバゴー管区ニャウンレービン県チャウチー郡で国軍が行った空爆に対し、KNUは対空砲で反撃

◆カチン独立軍KIAが、カチン州パーカン郡の村の軍傘下民兵のモデル基地として重要な拠点だった民兵基地を焼き討ち。 地元住民らはこの民兵組織に税金と称して法外な額の支払いを命じられていた。

◆ヤンゴン連邦軍(YFA)が、北ダゴン第42地区の行政局事務所を爆破。YFAは、事務所が市民に対する不当な宿泊客名簿調査や金銭の搾取を行っていたためだとしている。

◆ヤカイン州ヤテダウン郡で13日午前8時頃から軍とアラカン軍(AA)との間で激しい戦闘が起こっている。この戦闘に巻き込まれて地元の牛飼い1人が死亡。村の住民は全員避難。

国際関係

◆NPT=核拡散防止条約再検討会議の一般討論演説で、チョーモートゥン国連大使は、ミャンマー軍に武器の売却を行っている国に対し、人権理事会の勧告に従い輸出しないよう呼びかけ

◆シンガポールの外務大臣は、軍が権力を掌握したミャンマーの状況は非常に恐ろしく、4年から20年続く可能性があると発言

◆11日、シンガポール外相の内戦発言に対するヨーロッパの人権活動家Igor Blazevic氏の批判:「ビルマが内戦に突入するというビビアン博士の言葉は、ASEAN と近隣諸国が、軍の残忍な破壊によって影響を受けた人々に対して何の責任も負わない状況を隠蔽するだけでなく、さらに醜い現実が潜んでいる。Justice For Myanmarの発表[“EXPOSED: COMPANIES BROKERING ARMS & EQUIPMENT TO MYANMAR MILITARY”, 8月11日]によると、ミャンマー軍に数百万ドル相当の軍事兵器の販売を仲介しているシンガポールとミャンマーに拠点を置く 116 の企業があり、これらのうち、38社がシンガポールに拠点を置いている。ミャンマー軍の戦争犯罪と人道に対する罪を阻止する大きな力を持っているのはシンガポールだ。効果的な行動が取られなければ、シンガポールは軍の残忍な殺害の共犯者になるだろう。」

◆6日、ASEAN関連外相会議でカンボジア外相、民主化進展までミャンマー排除と発言

◆7日、ASEAN議長国カンボジアのプラク・ソコン副首相兼外相は9月上旬にASEAN特使としてミャンマーを訪問する意向を明らかにした

◆バングラデシュ訪問中の王毅・中国外交部長は、アブドゥル・モメン・バングラデシュ外相とのダッカでの会談で、ロヒンギャ難民関連支援を約束

◆スコット・マーシャル元駐ミャンマー米大使はカンボジアのポルポト政権以降、東南アジアで最も残虐な独裁体制だとミャンマー軍を批判。 西側は制裁や批判にとどまらずNUG と同盟を組み、資金面での支援等、実効性ある支援をすべきと発言

◆在ミャンマー外国大使館は、ミャンマーの軍事政権に対し、人権を守り、ミャンマーで民主主義を回復するよう要求

◆日本で訓練を受けたミャンマー陸軍の准将が、人権侵害に関与した東部陸軍司令部に所属していたことが判明。2021年12月24日のクリスマスイブの虐殺に関与した。

◆10日、マレーシアの外相は、ASEAN加盟国に対し、ミャンマーの軍事政権に反対するNUGと直接交渉し、軍政下にある国に和平をもたらすための努力に他国を引き込むよう促した

◆11日、衆議院議員・渡辺博道氏(自民党)一行が、ミンアウンフライン等と会談。両氏は、日緬友好関係の強化、ミャンマーの政治発展、二国間関係の促進を目的として、世界最大となるマラビジャヤ仏像が安置されるマラビジャヤ仏陀公園に日本側が桜を植える計画について、さらに、経済・投資分野でのさらなる協力、諸外国へのミャンマーの政治情勢に関する虚偽の情報の拡散、そして日本の人々が真の状況を知る必要性について意見交換を行った。[日本の人々が知る必要性のある真の状況とは、逮捕・起訴された久保田徹氏を指すのではないかという観測もある。]
会議には、評議会の共同書記である Ye Win Oo 中将、連邦大臣の U Wunna Maung Lwin、U Aung Naing Oo、U Ko Ko Hlaing、および当局者も出席した。日本代表団には、Japan-Myanmar Cultural Enhancement Association Chairman Mr Fumio Usui [「NPO法人 日本陽光桜交流協会」理事の薄井文雄氏ではないかと思われる] と関係者が同行した。

◆ミャンマーの抗議者グループは、渡辺博道衆議院議員が戦争犯罪者ミンアウンフラインと会談し、軍事政権への投資とプロパガンダについて話し合ったことに対して、訪問が日本政府の承認の下に行われたのであれば、それは軍事政権の国際犯罪への加担行為であると強く抗議

その他

◆8日、日経社説「ASEANは加盟国の主要会議から国軍を排除し、暴力の停止を迫っている。それでも国軍が強気を崩さないのは、中国とロシアの支援をあてにできるとみているからだ。両国はさらなる弾圧の後ろ盾となるのを避けるべきだ。」

◆「東南アジアの子供たちにサッカー・スポーツを通じて夢と希望を!」というワールドチャレンジ2022ジュニア世界大会、ミャンマーのジュニア選手招聘延伸を決定

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