CDM参加者の現状
2021年2月1日に、ミャンマー国軍は軍事クーデターを起こし、国民から選挙で選ばれた民主的政府から政権を不法に奪いました。ミャンマー国軍の支配に反対し、民主主義を取り戻すために、公務員はCDM (市民的不服従運動) で立ち上がりました。
30万人とも言われるCDM参加者 (CDM者) が国家の機能に打撃を与え、いまもって軍事政権は国を掌握することができません。
CDMを抑え込むために軍事政権は、CDM者を公務員住宅から追い出し (たとえば「軍と警察が、CDM公務員を住宅から強制退去させる(マンダレー)」をご覧ください)、解雇し、さらには、逮捕・拘束して拷問を加え、逮捕できない場合は家族を拘束したり暴行を加えるといった弾圧を行っています。詳しくは「現地CDM参加者とのミーティング」をお読みください。
軍事政権は、CDM者がCDMに参加したことを後悔させるために、さまざまな手を使っています。経済的困難のために海外で働こうとしても、空港で拘留され、尋問され、出国は阻止されます。軍事政権は3月に、CDM者が国を離れることを阻止し始めました。国内登録番号を含むCDM者のリストがパスポート事務所に送られ、最近は、空港でCDM者を逮捕する代わりに、パスポートの申請や延長を禁止しました (“Striking Myanmar Civil Servants Denied Passports” by THE IRRAWADDY 18 May 2022)。
CDM参加者の苦しい生活
多くのCDM者は弾圧に屈せず、軍事政権に協力しない不服従を貫いていますが、給料がなく、苦しい生活を強いられています。
軍事政権と闘っているCRPH (連邦議会代表委員会)、NUG (国民統一政府) は、困窮するCDM者の生活を支えるという方針をもっていますが、実際にはまったく不十分な状態です。
給料がカットされてから1年以上がたち、民主化への出口がまだ見通せないいま、CDM者の生活をどう支えていくのかは、差し迫った大きな課題だと思います。
下記に紹介する一文は、フェイスブック投稿「CDM များအတွက်」(執筆者は、「保健省、ミャンマー国民統一政府CDM者」) からの翻訳で、そんな状況を何とかしたいという提案のひとつと言えるでしょう。
CDM者に対するCRPH-NUG の方針について (提案)
1.
2021年2月19日、CRPHは、CDMを行っている公務員に対して以前の給料と同じ給料を支給するように計画していると発表しました。その後、CDMに対する支援を始めました。2月から7月までの6か月間だけ支援があり、6か月間で1万6千人の公務員に全部で32億キャットを提供しました。平均すると1人につき20万キャットですが、実際に提供されたのは10万キャットだけでした。残りの16億キャットは、例えば、ネピドー地域に5,000万キャットとかのように、人数も所属名も知らされないまま提供されました。実際にその提供金が与えられたと推測して、6か月間で3万人、1か月で5千人だったとすると、(CDMの公務員が30万人いたとして) すべての公務員の1.6%だけが支援をもらえたということです。国民全体が提供したからこそ、残るCDM公務員は生活が楽になりました。
2.
8月15日、春の宝くじを導入しました。CDMを行っている公務員は全部で18万人いますが、8,721人だけ与えられると発表しました。全員の5%に1回ずつ提供されました。現在は2022年3月から、ネットでクリックするだけでお金を寄付できる「Ahluushin」というソフトを発明しました。1日に100ドルぐらい、1か月だと600万キャットぐらい寄付できます。それでも、提供金はまだ足りません。
3.
ですから、NUGのCDMに対する方針は、給料を与えるといっても実際には与えられない方針になっています。そのことを非難したくないですが、CDM全員に与えられないのに与えようとする代わりに、CDM者が働けるような環境を作ってくれることとか、支援について正しい報告を言うこととか、してほしいです。
4.
革命はいつ終わるか分からないですが、すぐに終わらないのは明らかです。2022年中に革命が終わる可能性はありません。そのため、CDM者は生活するために、働かなければなりません。その時、注意すべきことは、飛行機で外国へ行くことが全くできないことです。CDM者は、大別すると3種います。
- 刑法第505条で避難し (軍事政権の追及から逃げ) ているCDM者
- 刑法第505条に当たらないが、避難しているCDM者
- 刑法第505条に当たらないが、解雇されたCDM者
この人たちは飛行機で外国へ行くことができません。空港にはCDM者のリストがあるからです。もし飛行機で行こうとしたら、もちろん逮捕されます。
5.
避難する必要はないCDM者は、働くとき、自分の専門だけではなく、ほかの仕事も考えてほしいです。例えば、オンラインショッピングとか、手作りのものを売るとか、などいろいろしてください。
6.
避難しているCDM者の中で刑法第505条に当たる人がいたら、亡命 (Asylum) を申請してください。しかし、最終亡命先の第三国に行ける手順は二つ目の国に安全に着いてからできるので、二つ目の国にこっそり行くための案内者とか、交通費とか、8か月ぐらい住むための生活費などが必要です。亡命を申請しようとするときは、この点を考慮してください。お金がないCDM者は、仕事を選ばなければ、また、良い仕事をしていれば、働きつづけることができます。
7.
国民全体が厳しい状態にあり、CDM者のためにアドバイスしか支援できなくて本当に申し訳ございません。NUGもCDM者に対して、少しだけの支援よりも、効果のある方法を考えてほしいです。
(https://www.facebook.com/thetkamoenyoo/posts/1688959854773553 から翻訳 by Yu)