2022年2月12日は、シャン州パンロンで、山と本土(少数民族とビルマ族)の政治指導者たちが、イギリス植民地支配下からビルマを独立させ、将来的に連邦連合を設立することを署名したパンロン合意75周年でした。
しかし、パンロン合意の本質である諸民族の平等と自己決定はまだ遠い道のりです。
目 次
軍の指導者は連邦記念日の大規模な式典を開催
2月12日ミャンマーの首都ネピドーで、武力で権力を掌握した軍の指導者は、連邦記念日のお祝いとして国家予算を使い、一部の少数民族武装勢力を招待して、大規模な式典を行いました。
国軍のミンアウンライン最高司令官は式典のあいさつで、「11の少数民族武装勢力が出席した」と明らかにしました。ところが、その中でトップが出席したのは、アラカン解放党(ALP)とカレン民族解放軍(KNLA) だけでした。他の9の民族武装勢力はトップではないメンバーだけが出席しました。国軍はカレン民族同盟(KNU)が出席したといいましたが、カレン民族同盟(KNU)は、その式に出席した人は前から自分たちとの関係はなくなっていると発表しました。
国民統一政府(NUG)は「パンロン合意75周年」ビデオ会議を開催
同じ2月12日、国民統一政府(NUG)は、「パンロン合意75周年」と呼ばれるビデオ会議を開催しました。
この会議には、フランス、アイルランド、デンマーク、スウェーデン、カナダ、ドイツ、クロアチア、ノルウェー、ルクセンブルグ、スイス、米国、ガーナ、ベルギー、ベラルーシ、チェコ共和国、フィンランド、オーストラリア、韓国を含む24か国の代表者が参加しました。
開会の辞は、国民統一政府(NUG)の大統領代行ドゥワラシーラによって行われ、カチン独立軍(KIA)の最高司令官ガンシャウンが挨拶しました。
この会議は、いまだ達成されていない連邦民主連合の設立を目指し、パンロン合意の本質を確認するために開催されたと国民統一政府(NUG)が述べました。国民統一政府(NUG)は、春の革命および何世代にもわたる民主主義を求め権威的支配に反対する戦いで亡くなったすべての殉教者に敬意を表し、連邦民主連合への道の障害物である軍事独裁政権と死ぬまで戦うと誓いました。
各地の住民は抗議行動を展開
この日、各地の住民も、自分の住む地域に「パンロン合意に基づき、新しい連邦連合に歩む」とか「独裁者に抗議し、新しい連邦連合を構築する」など書かれたポスターを持って抗議行動を行いました。モンユアの町でも午後5時に、抗議者たちは一斉に街頭に出て、車やバイクのクラクションを鳴り響かせて、独裁者に抗議しました (その様子は、https://fb.watch/b9ZiI6lMZz/ で見られます)。
国軍のミンアウンフライン最高司令官は、ミャンマーが平和で静かに連邦記念日を祝っていることを世界に示したいようです。それで、その日、国民がオンラインでデモの連絡をできないよう、朝4時から夜11時までモバイルネットを遮断しました。
しかし、彼が遮断できたのはネットだけで、国民の結束を遮断することはできませんでした。
国軍は連邦記念日の恩赦を発表。しかし・・・
国軍はこの日の朝、連邦記念日にあたってインセイン刑務所を含む全国の刑務所から800人以上の囚人を恩赦すると発表しましたが、BBCによると、午後までにインセイン刑務所から恩赦されたのは全部で96人だけでした。しかも国軍は、どの刑務所から何人の囚人が恩赦されたかを具体的に公表しておらず、また、その中に政治犯は含まれていません。ラカイン州では、アラカン軍(AA)に関連して逮捕された人々が、夜になって刑務所から恩赦されました。
2022年2月12日はパンロン合意の75周年でしたが、合意の履行は今まで実現していません。