2023年1月8日から15日までの１週間にミャンマーで起きたことです。
▼軍事政権は、彼らが計画している「総選挙」の準備として、1月9日から31日まで、国勢調査を行おうとしています。これに対しNUGは、この調査は不当な選挙のためであるから協力しないよう市民に呼びかけ、実施する者には厳しい措置をとるとの布告を発表しました。
▼マグウェー地方域、エーヤワディ地方域で、NLD下院議員が軍事評議会によって逮捕されました。最近相次いでいるNLD議員の逮捕は、軍事政権が計画している「総選挙」の準備の一環と見られます。
▼ザガイン地方域をはじめ各地の村々で、軍事政権軍の焼き討ち、空爆が続いています。
▼UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の発表によると、ミャンマーでは、2021年2月1日のクーデター以降の国外避難民が5万人に達し、2023年1月9日現在の国内避難民は120万人を超えました。
▼ASEANでは、新事務局長にカンボジア政府の元長官、ミャンマー特使に2023年ASEAN議長国のインドネシア外相が就任しました。マレーシア前外相は、ミャンマーで軍事政権が行おうとしている「総選挙」は不当な選挙であり、実施すると、いままで以上に紛争が激化するだろうと警告しています。
▼イスラエル企業が、クーデター直前のミャンマーにスパイウエアを販売した疑いが明らかになりました。このソフトウェアは、通話の盗聴、電子メールの閲覧、ユーザーの位置追跡等を行うことができます。販売先のミャンマー政府系郵便通信会社に出資するKDDIと住友商事は、この件に関するコメントを拒んでいると報道されています。
目 次
国内情勢
◆マンダレー国民防衛隊 (MDY-PDF) の 5 つの大隊と国民統一政府 (NUG) 国防省が 1 月 5 日に会合。「我々の新しい解決策は、2023 年に戦争を加速することだ」と、MDY-PDF のスポークスマンは述べた。
◆PDFのドローンを恐れるネーピドー、ヤンゴン。軍事評議会は、マンダレー空軍と空港にドローン制御攪乱装置を設置した。
◆国民統一政府（NUG）は9日付の布告で、軍評議会が開始した国勢調査は軍主導の不当な選挙のためであるとしてこれに協力しないよう市民らに呼びかけ、調査を実施する行政局職員や入管職員らをテロ防止法違反で訴追し厳しい措置を講ずると警告。 軍は9日から31日までの間、国勢調査の実施を予定している。
経済ビジネス
◆国民統一政府NUG計画財務投資省は、世界的に有名な宝石の産地モーゴウッ（モゴック）の鉱山の採掘権の販売と内外投資の誘致を行っている。この他NUGの財源確保のための事業としてコンドミニアムの販売などが計画されているとiう。
◆イスラエル企業が、クーデター直前のミャンマーにスパイウエアを販売した疑いが明らかになった。販売先のミャンマー政府系郵便通信会社に出資するKDDIと住友商事は、コメントを拒んでいるとのこと。
人道問題
◆UNHCRの発表によれば、2021年2月1日のクーデター以降の国外避難民は5万人に達し、2023年1月9日現在の国内避難民は120万人を超えた。（こみょー, 2023年1月14日 22:09)≪―Myanmar UNHCR displacement overview 09 Jan 2023
軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力
◆1月6日、エーヤーワディ地方域Pathein刑務所内で男性1人が死亡、64人が負傷した。現在、少なくとも8人が危篤状態にある。犠牲者は、昨年6月に逮捕されたレジスタンスグループのメンバーKo Wai Yan Phyo（35歳）と特定された。
◆マグェー地域ミンブー郡のNLD下院議員ウィンウィン氏が家族と共にプィンビュー郡シャードー村の親戚宅で８日、扇動等を取り締まる刑法第505条a項で軍により拘束された。ウィンウィン氏一家はクー後、逮捕から逃れるために親戚宅に身を隠していた。 議員と共に拘束されたのは、妻と17歳、13歳、3歳の子。
◆9日、ヤンゴンHlaingtharyar 郡区の国民統一政府と地元の反軍事武装抵抗勢力を支援したとして、同郡区出身の女性 Zin Mar Oo は、ヤンゴン市にある インセイン刑務所で重労働を伴う懲役 7 年の刑を言い渡された。被害者は昨2022年初めに逮捕され、それ以来、公正な裁判を受けることなくインセイン刑務所に投獄されている。(Chindwin News Agency, 2023年1月9日 21:12)
◆エーヤーワディ地域チャウンゴン郡NLD議長、下院議員をはじめNLD党員13人が9日夜間、自宅で拘束された。党員らは自宅を離れ身を隠していたと言い、密かに帰宅していたところを狙われた。軍は電力供給を一時的にストップし暗闇の中13人を一斉に拘束。今年の選挙に向け軍はNLD関係者の拘束を急いでいる。
◆ヤンゴン地域タンリン郡で拘束されたロヒンギャ80人のうち1人が虫垂炎で死亡。残り79人に対し、軍評議会のタンリン郡裁判所が10日、入管法違反で禁錮2年を宣告。 成年者はインセイン刑務所に、未成年者は少年更生施設に送られた。
◆チン民族戦線CNF/CNAの司令本部が軍による空爆を受け、隊員5人が死亡、10人が負傷した事件に関し、店を閉めて哀悼の意を表したハーカー市内の店舗経営者17人が12日、軍に拘束された。
軍事政権による国民・財産への攻撃
◆ザガイン地域ミャウン郡パンニョー村をエーヤーワディ川沿いに進行して来た軍部隊が9日午後3:20頃から攻撃。住民の財産の略奪や焼き討ちを行った。焼き討ちの被害の程は分かっていない。 財産を略奪し持ち去ろうとした軍部隊を地元防衛隊が襲撃し、財産を奪還した。
◆シャン州南部ぺーコン郡イーヌエ村落区ライ村上空を10日午前と午後1回ずつ、軍の偵察機が30分に渡り旋回。授業を受けていた児童約50人が怯えて近隣に避難。戦闘は起こっていなかった。ライ村周辺には、ぺーコン郡、モービェー郡、カヤー州の住民2千人余りが空爆や重火器攻撃から逃れて避難している。
◆タニンダリー地域ダウェー県ラウンロン郡ヒンジョードー村に11日午前中、ボートで川を移動して来た兵力20人程度の軍部隊が侵入。住民の携帯電話を没収した後、民家に火をつけたため4棟が消失。
◆ザガイン地域ディペイン郡で過去1週間に軍が行った焼き討ちで、高齢者2人が亡くなった。それぞれサッピャージン村、インダインレー村の住民。 地元戦災避難民支援団体は、避難の際、高齢者を村に残さないよう呼びかけているが、歩行困難者も多く同様のケースが相次いでいる。
◆Free Burma Rangersの創設者で米軍出身の人道支援家David Eubank氏によれば、カレン州ラインブェ郡レーワー村を12日軍が戦闘機2機で爆弾を投下し教会に落下。2歳の子供とその母親、バプテスト教会牧師、カトリック教会神父、住民1人が死亡。建物は全壊。 村の学校では授業中。一歩間違えばとEubank氏。
武装抵抗・PDF・戦闘
◆ヤンゴンで、治安部隊が爆弾で攻撃されて銃撃戦となり、一部の兵士が負傷した。マンダレーでもスペースバー爆弾が爆発し、車が炎上した。
◆チン州タンタラン郡ビクトリア山上に所在するチン民族戦線CNF本部敷地内の家族寮と基地を10日、軍が空爆。少なくとも隊員5人が死亡、10人が負傷。戦闘はなく急襲だった。 投下された爆弾5発のうち4発がCNF敷地内に、1発はインド領土内に着弾した。
国際関係
◆ASEAN のカオ新事務局長(カンボジア政府元高官)就任、｢ミャンマー情勢対応で結束と協力を」と。
◆ミャンマー特使に、2023年ASEAN議長国のインドネシア外相が着任。
◆タイで、ミャンマー軍の武器ブローカーであるトゥン ミン ラットが麻薬密売と流通の容疑で逮捕されて家宅捜索された際、ミン アウン フラインの息子アウン プーンが所有していた高価なコンドミニアムの所有権権利証と、娘のキン ティリ テット モンの通帳が含まれていた。
◆マレーシア前外相は新聞への投稿で、ミャンマー軍事政権が行おうとしている「不正選挙で紛争激化」との見解を表明。ミャンマーが「世界で最も市民に対する暴力と略奪、財産の破壊が多い国」だと主張した。
Follow me!
08-15/JAN/2023 #WhatsHappeningInMyanmar