12-18/MAR/2023 #WhatsHappeningInMyanmar

2023年3月12日から18日までの1週間にミャンマーで起きたことです。

▼2月の戒厳令発令地域拡大以降、ミャンマーの政治・軍事をめぐって注目すべき動きが出ています。

▼2020年総選挙で議席を獲得している国民民主党(NLD)、シャン民族民主党(SNLD)は、軍事政権がつくった新法の下での政党登録を拒否し、登録期限の28日に政党として抹消されます。これによってNLDへのさらなる弾圧の可能性があります。

全国停戦協定(NCA)に調印した7つの民族武装勢力(PPST)と軍評議会(SAC)とが、3月最終週に、現在の政治状況と和平プロセスについて非公式会合を開く予定だと報じられています。他方、停戦協定未署名7組織から成るFPNCCは15〜16日、ワ自治区パンサンで会合し、決定には内戦解決への中国介入を歓迎することが含まれています。

▼軍はザガイン地方域、マグウェ地方域、マンダレー地方域、シャン州、カヤー州で地元PDFの拠点への奪還・掃討作戦を展開。村を襲撃して焼き討ち、村人の拘束や殺害を行い、数千人、1万人の住民が避難しています。ミンアウンフラインは19日の日曜日、抵抗の強いザガイン地方域を訪問して兵士たちに軍内の結束を呼びかけ、兵士が受けた軍事訓練をどのように最大限に活用すべきかについて長い講話を行いました。

▼国連総会で、ミャンマー問題担当の国連事務総長特使は、包括的政治対話が実現しないまま軍が選挙を実施すれば暴力は悪化する等と報告しました。

▼米国務省顧問はインタビューに答え、日本にもミャンマー民主派支援に関与を促すと発言しました。

日本政府は、ミャンマーの社会サービスのためにUNICEFに12億5,000万円の無償資金協力を実施。

▼ロヒンギャ難民に対する英国の援助が2年前の約180億円から82%減少しています。

目   次

国内情勢

◆シャン民族民主党SNDP、通称ホワイトタイガーは、元NLD議員のフラテー氏をヤンゴン地域臨時責任者に任命。 同党は今般軍の呼びかけに応じて政党登録を果たしており、軍主導の選挙に参加する意向を示しているが、フラテー氏は過去にクーデターは決して許さないと発言しており、出馬するか否かは不明。

◆シャン州の州都タウンジーで、パオ族が集会。 先週うちの事業地でもある、パオ族の村を国軍が攻撃。僧侶を含む数十人が殺された。殺したのは国軍。それが、プロパガンダによって市民軍によって村人が殺されたことになって、パオ族が反市民軍集会を実施。

◆ロヒンギャ難民の帰還にかかる調査のために軍評議会ラカイン州福祉大臣率いる一行が15日、バングラデシュ・テクナフの難民キャンプを訪問。NLD政権時代に帰還を希望した難民29世帯を対象に1週間の調査を実施予定。難民及びその支援者は対外的なポーズにすぎないと一蹴。村の再建も手付かずだと指摘。

◆全国停戦協定(NCA)に調印した7つの民族武装勢力(PPST)と与党SACが3月の最終週に非公式会合を開く予定。異常な政治状況と和平プロセスについて話し合うことが目的。

◆停戦協定未署名7組織から成るFPNCCは15〜16日、ワ自治区パンサンで会合を招集。KIO、AA、KNLA、TNLA、UWSA、MNDAA、SSPP、NDAAの指導者が出席。7つの決議事項には内戦解決への中国介入を歓迎する項目が含まれていることが分かった。 先月、鄧錫軍・中国特使がUWSA、NDAA、KIO指導者と会談している。

◆スーチー氏の党、消滅へ 28日期限の政党登録を拒否。

◆シャン民族民主党SNLDは16-17日に開かれた中央執行部会合で新法の下での政党登録を行わない方針すなわち解党を決定した。 軍が選挙実施時期を明確にしていないこと、党員の住む一部地域がアクセス不能で政党として存続すべきか否か党員に意向を諮れないことが理由。 同党は2020総選挙で42議席を獲得。

経済ビジネス

◆ミャンマー中銀が外国為替業務ライセンス取消しされる会社を発表。Myanmar National Airlines がそのリストに含まれている。

人道問題

◆今年2月後半からカヤー州に軍部隊12部隊が侵攻。ディモーソー郡の戦災避難民の暮らす村に重砲を撃ち込むなどしており、避難民に負傷者が出ている他、周辺で地元防衛隊との戦闘が起こり避難民が閉じ込められている。支援者が救出にあたるが食料、医薬品が枯渇している。

◆チン州パレッワ郡サミー村の避難民キャンプで暮らす避難民に対し、今月末までに自宅に戻るようパレッワ郡の軍部隊が圧力をかけている。帰還のための費用として1人につき9千チャット及び1世帯10万チャットが軍から支給されたが、帰りたくても地雷が残っており安全が確保されておらず帰れないと避難民。

◆ロヒンギャ難民に対する英国の援助は、2019-20年-の 1 億1,236万ポンドから、2022-23年には2,026万ポンドへと82%減少。Burma Campaign UKは英国外相に、ロヒンギャの子供たちの命を救うために減額を緊急に撤回するよう求めている。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆軍事政権は16日、 2021 年から、「軍事政権を根絶する」という2021 年 6 月 22 日コメントを含むメディアの Facebook 投稿を共有したとして、ザガイン地方域の Shwebo 町で 57 歳の男性を逮捕した。

◆72 歳の女性が、NUGが提供する教育サービスである FOEIM (Free Online Educational Institution Myanmar) に孫を登録した疑いで、軍事政権に逮捕された。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆マグェー地域パウッ郡オンドータウンズ村及びオンドーミャウッス村を軍が11日午前中に襲撃し、焼き討ち。民家70棟近くが焼失。 住民男性2人が拘束された。 周辺の村の住民6千人が退避。

◆カヤー(カレンニー)州ディモーソー郡東部に軍が進撃。 地元防衛隊との間で戦闘が始まり、地元住民約1万人が避難。

◆シャン州南部モービェー郡レートゥン避難民キャンプを軍第66師団が襲撃。78歳男性、81歳女性、15歳少年が軍に射殺されたとPDF第2大隊が14日に発表。少年は軍の進撃に気付き、両親に伝えに行く途中だった。 クーデター後、今年3月1日までに避難中に死亡したシャン州南部の避難民は130人にのぼる。

◆ザガイン地域モンユワ郡タナウントータウン村を15日午前6時頃、軍部隊が襲撃。民家60棟を焼き,70代の男女3人を焼殺した。

◆軍はザガイン地域ザガイン郡エーヤーワディー河岸一帯で掃討作戦を展開。16日には国民防衛隊PDFの隊員を捜しに村に侵入した軍兵士らにより、メーバリーチャウン村の僧侶とシュエゲーピャン村の住民女性1人が殺害された。

◆マンダレー地域マダヤー郡アインダイン村に国民防衛隊が隠れているとの情報を得た軍が17日、村に侵入し住宅を焼き払った。 この軍の侵攻により同村を含むエーヤーワディー河岸の村の住民は、移動困難者や留守番のために残った住民を除いて全員村外へ避難した。

◆ザガイン地域ウェッレッ郡タマーヨー村に17日午後2:54、軍が侵入し占拠。僧院1棟と住宅269棟を焼き、高齢の住民女性1人を焼殺した。 地元住民によれば以前は1村を侵攻する軍部隊は1個のみだったが最近では、複数部隊が同時に侵攻するケースが増えているという。

◆ザガイン地域シュエボー郡セイッコン村を18日、軍が戦闘用ヘリMI35から銃撃。これにより同村の22歳の男性と63歳の女性が死亡した。

武装抵抗・PDF・戦闘

◆マンダレー地域ヌワトージー市の電力公社及び行政局で警備に当たっていた軍兵士らを13日、PDFがドローンで爆撃。行政局の男性職員1人が死亡。 同日軍兵士を伴い電気料金の集金を行っていた電力公社職員らを乗せた車両が3回爆発物による攻撃を受けた。PDFは軍側と行動を共にしないよう呼びかけている。

◆チン州ファラム郡に装甲車2台、軍車両40台、兵員200人程度の軍車列が侵入。12日と14日に地元防衛隊CNDFが時限爆弾で待ち伏せ攻撃したことで戦闘が発生。 またティデム郡にもマグェー地域を拠点とする軍部隊の軍用車80台が到着。ミンダッ、マトゥピー郡に進撃する可能性あり。

◆軍事政権は、ザガイン地方域、チン州、カヤー州のレジスタンスの拠点を奪還することを目的とした焦土作戦中に残虐行為を強化するため、大規模な増援を展開している。

国際関係

◆日本政府、ミャンマーにおける基本的な社会サービスへのアクセスを支援するため、UNICEFに12億5,000万円の無償資金協力を実施。

◆ミャンマー問題担当のノエリーン・ヘイザー国連事務総長特使は16日、国連総会で軍は長期安定化のために選挙を実施しようとしている。包括的政治対話が実現しないまま選挙が実施されれば暴力は悪化する。国民は軍を信用していないと報告。軍は市民に対する空爆や焼き討ち等人権侵害を続けているとも。

◆使用不能になった戦闘機の修理のため、パキスタンのチームがミャンマーに到着。

◆ドゥジャリク国連報道官は17日の会見で、軍評議会が着手したロヒンギャ難民帰還プロジェクトへのUNHCRミャンマー事務所長の関与を示すEメールが流出した件に関し「現状難民が安心して帰還できる状況にない」として関与を否定。いかなる難民も強制的に帰還させられるようなことがあってはならないとも。

◆米国務省のデレク・ショレ顧問、日本にもミャンマー民主派支援に関与を促す。

◆ザガイン地域タムー郡と国境を接するインドのマニプール州モレ郡に避難するザガインからのミャンマー人避難民を地元警察が集中的に逮捕。過去2ヶ月で170人が逮捕された。ローントライ県内の17村の住宅を特別作戦部隊がくまなく捜索。このため避難民は、村を離れ山中に隠れることを余儀なくされている。

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