国民統一政府 (NUG) が承認した暗号通貨「USDT (テザー)」

国民統一政府 (NUG) は2021年12月11日、USDT(USD Tether)の国内での使用を正式に承認しました。
その目的は、国内の商業・サービス・支払いシステムをより良く、より速くするためです。

USDT (テザー) は、どんなものですか?

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USDTは暗号通貨の一種で、昨年8月に、軍事政権の支配から脱しようとしたITに詳しい人によって作られたMYD (ミャンマードル) とは関係ありません。

USDTは価値が安定するように設計された仮想通貨 (Stablecoin) です。

USDTは米ドルと1対1で価値を等しくしているため、現在の外部米ドル価格に近く、購入した場合、他の暗号通貨のように価値の変動が少ないため、暴落して価値がなくなる可能性は低くなります。USDTの価格は、ドル価格によって変動します。

USDTをローカルデジタル通貨として定義したとき、
どんなメリットがありますか?

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暗号通貨は、簡単に言えば分散型通貨です。
現在の銀行口座では、お金を送金した場合、誰が誰に送金したかが銀行に記録・管理されます。しかし、USDTをお金として使用した場合、誰がお金を送金したかを一元管理できないという利点があります。個人情報は表示されなくなります

USDTでは、人の名前と情報を使用する代わりに、暗号化されたデジタル番号のみを使用して支払いを行っているため、 自分がそれを受け取っていると話さなければ、誰も支払いがあったことを知りません。
ただし、支払いを行うトランジションはパブリックネットワークに投稿されるため、オープンでもあります。
つまり、誰から誰に、いくら送金した、ということを知ることはできません。その代わりに、たとえば「0ajshgd46djdksklから12NsUKp28kslahに」ということしか見ることができません。
ですから、USDTは安全でオープンであると言うことができます。

この結果、送金しても政府や組織、あるいは銀行は、個人情報の閲覧ができなくなります
そして、送金や寄付をしても、逮捕されたり、口座を凍結されたりすることなどは決して起こりません。自分の方から発表しないかぎり、誰もそのことを知らないので、安全に使えます。

USDTの弱点/注意点

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上記のように、暗号通貨は個人情報のプライバシーを保護しているため、逆に、多くの詐欺につながる可能性があります。そして、詐欺にあったとしても犯人を追跡することは不可能です。

注意点としては、暗号通貨をネット上に保管する暗号通貨ウォレット(Kpay、CBpayなど)のセキュリティ情報を他人に教えないこと、送金の際に送金先のウォレットアドレスをよく確認すること、インターネット上のすべての人は信頼できないと覚悟することが重要です。

ミャンマー通貨でUSDTを買う方法は?
為替レートはいくらですか?

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現在、仮想通貨取引所バイナンス (Binance.com) でミャンマー通貨の暗号通貨を購入できます。
しかし、アカウント登録するだけでは、他のアカウントと交換するための購入はできません。KYCという個人情報(パスポート/運転免許証など) を提出する必要があります。 次に、「人から人への直接取引 (P2Pトレード)」メニューに入り、ミャンマー通貨で各マーチャンダイザーからUSDTを購入できます。

たとえば2022年2月3日の為替レートは、1USDT=2,014 MMK (同日の公定レートは、1USD=1,780.58 MMK)でした。

現在のところUSDTは、NUGの発表以後も国内では広く使用されていません。
NUG政府は、USDTは国債を購入する際に使用できると述べていますが、世界中のミャンマー人は国債を購入する際、現在のところ、国際送金のみを使用しています。

NUG財務投資省:2021年12月11日付通知「USDテザー(USDT)は国内での使用が公式に認められている」

USDTのこれからは?

USTDは法定通貨ではないので預金保険で保護されず、また匿名性からマネーローダリングといった犯罪に利用されやすいこと、ハッキングのリスクがあること、そもそも米ドルとのリンクは何によって担保されているのかなどの課題も多く、今後どれだけ広く使用されていくかは、まだ分かりません。

昨年8月、ITに詳しい民主派の匿名のグループが、軍が管理する通貨MMKを使用しない独自の電子暗号通貨「ミャンマードル (Myanmar Dollar;MYD)」を発明しました (「独自の電子暗号通貨 (MYD)」 をご覧ください)。
しかし MYDは2021年12月18日にTelegramでプロジェクト終了のお知らせを発表して運用を停止し、そのWebサイトは閉鎖されました。NUGからの承認が得られず、NUGがUSDTの使用を12月11日に発表したからだと見られます。

なお、軍事政権は2022年1月24日、

仮想プライベートネットワーク(VPN)を使用した者には1〜3年の懲役または500万チャット以下の罰金を科す
デジタル通貨・暗号通貨を使用した者に6か月から1年の懲役または500万チャット以下の罰金を科す

という新しい電気通信法を発表して、USDTの使用を禁じました。

本稿は、一部 https://www.facebook.com/108979994329495/posts/379707603923398/?d=n を参考にしました。

国軍側も、デジタル通貨の導入を検討中と発表

国軍側も、2022年2月3日、軍事政権副情報相が、ミャンマーの金融活動を改善させるためにデジタル通貨の導入を検討していると発表しました (Khine Lin Kyaw, “Myanmar Plans Its Own Digital Currency This Year to Lift Economy,” Bloomberg, 2022年2月4日 12:57 JST)。

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