06-12/Nov/2022 #WhatsHappeningInMyanmar

2022年11月6日から12日までの1週間にミャンマーで起きたことです。

▼軍事政権は、引き続きザガイン地方域での大規模掃討作戦を続けている。村々に軍部隊が侵入し、家屋を焼き討ちしている。マンダレー地方域、マグウェ―地方域、ラカイン州でも、焼き討ちが報告されている。クーデター後、3万8,568棟以上の民家および建物が焼失し、その94%が2022年中に焼損した。
▼軍事政権はカチン州で重砲を放ち、チン州、カレン州で戦闘機、ヘリコプターからの空爆を行った。
▼軍事政権による国民への攻撃から避難している住民が増加し、マラリアの流行、医薬品の不足、雨期が終わり涼期に入るにつれ毛布やビニルシートの不足などが深刻化している。クーデター以降、50万人の子どもが家を失ったという報告もある。
▼10日にASEAN首脳会議開催。ミャンマーからの出席はなし。
▼軍事政権は、SIMカードに登録したユーザー名と身分証明書番号を入国管理・人口省のリストと照合し、一致しないSIMカードを利用停止にすると発表。モバイルインターネットへの監視をさらに強化した。

目   次

国内情勢

◆ミャンマー春の革命と共に出現したミャンマーの出版物、ニュースメディアを(手の届く範囲で)調査し、提示。今のところ春の革命の期間で新しく出現した定期刊行物が40以上、地域ニュースメディアは150以上が観測される。

◆7日にカレン州パアン市で開催予定のカレンの民族行事、第67回カレン州の日記念式典の開会式会場への入場制限が設けられることになった。セキュリティーカードを携帯していない者は入場が認められない。情報筋によれば、会場には、空爆に備えてドローンの空中迎撃機能を備えた武器が準備されている。

◆カレン州パアン市入管及び文化博物館前の通りで6日午後8時頃、爆発が起きた。7日に軍統制下のカレン州政府の主催で第67回カレン州の日記念式典が開催予定の競技場の近くだという。負傷者の有無は分かっていない。 式典には軍評議会幹部の出席が予定されている模様。

◆ヤンゴン市内を運行する路線バスYBS22(フラインターヤー郡区〜市の中心部)と94(タウッチャン郡〜ヤンゴン中央駅)上で強盗事件、暴力事件が発生。22ではナイフを持った集団が金品を奪って逃走。94ではスリ行為を撮影しようとした乗客への集団暴行事件が発生した。

◆来年からユーザー名と身分証明書番号を入国管理・人口省のリストと照合し、登録データが一致しないSIMカードを停止すると軍評議会が発表。来年、実施しようとしている「総選挙」への反対運動を抑え込む意図か。

◆2020年総選挙実施から丸2年となる今日、NLD中央執行委員会が声明を発表。その中でNLDは、ASEANやその他のミャンマー担当特使は、問題解決の糸口を見つけるためにアウンサンスーチー氏との面談を果たす必要があると主張。また同氏をはじめとする政治囚の解放を最重要課題として取り組むべきだと訴えた。

経済ビジネス

◆ヤンゴン地域の火力発電所に天然ガスを輸送するヤダナ、ゾーティカ輸送管の漏洩や送電鉄塔の破壊により、ヤンゴン市内への電力供給が滞り、3週間に渡り長時間停電が続いている。ヤンゴン電力公社によれば、輸送管の修理が完了するまでの一定期間、停電が続く見通し。

人道問題

◆ミャンマー・タイ国境でマラリア流行 医薬品も不足。カイン州で避難している住民たちは、蚊帳もないテントで、着の身着のままの生活。

◆ラカイン州ポンナーチュン郡スィンイン村を軍の第550軽歩兵大隊が10日、重火器、ヘリコプター、ドローンで攻撃し、住民9人を虐殺した事件に関してアラカン軍(AA)が11日、「戦争犯罪を犯している」と軍を非難する声明を発表した。

◆12日、ラカイン州北部ミャウウー郡チャウンダウン村に重砲3発が着弾。11歳の子供と40代の女性が負傷。負傷した子供はミャウウー病院で治療を受けており重傷。 軍からはコメントなし。 10/31付の国連人道問題調整事務所(OCHA)の報告によれば、ラカイン州内の戦災避難民の数は1万3千人にのぼる。

◆チン州山岳部に続く州境に位置するヨー地域として知られるマグェー地域ティーリン郡の村落で軍により民家約150棟が焼かれたために避難している住民2,000人余りが緊急に支援を必要としている。雨期が終わって間もなく涼期に入るため、毛布やビニールシートが必要だという。

◆ミャンマー国内の紛争によって子供約50万人が家を失った。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆2日カレン州ミャワディ市内でロヒンギャ101人がコーカレイ県警察に逮捕された。ラカイン州ブーディーダウン郡から車両で移動中だった。ロヒンギャは、コーカレイ郡入管副局長に1949年国民登録法第6条2項及び3項で起訴された(それぞれ最大禁錮2年)。輸送を手伝った4人は刑法367条等で起訴された。

◆ヤンゴン東部大学学生連盟議長マ・スーイェーリンさんが新たに詐欺罪と公文書偽造罪の2つの容疑で訴追された。最高で7年の禁錮刑に処される可能性がある。 昨年12月に抗議デモに向かう途中で拘束され、刑法505条a項で懲役3年の刑が言い渡されていた。

◆マグェー地域ソー郡レッパン村で10日、住民女性4人を軍が拘束。17歳の女性のみ解放された。残り3人はいずれも40代で今も拘束されたまま。拘束の理由は不明。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆3日、シャン州クッカイ郡の神学大学が軍の重火器による攻撃を受け、授業を受けていた学生4人が負傷、建物が損壊した事件に関し、カチン・バプティスト代表者会議(KBC)は強い衝撃を受けているとコメント。

◆カチン独立軍KIAの支配地域の本拠地であるカチン州マイジャーヤンに6日午後1時頃、軍が重火器を4発撃ち込んだ。KIAによれば負傷者はいない。

◆ザガイン地域モンユワ郡タンレービン村に6日午前7時、兵力150人程度の軍部隊が侵入し民家に火をつけたため住民は村外に避難。ジョーズ村に駐留していた軍部隊は5日、ニャウンビン村の部隊と合流しタンレービン村を焼き討ちした。

◆7日夕方、ザガイン地域ウェッレッ郡シェインマカー村に向けて軍の放った重砲が民家に着弾し、住民女性が死亡、住民2人が負傷。 8日午前中には、シェインマカー村近くのバダウッチョン村に50人程度の兵員を伴う軍部隊が侵入し、焼き討ちを行った。

◆8日午後6時頃、マンダレー地域ミンジャン郡のピャー村を軍が焼き討ち。同日午後4時に同村近くで戦闘が起こった後の出来事。激しい炎が立ち上っており近隣の山中からも見えるほど。住民は民家全1,000棟を残して避難。被害の程度は分かっていない。

◆ミャンマー戦略政策研究所(ISP Myanmar)によれば、クーデター発生後10/31までの21ヶ月間で軍の焼き討ちで焼失した民家及び建物は少なくとも3万8,568棟にのぼる。うち7割がザガイン地域シュエボー郡で3,494棟。 被害棟数のうち94%が2022年中に焼損。5月が最多。 軍の攻撃が苛烈化していることがわかる。

◆7日から9日にかけて、互いに隣接するマグェー地域イェーザジョー郡、ザガイン地域ミャウン郡の7村を兵員総数400人程度の複数の軍部隊が焼き討ち。住民は退避。軍はPDF支援を疑っている模様。 エーヤーワディー川とチンドゥイン川の合流地点で軍は川を船舶で移動し侵攻。

◆ヤンゴン市バベーダン選挙区選出のNLD議員スィートゥーマウン氏の両親宅(ヤンゴン市フライン郡区所在)が、8日軍評議会の警察官及び地区責任者ら10人により差し押さえられ、施錠(cheik peik)された。 同議員によれば両親宅は、本人名義ではなく、議員が住民票を置く住所でもないという。

◆ヤカイン州ポンナーチュン郡スィンインジー村近くで、軍の食糧輸送車3台がアラカン軍(AA)によって爆破された後、10日午前6時頃、軍がスィンインジー村を焼き討ち。住民は僧院に避難している。

◆12日、総住宅数約3,000戸のザガイン地域ミャウン郡パレインマー村で軍が放火を開始。放火は村全体に及んでいる。住民は軍の到来を事前に察知して退避。

武装抵抗・PDF・戦闘

◆7日正午、チン州ハーカー市近くを流れるティーミッ川付近を軍が戦闘機3機で爆撃。チン民族軍CNA、チン民族防衛隊CDFの臨時基地を狙ったものと見られている。

◆マグェー地域ミャイン郡ウェッポウッ村の軍製民兵ピューソーティーの拠点を6日地元合同防衛隊が重火器で攻撃。軍兵士とピューソーティーが重火器で応酬しチャウンウートー村に着弾。60歳の住民男性が死亡。 7日タンヤーガウン村に向けて軍とピューソーティーが銃を乱射。住民のバイクや金品を奪った。

◆軍による苛烈な攻撃を受けるミャンマー北西部の山中で武器を取って抵抗する国民防衛隊PDFの若者たちが、YouTubeや軍兵士から押収した武器を参考に手製の武器を製造する様子を映した動画。武器製造過程で命を落とす隊員もいるという。 <動画あり>

◆東部カレン州ミャワディ郡テボーボー村一帯を10日午前10時と午後1時の2回に渡り、軍がヘリコプターと戦闘機を使用して銃撃や爆弾投下を行った。戦闘は起きていなかった。 攻撃を受けたのは、カレン民族解放軍(KNLA)-国民防衛隊(PDF)の合同部隊が活動する地域。 被害の程度は不明。

国際関係

◆EUは8日、軍評議会関係者19人を制裁対象者に追加した。 追加されたのは、 Dr.カンゾー投資対外経済関係相、トゥントゥンウー最高裁長官、ゾーミン刑務所局長、トゥンアウン中将、空軍司令官 各軍管区司令官、特別作戦室長、クローニーなど。 いずれもクーデター後SACが新たに任命もしくは継続を認めた人物。

◆10日に開催予定の、米大統領、中国国家主席を含む各国首脳が出席するASEAN首脳会議で、ミャンマー問題への対応が優先的に協議されることを比大統領が明らかにした。 今回もミャンマーから招かれているのは非政治的な代表のみ。比大統領は軍の代表を招待すべきである旨提案すると過去に発言している。

◆ミャンマーの避難民とバングラデシュのロヒンギャ難民への人道支援として豪政府は1億3千5百万ドルを供与することを発表。 クーデター前に支援を必要としていた国内避難民の数は100万人程度だったのに対し、クーデター後、1,450万人に。

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