2023年9月10日から9月16日までの1週間にミャンマーで起きたことです。
▼7月に軍人が局長に任命されて以来、全国刑務所で政治囚の人権侵害が悪化。モンユワ刑務所では不当な扱いに抗議して政治囚50人が6日間ハンガーストライキを行い、軍事政権刑務所当局に要求を認めさせた。
▼ロシアとの関係が深まっている。ロシア製戦闘機2機を引き渡し、軍事評議会の外務大臣がロシア外務大臣と会談し、政治、貿易 ビジネス以外にも、防衛および安全保障協力について議論。経済面でも、ロシアのミール決済システムのカードの受け入れ、ミャンマーとロシアの間でチャット・ルーブルによる直接支払い予定。
▼ザガイン地方域モンユワ郡区で逮捕された地元抵抗勢力の6人が、体中に拷問を受けて殺害され、切り刻まれた恐ろしい映像が、軍事政権のネットワークに投稿された。
▼KNUはタイ国境の軍事評議会基地を占拠して大量の武器弾薬を捕獲した。これら銃弾が何千人もの地元住民に使われないですんだ。
▼カレン州、バゴー地方域で軍事政権軍の空爆、焼き討ちが行われ、多数の住民の避難が報告されている。
▼国連ミャンマー独立調査機構(IIMM)は国連人権理事会に、ミャンマーにおける戦争犯罪と人道に対する罪の頻度と強度が劇的に増加していると報告。
▼軍事政権が議長を務めるASEAN第20回空軍司令官会議に、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピンは不参加。
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目 次
国内情勢
◆10日、ロシア国有通信社RIAは、ロシア製戦闘機スホーイ30、2機がミャンマーに到着したとする軍評議会商業大臣の発言を報じた。ウラジオストクで開催されていた東経済フォーラムに参加中の発言。昨年9月にロシア政府と軍評議会との間で交わされた戦闘機6機の売買に係る合意が初めての履行されたもの。
◆10日、ミンアウンフラインらはシャン州ラシオの北東部軍司令部で、軍事政権の国境警備隊を含む民兵組織指導者7人と会談し、戦うよう説得した。シャン州の中国国境近くでは7月下旬から、軍事政権はKIAおよびTNLAの激しい攻撃に苦戦し、兵力が不足している。
◆国際的な機関は調査支援を否定しているなか軍事政権は国勢調査を進めており、これが反体制派へのさらなる弾圧に利用され、紛争が激化する可能性があると多くの人が懸念している。さらに軍事政権は、すでに約70万人から生体認証データを収集し、e-ID登録システムに入力していることが報じられている。
経済ビジネス
◆クーデター以降、軍の資金源を断ち切るために、軍系企業製品へのボイコットが市民の間で続いているが、警察や地区行政長が店舗や個人に対し、ボイコットの対象となっているMyanmar Beerやタバコ、通信事業者MytelのSIMカードなどを扱うよう直接圧力をかけ始めている。
◆軍事政権の投資・対外経済関係大臣は11日、ミャンマーは10月にロシアのミール決済システムのカードの受け入れを開始すると発表した。ミャンマー中銀と商業銀行6行との間でミールカードに関する協定が締結された。専門家は、ロシアカードはミャンマーを訪れる外国人が使用するだろうと述べた。
◆ドル不足に悩む軍事政権が輸入制限を続けているために、ニーズの90%を輸入に頼っているインスリン価格が高騰し、糖尿病患者が危機に直面している。ミャンマーでは成人の10人に1人以上が糖尿病を患っており、薬価高騰が公衆衛生に悲惨な影響を与える可能性が心配される。
◆ミャンマーは、ミャンマーとロシアの間でチャット・ルーブルによる直接支払いを実施する予定。
人道問題
◆People Defense Force (PDF) は、ミャンマーのマグウェ地方域の住民に医療サービスを提供しています。
◆Landmine and Cluster Munition Monitorによる調査で、ミャンマー国軍が2021年の軍事クーデター以来クラスター爆弾を製造し、過去13ヶ月間の空爆でチン、カレン、カレンニ、シャンの各州に投下していることが判明した。
軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力
◆ザガイン地方域モンユワ郡区のKyemong村近くで6日に逮捕された地元抵抗勢力の6人が、体中に拷問を受けて殺害され、切り刻まれた恐ろしい映像を、軍事政権のスパイネットワーク「フィフティツー」が投稿した。 軍事政権の強硬派支持者らは軍事政権に対し、彼ら全員を殺害するよう求めた。
◆ミャンマー・ナウの調べによると、2か月前に軍事政権によって軍人が刑務所局長に任命されて以来、全国の刑務所における基本的権利の侵害が増加。 特に食事と通信に関して、受刑者に対する新たな制限が導入された。差入れ時に戸籍原本の提示を求められ、以前の半分の食料差入制限、家族への手紙も禁止等。
◆PDF支援容疑で逮捕されたモーカウン市ガソリンスタンドのオーナーKhin Ma Shwe氏(50歳・女性)を、11日午後3時45分、同市に拠点を置く第3歩兵旅団の少佐とそのチームが警察に引き渡しを要求して取り調べ、殴打して殺害した。
◆AFP/Nicholas SHEARMAN作成の、クーデター以降13日までに、拘束され (19,454人) て殺害 (4,075人)された市民・活動家数の推移グラフ。
◆14日に国民民主連盟NLDは、収監中のアウンサンスーチー氏が医療サービスが受けられない状態にあり健康に配慮した食事や住環境が提供されていないため生命に危険が及ぶ可能性があると指摘し軍を糾弾。同氏の息子も軍当局に適切な医療措置を施すよう求めている。ASEAN首脳会議でも各国首脳から危惧の声。
軍事政権による国民・財産への攻撃
◆14日、カレン民族同盟KNUの発表によれば、バゴー地域モン郡ホーコーゴー、メータリン、スィンパレー村上空を軍が戦闘用ヘリコプターで13回に渡り旋回し、機上掃射を行った。これにより住民約5千人が避難。軍の攻撃を恐れて15日時点で住民は村に戻れていないため被害の程度については確認できていない。
◆15日、軍事政権軍がカレン州KawthooleiのKler Lwee Htu地区Haw Ko Ghaw村で民間人の家を焼き払ったビデオ。彼らは戦争の戦術として、国中で民間人の住む村を組織的かつ広範に焼き討ちしている。
平和的抗議・CDM
◆政治囚が多く収監されているザガイン地域モンユワ刑務所内で8日に始まった政治囚によるハンガーストライキが広がりを見せている。11日現在で50人が参加。きっかけは、軍当局による刑務所内の捜索と収監者の所有物の没収。
◆11日、元政治犯、PDF隊員、反クーデター活動家らは、ザガイン地方域モンユワ刑務所でハンガーストライキ中の政治犯14人を支援するオンライン抗議活動を組織した。 ハンスト参加者にはモンユワ出身の反クーデター抗議活動指導者で、大逆罪などの罪で懲役52年の判決を受けたワイモエナイン氏も含まれる。
◆モンユワ刑務所での政治犯50人のハンガーストライキは、軍事政権刑務所当局が13日午前11時頃、4つの要求を受け入れ無事終了した。 モンユワ人民ストライキ闘争運営委員会は、軍議会の不正義と弾圧に屈しない強い精神で抵抗した政治犯たちの革命精神を敬意を持って記録し、讃えるとの声明を発表した。
◆刑務所管理者らは交渉後に適切な治療を約束したが、5日間食事を拒否したストライキ中の受刑者の現在の健康状態は未確認である。
武装抵抗・PDF・戦闘
◆11日、PDF (Mandalay) は、反政府民族組織TNLAと7月15日から9月15日までマンダレー地方域とシャン州北部で展開した反政権のKanaung作戦中に、共同で政権軍76名を殺害し、多くの武器を押収したと発表。
◆14日、KNUはタイ国境の軍事評議会基地を占拠し、大量の武器弾薬を捕獲した。これらの銃弾はいずれも致死的であり、銃弾を押収したことはミャンマーの何千人もの命を救うことを意味する。私たちは、KNU の勇敢な自由の戦士たちの勇気に感謝の意を表します。
国際関係
◆東南アジア議員連盟は、ミャンマー情勢への対応に関するASEAN首脳会議の共同声明は「不十分」だと批判。
◆11日、国連ミャンマー独立調査機構(IIMM)は国連人権理事会に、ミャンマーにおける戦争犯罪と人道に対する罪の頻度と強度が劇的に増加していると、証拠や聞き取り調査に基づき報告。この証拠は、人道に対する罪の責任者を起訴する意欲と能力のある法廷での正義と説明責任を促進するために利用される。
◆ミャンマー軍事政権が議長を務めるASEAN第20回空軍司令官会議に出席している空軍司令官は、ASEAN加盟10カ国のうち、ブルネイ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムのわずか5カ国の空軍司令官のみ。ミャンマー軍事政権の空軍は、多くの民間人を虐殺している。
◆ロシアを訪問中の軍事評議会の外務大臣がロシア外務大臣と会談、政治、貿易 ビジネス以外にも、防衛および安全保障協力について議論した。
◆地元住民が4日午後、80~100人のミャンマー国軍の部隊が国境を越えて侵入しているのを見つけ、タイ軍に通報した。タイ野党議員は「あれだけの武装した兵士は脅威」「容認できない」と話すが、タイ政府は、重大問題とはしない姿勢。
10-16/SEP/2023 #WhatsHappeningInMyanmar