3-9/SEP/2023 #WhatsHappeningInMyanmar

2023年9月3日から9月9日までの1週間にミャンマーで起きたことです。

▼ジャカルタでASEAN外相会議、特別首脳会議開催。ミャンマー問題には議長国とその前後の議長国の計3カ国で対応すること、ミャンマーが辞退した2026年議長国をフィリピンに変更すること等を決定。
▼インドネシア、マレーシア、フィリピンは、軍事評議会が主催するASEAN空軍司令官会議への参加を拒否。

▼ミンアウンフラインは2024年の国勢調査実施を強調したが、総選挙の日程は明示しなかった。

▼バングラデシュ中央銀行が米国の制裁対象2行との金融業務を停止するなど、米国等からの経済制裁に打撃を受けている軍事政権は、BRICSとその新開発銀行への参加を模索
▼軍は、ドル購入の認可権をもつ高官とともに、少なくとも100人のトレーダーや実業家を逮捕。
▼軍事政権は海外出稼労働者に、給与の25%を指定の銀行を通じて家族に送金する誓約書提出を義務付け。

モンユワ刑務所で、政治囚14人が押収された所有物が返還されなかったことへ抗議のハンガーストライキ。
ネピドー刑務所に収監されているアウンサンスーチー氏は歯肉炎と激しい歯痛に苦しんでいるが、歯科医の治療を受けられない。
▼軍事法廷は、「ミャンマー・ナウ」のフォトジャーナリスに、扇動などの罪で懲役20年を宣告。
▼軍事政権は、心理・仏教哲学系書籍出版社の出版免許を剥奪。経営者は利益の一部を戦災避難民支援に充てていた。

▼軍はクーデター後、全国で約200の宗教施設を破壊、うちチン族のキリスト教教会が85カ所。
ザガイン、マグウェ地方域、シャン州で軍が村に侵入し、住民の殺害、焼き討ちを行い、多数が避難。
▼NUG政府省庁のWebサイトがネピドーからDDOS攻撃を受けたが、情報技術省のセキュリティ部門がブロックした。
▼7日でNUGによる「自衛のための戦争」宣言から2周年。NUGの武装部隊+EAOから成る国民防衛隊(PDFs)が 、ラカイン州を除き、ネピドーを含めたすべての地域で攻勢をかけている。大統領代行は、CDM運動は軍事独裁政権打倒に効果的な国民運動であると強調。
カレン州では、KNLA等が軍事政権ミャワディ地区警察本部に対してドローン攻撃、大隊指揮官を含む5人が死亡、11人が負傷。これを報告する電報が報道機関に漏洩し、警察・軍メンバーが尋問されている。カヤー州東部ではKNDF等が軍事政権拠点を攻撃し、軍兵士30人が死亡。

目   次

国内情勢

◆9月1日に開かれた軍事評議会会議でミンアウンフラインは、国の人口を確定させ、有権者名簿を作成して総選挙を実施するために、2024年に国勢調査を実施する。そのために、2023年末までに必要な準備を行う必要があると強調した。しかし、総選挙の日程は明示しなかった。

◆軍事評議会は兵士の士気を鼓舞するために、ゾーミントゥン率いる広報・心理作戦部隊が主導してTiktokコンテストを開催し、すべての軍家族が参加するよう指示している。

◆NUGの武装部隊と民族武装組織 (EAO)から成る国民防衛隊(PDFs)が 、ラカイン州を除くミャンマーのすべての地域で攻勢をかけている。軍事政権は、現在、首都でさえも脅威下にあることを認めた。

◆5日、NUG第30回閣議で大統領代行は、CDM運動は軍事独裁政権打倒に効果的な国民運動であると強調し、この運動を拡大し続け発展させる方法を検討し、革命の実践につなげていく必要があると述べた。また、SACのメディアは本当のことを伝えず、独立系メディアも情報源に限界があり、電話・ネット回線が切断されているなかで、人々の耳と目を開くことは限界と障害に直面している。これらを理解し、最新の ITテクノロジーを使用して世界とのつながりを保ち、公共の利益を念頭に置いて取り組む必要があると発言。

◆Justic for Myanmar (JSM) は、軍事評議会に武器と資金を提供している大物実業家のリストを発表した。

◆9月3日夜のKNLAによる軍事政権ミャワディ地区警察本部に対するドローン攻撃の際、公務員を含む最大6人が死亡、10人が負傷したという情報が報道機関に漏洩したため、カレン州警察の管轄下にある郡区/地区軍のメンバーが尋問されている。

◆6, 7日の2日間、統一ワ州軍 (United Wa State Army) は、中国警察の支援を受けてオンライン詐欺組織を手入れし、逃亡者41人を含む容疑者1,207人を捕らえ、逮捕者を直ちにシャン州の中国国境で中国側に引き渡した。 彼らは全員中国人。

◆ザガイン地域カレー市内の複数の地区が豪雨の影響で冠水。避難民の生活する地域も含まれている。

ザガイン地域モンユワ刑務所で、軍傘下にある複数の機関が捜索を実施し、本や毛布等、政治囚の所有物を押収。刑務所当局に返還を求めたにも関わらず聞き入れられなかったことに抗議して、政治囚14人が8日よりハンガーストライキを開始した。

◆軍評議会は8日、Dr.ピョーティーハ氏の経営するPTM出版の出版免許を剥奪。同氏がSNS上で国家の安全や法の支配、自由や公正を乱す内容の投稿をしたためだと言う説明。同出版社は心理、仏教哲学系の書籍の出版が専門で政治的な書籍の扱いはない。同氏は利益の一部を戦災避難民支援に充てていたという。

◆8日夜、軍はドル購入の認可権をもち、物資流通監視委員会長官でもあるランナウンソー少将と、少なくとも100人のトレーダーや実業家を逮捕し、尋問している。

◆シャン州ラショー市を訪問中の軍トップが9日、10月15日に全土停戦協定NCA8周年記念式典の開催を予定していると発言。政治、民族、宗教上の意見の相違による武力衝突をなくし和平を実現させたいとも。この発言の最中にもシャン州内でタアン民族解放軍TNLAと軍との間で戦闘が継続。

◆9日、ミャンマー時間午後8時から9時にかけて、NUG政府省庁のWebサイトがネピドーからDDOS攻撃を受けた。NUG情報技術省のITサイバーセキュリティ部門は直ちに攻撃を認識し、攻撃的なIPをブロックした。すべてのWebサイトが正常に動作している。

経済ビジネス

◆1日、駐ブラジル・ミャンマー大使はブラジルのBRICS担当官に電話し、BRICSとその新開発銀行に参加する手順と要件を尋ねた。米国と欧州による制裁に大きな打撃を受け、軍事政権は新開発銀行からの融資の可能性にも魅力を感じ、中国、ロシアを含むBRICSへの参加を模索している。

バングラデシュ中央銀行は、米国の制裁対象であるミャンマーのMFTBとMICB銀行との金融業務を行わないよう8月29日に指示した。 8月、ダッカの米国大使館はミャンマーの銀行2行が制裁下にあると警告し、バングラデシュ政府は同国Sonali銀行のミャンマー預金100万ドル以上の引き出しを阻止した。

タニンダーリ地方域ダウェイ市では9月3日から7日まで雨が降り続け、川が氾濫して田畑に流入し、同市の数千エーカーの農地が水没、稲が枯れ死した。ダウェイ市では米の価格が月々上昇しており、田んぼを持っているにもかかわらず、高いお金を払って米を買って食べなければならない。

軍評議会管理下の労働局が、1日より海外での就労を希望する労働者は給与の25%を本国の家族に銀行を通じて送金する旨を誓約しなければならず、この誓約がない限り送り出してはならないとする指示を労働人材送り出し機関に出した。送金を怠った労働者は3年間出国を禁じられる。

◆軍傘下の労働省が、海外出稼ぎ労働者に対し、指定の金融機関に口座を開設し、この口座を使用して国内の家族に給与の25%を送金するよう指示したことに対し、国民統一政府NUGは8日、この指示は労働者と送り出し機関に対する圧力に当たり、1999年海外雇用法に反する行為であるとする非難声明を出した。

人道問題

◆ダッカとネピドーから会合に出席した指導者らは、パイロットプロジェクトに基づき、自発的にミャンマーに戻る意思のあるロヒンギャを12月までに送還することで合意した。この決定は月曜日にミャンマーの首都で行われた両国の局長級会合で下された。ミャンマーは3,000人をリスト化している。バングラデシュはまた、本国送還が始まる前に、ロヒンギャが安全を感じない場合には強制的にラカイン州に送るつもりはないと述べた。

◆教育を攻撃から守る世界連合(GCPEA)の発表によれば、2022年に全世界で行われた教育に対する攻撃(教育施設への軍事攻撃または軍事利用、学校教員・生徒の殺害)の件数は3千件を超え、発生件数が最も多い国はウクライナ、ミャンマー、ブルキナファソ。前年の17%増。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆8月27日、軍事政権軍はザガイン地方域Kalay郡区でLia Do Deih Huaiという名前のチン族の女性を拷問して殺害した。 彼女と友人たちは、PyidawthaからKalay郡区に向かう途中で軍に呼び止められ、兵士たちにひどい暴行を受けた。

ネピドー刑務所に収監されているアウンサンスーチー氏の健康状態が悪化。懲役27年の判決を受けた78歳のアウンサンスーチー氏は、最近歯肉炎と激しい歯痛に苦しんでいるが、診察に来たのはネピドー刑務所の医師だけだった。刑務所に近い関係者によると、外部の歯科専門医による治療は、まだ行われていないという。

◆5日、ヤンゴンの軍事法廷は、サイクロン・モカ上陸の1週間余り後にラカイン州の州都Sittweで逮捕された「ミャンマー・ナウ」のフォトジャーナリストSai Zaw Thaike氏に、扇動などの罪で懲役20年を宣告した。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆ラジオフリーアジアRFAの調査によれば、今年1月から8月末までの間に軍による空爆及び重火器による攻撃で死亡した民間人の数は462人。負傷者の数は821人にのぼる。 8/24には、バゴー地域チャウッチー郡で妊娠中の妻を病院に送り届けた帰りに28歳の男性が空爆を受けて死亡している。

クーデター以降、軍事政権は全国で約200の宗教施設を破壊した。その破壊のほとんどは武力抵抗の強い地域だ。その多くはチン州西部に位置し、軍事政権軍はチン族のキリスト教教会85カ所を破壊した。

マグェー地域ミャイン郡に対し、軍の戦闘部隊が4日より侵攻を開始。10村を超える村の住民約5千人が避難。その数は日々増加し続けている。食料や医薬品を緊急に必要としているが、支援が届いていない。

ザガイン地域ウェッレッ郡ポーウィンタッ村を7日、軍が襲撃。住民1人を殺害し、住宅11棟を焼き払った。現在ウェッレッ郡東部の農村を軍戦闘部隊が6手に分かれて侵攻。数千人規模の避難民が発生している。

シャン州南部ペーコン郡サウンプェー避難民キャンプを8日午後1:10頃、軍がジェット戦闘機で空爆。3回に渡って投下された計5発の爆弾は、キャンプから50フィート離れたトウモロコシ畑に落下し爆発。避難民は塹壕に隠れることができたため怪我人は出なかった。周辺で戦闘は起きていなかった。

ザガイン地域カンバルー県インレージー村の住民2人を軍が2日、拘束し殺害。9日午前6時頃には、同県タンゴン区タウンテーゴン村に兵員100人編成の軍と軍製民兵組織ピューソーティーの合同部隊が侵入し焼き討ち。同村を含む12村の住民は村から避難した。

平和的抗議・CDM

◆軍事独裁政権に反対する複数の村の抗議デモ行進が毎日行われている。

ザガイン教育大学の民主派CDMer教師らによる、連日の革命的な抗議活動は949日目も行われた。

武装抵抗・PDF・戦闘

◆カレンニ民族防衛軍(KNDF)によると、2日の夜明け前に、カレンニー軍(KA)、KNDF、PDFはカヤー州東部Demoso郡区Thay Su Le村とPu Hpar村にある軍事政権の拠点を攻撃。軍事政権軍兵士少なくとも30人が死亡、多数が負傷した。戦闘は4時間近く続き、軍事政権は空爆を開始した。

マグウェのMyaing郡区の抵抗軍は2日、2つの軍事検問所、郡区管理事務所、警察署、区管理者の家を攻撃した。彼らは都市活動の強化を計画しているため、人々に警戒を怠らないよう警告した。

◆3日午後7時ごろ、カレン民族同盟(KNU)傘下のKNLAと合同部隊は、カレン州のタイ国境にあるミャワディ市ミャワディ地区の警察本部を襲撃し、ドローンから爆弾を投下した。この攻撃で、軍事政権軍第275臨時大隊の指揮官を含む5人が死亡、11人が負傷した。

◆軍評議会が拠点を置くヤンゴン地域議会の敷地内に、ヤンゴン西部県国民防衛隊が9日午前4時半頃、重砲を撃ち込み、標的に命中し爆発。同防衛隊によれば、負傷者が出た可能性があるという。

国際関係

◆4日からASEAN会合、5日は首脳会議がインドネシアで開催、域外からは日本、インド、韓国などの首脳が参加。中国は李強首相、米国はハリス副大統領が参加。

◆MAN Energy Solutions社のデンマーク支社はミャンマー海軍の旗艦にエンジンを供給した。 デンマーク当局は軍需品の輸出禁止にもかかわらず売却を承認した。

マレーシア外相は、「マレーシアや他のASEAN加盟国は、ミャンマー軍事政権に対して強力かつ効果的な対策を講じないままにこのような状態が続くことを容認できないとの見解を示した」と発言。

インドネシア、マレーシア、フィリピンは、軍事評議会が主催するASEAN空軍司令官会議への参加を拒否した。

◆ミャンマーのクーデター政権に対するミャンマー国民の闘いへの意識を高めることを目的としたPDFゲームが、タイの若者の間で人気を博している。

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