27/AUG-2/SEP/2023

2023年8月27日から9月2日までの1週間にミャンマーで起きたことです。
#WhatsHappeningInMyanmar

▼ガソリン、ディーゼル、食用油、米等の価格高騰で市民生活が悪化。輸入医薬品の入手困難でHIV感染者が増加。

▼ヤンゴン市、マンダレー市で爆弾爆発

▼シンガポール銀行がミャンマー国内銀行への送金等サービスを停止、軍への制裁

▼ロヒンギャへの大量虐殺から6年目。世界的な援助は今年急激に減少

▼軍最高司令官、地元および国際的な援助団体へのより厳しい規制を命令

▼軍事裁判所は軍への反乱扇動容疑でヤンゴンの士官候補生に死刑宣告。ザガインの軍事法廷は女性1人と男性3人にテロ容疑で死刑宣告

▼軍事政権は4つの州と1つの地方域の安全保障・国境問題大臣を若手の大佐に交代。

▼軍事政権はクラスター爆弾を製造し、チン、カレン、カレンニ、シャン州に投下。

ザガイン、マグウェ、バゴー地方域、カヤー、チン州の村々へ軍事政権軍および軍系民兵が侵入し、焼き討ち、砲撃、あるいは空爆。子どもらが死亡、多数の住民が避難。

カヤー、バゴー東部、カレンで激しい戦闘が起きている。NUGはマンダレー、バゴー、ヤンゴン、エーヤワディー地方域「すべての道はネピドーへ」作戦開始。また、NUG傘下PDFとKNUはバゴー山脈に侵入するサーモン作戦開始。

▼軍事政権は東ティモールの臨時代理大使に、9月1日までの国外退去を通告。NUGはこれを批判。

▼ASEANは9月中旬にネピドーでASEAN空軍参謀会議を計画

目   次

国内情勢

◆26日午後6:57にヤンゴン市北オウカラパ郡区の連邦団結発展党USDP事務所で爆発が起こり、警察官1人が負傷した。近隣の住民によれば、爆発音は非常に大きかったという。

◆ミャンマー軍事政権は東ティモールの臨時代理大使に、9月1日までの国外退去を通告。東ティモール政府は、ミャンマー指導部によるこの異例の行動に対し、強い非難声明を発表した。 ミャンマー軍事政権が外交官を追放したり拒否したりすることはめったにない。

◆29日、ヤンゴン市ヤンギン郡区カンベ通りの郡区警察署長事務所付近で午後8:45に爆発が起きた。さらに同日午後9:05にはニュー・ダゴン東部郡区ミンイェーチョーズワー通りの中央警察署付近で、また、午後8:55に南オウカラパ郡区ティッサー通りの中央警察署脇の通りで爆発が起きた。

◆29日、ミャンマー最高裁はアウンサンスーチー氏の特別抗告をすべて棄却

グリフィス国連人道問題調整事務所(UNOCHA)所長兼国連事務次長が15日の軍トップとの会談の際に握手を交わす写真が軍営紙に掲載されたことに対し、市民側勢力から強い批判の声が上がった。514の市民組織が、軍によるプロパガンダ利用を回避し、NUGや少数民族組織と連携するよう求める声明を出した。

◆軍が在ミャンマー東ティモール臨時大使に対し9月1日までに国外に退去するよう圧力をかけていることに対し、NUGは、武力により合法でない形で国権を奪取した軍には外交政策に関する決定権はないと批判。さらに東ティモールのように市民の側に立って欲しいと国際社会に呼びかけた

カレンニ州警察は、2021年8月25日の創設以来、法を執行するために8つの警察署と4つの警備所を開設し、麻薬犯罪、窃盗、強姦、家庭内暴力、軍事政権の代理などの犯罪を含む計362件を起訴した。警察官は 320 人おり、CDM者である。女性の参加率は 35% に達した。

◆軍事評議会国家和平交渉チーム(SPTT)はALP、DKBA、KNU/KNLA Peace Council、LDU、PNLOの代表団とネピドーで3日間和平交渉を行い、8月31日、最終的な包括的和平協定に合意し、署名した。

◆軍事政権は31日、4つの州と1つの地方域の安全保障・国境問題大臣を若手の大佐に交代したと発表した。KIA軍と戦闘を続けているカチン州、6月に4つの軍事政権基地をはカレンニ派抵抗組織に占拠されたカヤー州、カレン州、大部分の支配を失ったチン州、抵抗勢力の攻撃も拡大しているマンダレー地方域。

マンダレー市では、31日午前1時頃、Aungmyaythazanで夫婦の喧嘩の仲裁に入った私服の兵士2人が、巡回中の兵士の発砲によりその場で死亡した。 また、 9月2日午前11時頃、Chanmyathaziにある金融システムの運営を確保する主計局に対して手榴弾攻撃が行われた。

経済ビジネス

国内のガソリンとディーゼルの価格は異常な高止まりが続いている。 この状況は国民に多大な負担をもたらしており、燃料費高騰に対する不安や不満の声が高まっている。 ディーゼル価格は1リットル当たり2500チャット以上で、2021年2月に起きたクーデター前に比べて5倍になっている。

◆軍評議会の指示により米連盟は26日、精米業者や米商人に対し、規定の価格を超える値段で取引を行わないよう勧告を出した。28日以降は15〜16万チャット/袋で販売されている高級米シュエボーポーサンを12.5万チャット以下で販売するよう求めた。さらに米の売買の記録や備蓄米の管理記録の提出も求めた。

◆NNAによると、ミャンマー中央統計局(CSO) 発表の2023年1~3月期のインフレ率は27.51%で、前年同期から12.46%ポイント上昇した。

◆インフレに苦しむヤンゴンの人々は、市場では1.6kg当たり1万1,000チャットする食用油を特別価格4,400チャットで販売しているミャンマー食用油販売協会の移動販売店に列を作っている。

食用ココナッツ油商の会長と食用油商4人を30日夜間、特別捜査局及び軍情報部が合同で逮捕。輸入したココナッツ油を国内で販売する際に、実勢レートでミャンマー通貨に換算し、軍評議会の定める価格の2倍以上にあたる価格で販売した容疑で特別捜査局で取り調べが行われている。

◆クーデター以来、ヤンゴンのHIV感染者は抗レトロウイルス薬(ART)の入手が困難になり、HIV/AIDS 治療クリニックによれば、ヤンゴンでのHIV 感染者の数が増加している。 1ドルが3,700チャットを超え、輸入医薬品の価格が高騰。かつては2,000チャットだった特定の医薬品が現在は6,000チャットに値上がり。

◆8月末日に予定されている軍評議会の下で働くいわゆる「CDM不参加公務員」への給料の支払いに、かねてから問題視されている新札2万チャット札が初めて使用されることが情報筋より明らかになった。軍はこれをきっかけとして同紙幣を徐々に浸透させて行きたい意向。

◆9月1日よりシンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)が、軍への制裁措置として、ミャンマー国内銀行への全ての送金とクレジットカード(VisaとMaster)のミャンマー国内での利用に関するサービス提供を停止した。UOBは、ミャンマー国際航空MAIの5つの口座を閉鎖し取引を停止したばかり。

◆資金難のミャンマー軍事政権は、私立病院への課税を強化し、医療を圧迫している。

人道問題

◆バングラデシュ・コックスバザールの難民キャンプでロヒンギャに対する大量虐殺が行われて6年目にあたる25日に開かれた追悼式において、300を超えるロヒンギャの団体が、あらためて国籍を認め、本国への帰還を受け入れるよう求めた。(動画あり)

ザガイン地域モーライッ郡の全77村中27村の住民約2万人が軍と市民防衛隊PDFとの戦闘から逃れ、森の中でビニールシートの即席の住居で避難生活を送っている。うち10村は軍により焼き尽くされた。海外からの支援は届かず、避難民は国内からの支援や砂金採掘等の不定期な仕事によるわずかな収入で暮らす。

◆ミャンマー西部ラカイン州全域でモンスーンによる豪雨が続く中、ミャウーとチャウトーで弱い立場にある3000人以上のラカイン族とロヒンギャ族にUNHCRから基本的ニーズを満たし「尊厳を維持できるよう」緊急物資が提供されたそう。

◆テレビ朝日系(ANN)が、ミャンマー国軍クーデターから2年半 “深刻な教育実態”が…タイへ避難の家族を取材。「根本敬名誉教授は「国連など国際機関への支援金やタイなど隣国への教育支援、移民申請の入り口を広げるなど間接的な支援を続けることが重要」と指摘」

◆ミャンマーで飢えが広がり、ヤンゴンの炊き出しが大混雑。クーデター以降、必需品の価格は2倍ないし3倍に上昇。ヤンゴン郡区の世帯は、慈善団体や個人から寄付された食料にますます依存するようになっている。

◆クーデター以降190万人以上が避難民(OCHAによる)となり、ミャンマーの人口の3分の1が人道支援を必要としている中、クーデター指導者は31日の閣議で閣僚に対し、援助団体の一部は外国政府の手先であると非難し、地元および国際的な援助団体をより厳しく規制するよう命じた

◆Landmine and Cluster Munition Monitorによる調査で、ミャンマー国軍が2021年の軍事クーデター以来クラスター爆弾を製造し、過去13ヶ月間の空爆でチン、カレン、カレンニ、シャンの各州に投下していることが判明した。クラスター爆弾の製造・保有・使用などを禁ずる条約への署名国は111カ国、参加国は84カ国にのぼっている。

◆赤十字国際委員会(ICRC)、北部カチン4村に給水の仕組み整備、高台にある湧き水を低地の村へ、電力や燃油を使用せずに流す低コストの仕組み。

◆援助資金供与諸国が優先順位をウクライナ戦争に移したため、ミャンマーから追われ抑圧されている無国籍少数民族ロヒンギャに対する世界的な援助は今年急激に減少している。OCHAによると、ロヒンギャ人道危機に対する今年の共同対応計画の拠出額は、昨年の半分以下にとどまっている。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆ヤンゴン地方域軍事司令部の関係者によると、軍事裁判所は、他の士官候補生に軍への反乱を促したとして、ミンガラドン郡区の国防医療アカデミー(DSMA)の士官候補生に死刑を言い渡した。士官候補生は5月17日にミンガラドン郡区で逮捕され、地方軍事裁判所は軍事法第32条(L)に基づき死刑を宣告した。

◆戒厳令下にあるザガイン地方域Indaw町の郊外に置かれた軍事法廷が、18日に女性1人と男性3人にテロ容疑で死刑を宣告したと、親軍派のtelegramが4人の写真とともに報じた。司法手続きによれば、4人は判決後は刑務所に送られるはずだが、2人は基地に残ったままで、 残る2人は行方不明となっている。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆26日午前5時頃、マグェー地域イェーザジョー郡カインマイジー村に、スィンジャウン村の住民で編成される軍製民兵組織ピューソーティーと軍の合同部隊が銃を発砲しながら侵入。住宅約80棟を焼いた。高齢者2名が殺害され、女性は燃える家に閉じ込められて死亡、障害を持つ男性の片目は切り取られ、頭も潰されて村外に遺棄された。

◆26日、カヤー州フルーソー郡ティーポーソー村内の住宅8棟を軍が焼き払った。今月2日にディモーソーを拠点とする軍部隊がフルーソー郡に侵攻を開始。フルーソー郡内に拠点を築きたい軍と市民防衛組織との間で激しい戦闘が起きていた。

◆27日、ザガイン地方域Ye-U郡区にある10の村の少なくとも1万人の民間人が、約100人の軍隊を率いた軍事政権部隊がこの地域に進軍して襲撃や砲撃を行っているため、家から逃げた。

◆29日、バゴー地域ニャウンレービン郡ピンイェージー村落区ダダーバイン地区に、ペインザロウッ市を拠点とする軍部隊が122mm榴弾砲を撃ち込み7歳の女児が死亡。住民1人が重体。3人が軽傷。またカレン民族同盟KNUによれば、27日にもカニンチョー村に同部隊が重砲を撃ち込み、4歳の子供と女性3人が負傷。

◆30日、チン州タンタラン市に拠点を置く第269歩兵大隊がタンタラン市から10マイル程離れたタロワラム村に向かって撃ち込んだ砲弾が落下し、42歳の男性が死亡した。4人の子の父親だった。タンタラン市内の自宅を焼き討ちにより失い、同村に避難していた

◆31日午前4時台に4回に渡り、東部カヤー州ディモーソー郡西部の避難民が暮らす集落から約30フィートの地点に、軍が飛行機から爆弾を投下。うち1発は不発。

◆9月1日朝、ザガイン地域キンウー郡ラウンシェー村に駐留していた軍第701、702、708歩兵大隊の隊員100人ほどで構成される隊列が、同郡レッパンフラ村に侵入。同村を含む5村の住民約6千人が避難。クー後の2年半でキンウー郡内の76村の住宅6千棟余りが軍により焼かれ、3万人を超える住民が住居を失った

◆9月1日、バゴー地域チャウッチー郡ティッチャセイッ村付近を軍が空爆したことで、近隣8村の住民5662人が避難。同村付近で軍とカレン民族解放軍KNLAとの間で戦闘が起きた直後だったが、カレン民族同盟KNUによれば、この空爆は明らかに民間人を狙ったものだったという。

平和的抗議・CDM

マンダレー市の民間医療施設ミンガラー病院が25日より3ヶ月営業停止処分を受けた。市民的不服従運動CDMに参加する医師2人を雇用したためだと見られる。国民防衛隊PDFを支援したとの嫌疑で医師が拘束されるケースも。これにより市内の病院は人手不足で医療サービスが手薄に。

武装抵抗・PDF・戦闘

◆ミャンマー東部カヤー州で幹線道路の支配権巡り激戦のさなかにあり、「命を懸けて戦っている」抵抗勢力の副司令官が初めて東京新聞の取材に応じた。【動画】「国軍は(州都)ロイコーからデモーソーまでしか支配できていない。デモーソーから南はわれわれが主導権を握っている。」

◆政権側と抵抗勢力の双方は、バゴー東部シッタン川流域盆地の制圧を巡りヤンゴン・マンダレー間の旧道に近いNyaunglebin県で激戦NUG傘下PDFとKNUはバゴー山脈に侵入するサーモン作戦NUGはマンダレー、バゴー、ヤンゴン、エーヤワディー地方域で「すべての道はネピドーへ」作戦開始

◆軍事評議会軍は、KNLA統合軍が7月21日に占領したカレン州の丘にあるLat Khat Taung基地を、いまだに奪還できない。31日の夜、砲陣地から約20回発砲し、ドローンによる攻撃も始まったが、KNLA統合軍側に死傷者は出ていない。

◆PDFによると、31日早朝、カチン州の村の軍事政権軍基地を襲撃したPDFにより政権軍兵士5名が殺害され、軍事装備品の武器庫が差し押さえられた

国際関係

バングラデシュ・コックスバザールの難民キャンプで、今年1月から現在までに武装組織より殺害されたロヒンギャ難民の数は、18歳未満の男性2人、女性1人を含む43人にのぼる。「叔父がロヒンギャ民族機構RSOにいる」という言いがかりでアラカン・ロヒンギャ救済軍ARSAに10代の学生が射殺されたケースも。

◆Justice for Myanmar(JFM)は、12~15日にネピドーでASEAN空軍参謀会議を計画しているASEANを非難した(https://qr.paps.jp/HSCk)。議長を務める軍事政権空軍司令官Htun Aung将軍は、4月11日にザガイン地方域パジジー村における民間人虐殺の無差別空爆の指揮を執り、子供40人を含む170人を殺害した。

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27/AUG-2/SEP/2023

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