22/FEB-13/MAR/2024 #WhatsHappeningInMyanmar

2024年2月22日から3月13日までの3週間にミャンマーで起きたことです。

▼中国の仲介によるMNDAAら同胞同盟と軍事政権の交渉。
▼カチン州における0307作戦。
▼ラカイン州での新たな国内避難民。
▼ザガイン、マグウェ地方域などで続くミャンマー軍の空爆・砲撃・焼き討ち。
▼徴兵制をめぐる動き。
 ……

目   次

国内情勢

◆ラカイン州北部で軍がロヒンギャや戦災避難民に対し兵役に服するよう圧力を強めている。アラカン軍AAとの戦闘が激化するブーディーダウン郡にはロヒンギャが20万人居住しており特に強い圧力がかかる。AAとの戦闘で形勢不利に立たされてコミュニティ間の軋轢を利用した戦略ではとロヒンギャ関係者。

◆20日、軍トップと軍評議会外相らは、中国雲南省党副書記長、省長、駐緬大使らとネーピードーで会談。国境地域及び国内和平協議の進捗、中国の支援の可能性、オンラインカジノの撲滅、国境貿易促進について協議。軍トップは19日にもヤンゴン市の春節の式典に出席。オンライン詐欺撲滅を表明した。

◆29日、軍評議会は、シャン州北部マベイン郡及びモーメイッ郡に戒厳令を発令。当該郡における全権を北部軍管区司令官に委譲すると宣言した。マベイン郡は先月、抵抗武装勢力が奪還をかけて攻撃を仕掛けた町。モーメイッ郡は、カチン独立軍KIAを中心とする抵抗勢力が包囲している。

◆3月3日、数か月にわたる中国の和平仲介によって、軍事政権は中国雲南省昆明市で開催された和平交渉で、シャン州の北部同胞同盟と和平合意に達した。シャン北部特別地域の合法政府としてMNDAAの設立を認め、軍事政権と北部三同胞同盟の間で、Chinshwehaw国境検問所からの税収を分配する枠組みも確立した。同胞同盟は、前線からの部隊撤退北シャン州における中国の権益擁護を約束。

◆3月4日、中国の仲介で北部同盟三組織と軍が2月29日〜3月1日に中国雲南省昆明市で交渉のテーブルについたことを、アラカン軍AAの副司令官が公表。協議の内容は停戦合意、国境ゲートの再開、オンライン詐欺問題等ラカイン州での戦闘についての協議は行われなかった軍はMNDAAにコーカン地域を管理する権利を付与した。

◆3月初めに、カレン国境警備隊(K-BGF)がカレン民族軍(KNA)に再編・改称。

経済ビジネス

◆軍事政権は米ドルを調達するために輸出規則を再び変更したが、ビジネス関係者らは、その常軌を逸した誤った政策はミャンマーの経済危機をさらに深刻化させるだけだと主張している。

人道問題

◆26日、バングラデシュのダッカで、駐バングラデシュ日本大使と駐バングラデシュUN Women事務所長との間で、バングラデシュ人民共和国に対する供与額2.17億円の無償資金協力「コックスバザール県におけるミャンマーからの避難民及びホストコミュニティに属する女性のための災害リスクに対する強靱性向上及び緊急事態に係る準備計画(UN Women連携)」に関する書簡の署名・交換。

◆アラカン軍AAの人道開発協力局HDCOの発表によれば、軍への一斉攻撃の始まった2023年年11月13日〜2024年2月13日までにラカイン州とチン州パレッワ郡で軍の重火器攻撃や空爆により新たに268,731人の戦災避難民が発生合計33万人超となった。計14郡からの避難者のうちパウットー郡からの避難者は10万人超で最多。

昨年末にカヤー(カレンニー)州シャードー市、シャーティッ市からタイ国境に避難した戦災避難民200人超が緊急に支援を要している。2000人が暮らす避難民キャンプの知人宅や帰還した避難民が生活していた仮住居に一時的に身を寄せていると言い、必要な物資は食料、生活用品、雨避けシート等。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

マンダレー市アウンミェーターザン郡区の麺料理店に26日、武装した私服の軍評議会メンバーが宿泊客名簿調査を口実に立ち入り、店内で飲食中だった若者2人を拘束。 25日にはチャンミャターザン郡区アウンピンレー地区の住宅に同調査を口実に軍評議会が押し入り、10代の若者8人以上を拘束した。

◆2021年12月19日に軍事独裁への抗議デモ参加時に「扇動」を取り締まる505条a違反容疑で軍評議会により逮捕され懲役3年の有罪判決を受けていたヤンゴン東部大学学生連盟議長スーイーリンさんに、29日テロ対策法違反等で計10年の懲役刑が追加で言い渡された。同氏の裁判に来訪していた政治活動家である叔母も前日逮捕された。容疑は不明。

◆3月8日、ミャンマーでは数千人の女性政治犯が国際女性デーを獄中で過ごす。2021年の軍事クーデター直後、全国のあらゆる階層の人々が平和的なデモに参加した。民主主義の回復を求める抗議活動の先頭に立ったのは、学生や主婦から教師や医師など、幅広い職業や専門職の女性たちだった。

◆ICNL(International Center for Not-For-Profit Law)は、2021年クーデター以来、女性記者31人を含む約100の報道機関の206人のジャーナリストが軍事政権によって逮捕されたと発表。147人は平均6カ月の服役後に釈放されたが、59人は拘束中。軍による拘束で3人が死亡した。

軍事政権による国民・財産への攻撃

シャン州ホーポン郡サンゴー村に軍が24日、重砲を少なくとも5発撃ち込んだ。うち1発が住宅1軒に落下市爆発。住人2人が死亡した。また、パオ民族解放軍PNLOの発表によれば、25日午前中、同郡ルエウォートゥッ村を軍が空爆。住宅8棟が全焼した。

◆25日、マグウェ地方域セートゥッタヤー郡区の村に、ミャンマー軍とピューソーティーの150人が侵攻し、村の全域103戸を焼き払う。

◆パオ民族解放軍PNLAの発表によれば、28日正午、シャン州のパオ民族居住地域であるホーポン郡のピンリャン僧院に、軍がジェット戦闘機で4回に渡り爆弾を投下。これにより僧院は焼失。戦闘は起きていなかった。同日スィーサイン郡では終日軍とPNLAとの間で戦闘が続き、軍が8回に渡り空爆を行ったという。

◆29日午前8時頃、ラカイン州州都スィットェー市コリア港市場に軍評議会軍が銃砲を撃ち込んだことで、少なくとも市民10人が死亡。うち7人は即死状態。30人を超える負傷者が出ている模様。近隣の住宅も一部破損。地元住民の証言によれば、事件当時、市場は多くの買い物客で賑わっていた。

ザガイン地域タゼー郡カントゥーマ村を含む5村を軍部隊が23日〜29日にかけて焼き討ち。住宅約70棟が全焼。 また、20日にはカンパウッ村の住民1人を、27日にはンガヌーチャウン村の住民2人を軍が斬首。 また住民15人が人間の盾として拘束された。

ラカイン州ミンビャー市キンセイッ地区を3月3日午後10時頃に軍が空爆。民家に落下し男女2人が負傷。3月1日にも同地区に軍がジェット戦闘機で爆弾5発を投下。民家に落下し住民4人が負傷。2月27日、ミンブー病院を軍が空爆。建物が損壊し、医療従事者と患者が負傷した。同日、テーカン村を軍が空爆し14人が負傷

◆4日、カヤー州パーサウン市を軍が戦闘機で爆撃し、機関銃で機上掃射を行ったことから市内のムェトーパリヤッティ僧院の僧侶1人が死亡。他にも民間人の死亡者が出ている模様。同市では、1日から軍と市民側勢力との間で激しい戦闘が続いている。

◆8日、ザガイン地域ウェッレッ郡ハリン村を、軍・第12軽歩兵大隊から補充要員として送り込まれた100人編成の部隊が侵攻。同部隊は近隣のマンゴー園に避難していた67歳の住民女性を射殺。10歳及び40代の女性計3人を拘束。同村で2日に開始した軍と地元市民防衛隊間の戦闘で双方に多数死傷者が出ていた。

◆12日、カチン州バモー市に拠点を置く軍第21作戦司令本部がバモー郡カンニー村を重火器で攻撃。これにより5歳〜10歳の子供3人と大人2人が死亡した。戦闘は起きていなかった。

◆パオ民族解放軍PNLAによれば、12日にシャン州南部ホーポン郡ナムフー村を軍が焼き討ち。村の総住宅数は100軒程度でほぼ全てが全焼した。PNLAは抵抗勢力が実行したとのフェイクニュースを軍が流布しているが、軍の犯行であることは明らかだと述べた。

平和的抗議・CDM

◆8日、タニンダーリ地方域では、DDMSCとRosy Women Unionが反軍事独裁の抗議運動を組織し、「男性と女性が手を取り合って共にこの戦いを戦う」という決意を書いたた横断幕を掲げて国際女性デーを祝った。

武装抵抗・PDF・戦闘

軍事評議会は、KIAとPDFの管理下にあり、カチン州とザガイン地方域の境界に位置するMaw Luu町とShwe Pyi Aye町の支配権を取り戻そうとしている。Shwe Pyi Ayeは、チンドウィン川沿いのホマリンとPaungbyinへのアクセスが容易で、軍にとって戦略的に極めて重要な町である。

◆28日午後6時頃、ヤンゴン市ダゴン郡区ウータウンボー環状交差点所在のMytel本社を、ヤンゴン西部県国民防衛隊とヤンゴン軍YAが合同でリモート爆弾で爆破。これにより警備員2人が死亡。Mytel社は軍評議会議長経営の携帯通信会社。26日にも徴兵制実施に抗議して市民勢力がマヤンゴン郡区裁判所を爆破。

◆NUGによると、3月1日午前2時頃ヤンゴン川で、軍事政権空軍用のジェット燃料を積んだタンカーが、ヤンゴンPDFによって爆破された。

◆AAは、ラカイン州の州都に近いPonnagyunの町にあるミャンマー軍の第550軽歩兵大隊(LIB)基地を占領したと発表。基地に対する攻撃は2月21日に始まり、3月4日に完了した。三同胞同盟のMNDAAとTNLAは、中国の介入による軍事政権との和平協定後、活動を一時停止している。

ラカイン州Minbya町のミャンマー軍基地が包囲された後、Minbyaに駐留していた第541軽歩兵大隊がアラカン軍(AA)に降伏した。 ビデオには、数十人の軍事政権軍とその家族がAAに降伏する様子が映っている。

◆3月6日午後18:16、ヤンコン市北オウカラパ郡区D地区トゥダマ通りとケーマーティー通りの角に位置する郡区電力局事務所付近で、2回連続で爆発が起きた。爆発音は大きかったが、怪我人は出ていない。

◆7日、0307作戦 の初日KIA主導の同盟軍カチン州ミッチーナ-バモー高速道路沿いの少なくとも10の軍事政権の陣地を占領した。Waingmaw郡区では軍が発砲したとされる砲弾により民間人3人が死亡した模様。親軍派Lisu民兵組織の指導者シュエミン氏が戦闘中に死亡したと伝えられている。AAも攻撃に加わっているとの情報がある。

◆カチン独立軍(KIA)によって10の前哨基地と2つの基地を奪われたミャンマー軍は、カチン州ライザ町にあるKIA司令部を砲撃している。ミャンマー軍が発射した爆弾がライザ近郊の中国領に落下し、火災と物的損害が発生した。

カチン州では、7日にバモー空港の滑走路が砲撃され、8日にはミッチーナのNampon空軍基地が攻撃を受け、無期限閉鎖につながった。 KIAは、それぞれの目標を攻撃するために 107mm 地対地用の自作ロケット弾を使用したようだ9日はすべての国内線が欠航となった。

◆8日、軍評議会に近い筋は、ライザにあるKIA議長の住居と事務所が「誘導ミサイル」の発射によって攻撃されたと主張している。しかし、たとえ破壊があったとしても、それは非精密通常兵器によるだろう。

カチン州では、0307作戦の攻撃開始から4日以内に、 KIA主導の同盟がWaimaw郡区とMomauk郡区、KIA本部があるライザの周辺地域の21の政権基地を占領した。攻撃はKIAの第1、第3、第5旅団の3個旅団と、AAおよびカチンPDFによって実行された。

ヤンゴンで爆発相次ぐ、ミャンマー国軍系を標的、邦人生活圏に接近。10日未明、ヤンゴン中心部カンドージ湖の南方で爆発。

国際関係

◆米司法省は先週日本のヤクザのリーダーとされる人物をミャンマー産のプルトニウムやウラン等の核物質の密輸を企てた容疑で起訴したと発表。米司法省により武器の供給と引き換えに密輸に関与したとの容疑がかけられているシャン州復興評議会RCSSのユエッスィッ大将は、根拠がないと完全否定。邦人被告はNY連邦地裁で、「無罪」を主張

ミャンマーの組織犯罪、世界最悪レベルに。国際市民社会団体の対国際犯罪組織グローバル・イニシアチブ(GITOC)の調査によると、犯罪性指数が世界最悪になった。

◆29日、タイ外務省は、アジア7か国が加盟するベンガル湾首脳会議(BIMSTEC)にミャンマー軍総司令官を招待するかは未定だと発表。

◆3月1日、タイ外相が共同通信に、ASEAN会議にミャンマーの代表が出席する見込みだと述べた。

◆5日、ミャンマー代表(軍事政権国防省の局長級幹部ら)がASEAN国防相会議に出席

ミャンマー弁護士、米国務省発表の「国際勇気ある女性賞2024」を受賞

◆8日、日本政府がWFP(世界食糧計画)・ユニセフ(国連児童基金)などの国際機関やNGOを通じミャンマーに約3700万ドルの人道支援を行うと発表

◆3月12日、ジョゼラモスホルタ東ティモール大統領は、RFAの単独インタビューでミャンマー軍は抵抗勢力との戦いにおいて勝算はなく速やかに権力を手放すべきだとの見解を明らかにした。軍は選挙結果を受け入れ、アウンサンスーチー氏ら政治囚を解放す NUGに事務所開設の意向があるなら認めるとの意向を表明。

徴兵制

ミャンマー軍、避難民キャンプでロヒンギャを募集軍はロヒンギャに市民権を保証していないが、兵役に就けばチャウピューへの自由移動を認める。この徴兵は、ロヒンギャとラカイン族(ラカイン州の圧倒的な少数民族)との間に亀裂を生じさせる。

国連特別報告者、国軍の徴兵制導入に警鐘。国際社会はミャンマー国軍を孤立させ、国民を守るための行動を緊急に強化しなければならない。

◆突然「徴兵制」を始めたミャンマーでいま起きていること:結婚報告ラッシュ、タイ大使館に長蛇の列……

◆ムスリム避難民の暮らすラカイン州チャウッピュー郡チャウッタロン避難民キャンプに27日午後1時頃、軍人及び警察官約80人が来訪。18歳〜35歳の避難民男性107人の身分事項を控え28日に開始する軍事訓練を受けるよう告げた。帰路避難民男性2人を拘束。26日からキャンプを包囲し外出を禁じているという。

ヤンゴン及ひマンダレー地域の一部の郡において27日より軍評議会の総合行政局が民間企業経営者を召集。徴兵制の開始に伴い必要が生じたとして前線で戦う兵士らへの寄付を呼びかける行動が開始。マンダレー地域アマラプラ郡では3月1日、総合行政局が軍への献金として民間企業1社につき30万チャットを徴収

3月4日、アラカン軍(AA)は、ロヒンギャが国軍の強制徴兵を逃れるために自分たちの支配領域に来れば保護する、と声明。アラカン軍に入っての戦闘を強制することもない、と。

◆タイのビザ申請で不正が横行している。でたらめな旅券番号を使用して複数の申請予約を行ったり、大使館員を装った人物が大使館前で旅券申請予約手数料を騙し取るケースが相次いでいるという。タイ大使館は予約に手数料は発生しないため信用しないよう、必要以上の予約をしないよう注意喚起を行った。

ラカイン州でイスラム教徒と軍事訓練。 人手不足のクーデター軍は、あたかも国の真ん中で “ပျူစောထီး” と呼ばれる民兵を輩出するかのように、難民キャンプの若いイスラム教徒を逮捕して、軍事訓練を行っている。

◆ミャンマー 徴兵制発表から1か月、隣国タイに出国の若者相次ぐ。3月に英語科の入学試験が行われたタイ北部チェンマイの大学では、100人の定員に対して2,100人の応募があり、そのほとんどがミャンマー人だった。

ヤンゴン地域で先週(3月4日の週)より徴兵制の対象者調査が開始。タンリン、カヤン、 チャウッタン、ミンガラードン、フラインターヤー、ニュー・ダゴン(東部・北部)郡等、全郡で実施されている。国民の安全のためという名目で、各世帯に対し該当者の情報収集が行われているという。

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