2023年8月13日から8月19日までの１週間にミャンマーで起きたことです。
▼激戦がつづくシャン州で、857名編成の歩兵大隊が現在籍者132名にすぎないとの極秘資料が流出したり、タイ国境近くにあるKIA基地への攻撃を３つの大隊の司令官が拒否して拘束されたと伝えられたり、軍事政権軍劣勢のニュースが流れている。
▼シャン州（南部）では、兵員を補充できない軍事政権が非CDM公務員を民兵として編成する準備を指示。
▼チン州タントラン郊外、カレン州ミャワディ郡区で軍事政権軍と民族武装勢力とが激戦。
▼モンユワ刑務所から政治囚を移送中の軍用車5台が襲撃され、爆発でCDM医師が死亡、犯人は不明。
▼ダウェイ刑務所副所長、麻薬取引容疑により刑務所敷地内の自宅で逮捕。
▼バングラデシュ国有銀行が、国軍と提携しているミャンマーの２行口座を凍結。
▼チャットが対米ドル、対バーツで大幅に下落。米ドルは公定価格は＝2100チャットが、3800チャットを超えて取引。ミャンマー中央銀行(CBM)は、指令に従わなかった外貨両替業者13社の営業許可を取り消し。タイバーツを国際決済および決済通貨として指定することを許可した。
▼撮影した映画が仏教を侮辱したとして、スイス人の映画監督と、12歳の子役を含むミャンマー人俳優13名を逮捕。
▼アラカン州のロヒンギャ難民が多く住む避難所で洪水が発生。サイクロン・モカの被害も回復されておらず、緊急の援助が必要。マレーシアに渡ろうとしてモン州で拘束されたロヒンギャ難民145人のうち140人が入管法違反で起訴・拘束された。
▼カチン州翡翠採掘場で大規模な地滑り発生、30人以上が行方不明。
▼軍事政権、2026年に持ち回りで予定されているASEAN議長国となることを辞退。
目 次
国内情勢
◆13日に大規模な地滑りが翡翠採掘場の廃棄物の山を襲い、カチン州の翡翠の拠点パカント郡区で少なくとも30人が行方不明となっている。 泥の波にさらわれ、２人が死亡、多くが負傷した。
◆流出した機密報告書によると、シャン州北東部軍司令部の管轄下、Nawnghkio (နောင်ချို) 市に本拠地を置く第114歩兵大隊の隊員は、規定によれば857人の将兵と兵士がいるはずだが、わずか132名しか残っていない。
◆軍内部通報者の情報によると、シャン州（南部）でテロ軍の予備軍として非CDM要員(軍事政権の下で働く公務員)の編成を進めているとのこと。 テロ軍が民兵戦略を策定するには、テロ軍の予備軍が民兵連隊の形で組織されなければならないと指示書に記載されている。
◆14日、軍事政権が任命した連邦選挙管理委員会は、労働大臣と産業大臣に対して電子投票機を実演してみせた。
◆14日、ダウェイ刑務所の副所長が刑務所敷地内の自宅で逮捕され、49台の携帯電話、30台のラップトップ、麻薬が押収された。「刑務所内での麻薬取引に関する噂が広がり、家宅捜索を受けた」と刑務所に近い関係者は語った。
◆15日午後1時、ザガイン地域モンユワ刑務所からオーボー刑務所とミンジャン刑務所に政治囚を移送していた軍用車5台が、何者かによる爆発物による攻撃を受けた。この爆発により、市民的不服従運動CDMに参加していたカチン族の男性医師が死亡した。3ヶ月前にも同様の事件で政治囚2人が死亡している。
◆軍事政権は南部シャン州で、17日までに民兵組織結成のために公務員リスト作成を命令。保健・教育職員を含む公務員は、東部軍の下で補助部隊に組み入れられる。軍は南部シャン州とカヤー州で多大な死傷者を出している。政権は軽犯罪者を徴兵しているが、多くは訓練中に逃亡した。
◆ミャンマー軍事政権は、2026年に持ち回りで予定されているASEAN議長国となることを辞退する模様。
◆地元メディアによると、カチン州Lai Zar付近にあるKIA基地への攻撃を、３つの大隊の司令官が拒否し拘束された。代わりの２つの大隊司令官も命令を許否し逮捕された。
◆軍事評議会、映画「ဘာမှမမျှော်လင့်ပါနှင့် (Don’t Expect Anything；何も期待しないでください)」が仏教を侮辱したとして、スイス人の映画監督１名、12歳の子役を含むミャンマー人俳優13名を逮捕。
経済ビジネス
◆ヨマ大型開発が再開、会長「段階的に」と。
◆13日、ミャンマー中央銀行(CBM)は、指令に従わなかったとして外貨両替業者13社の営業許可を取り消した。14日には最高値は1ドル＝3600チャットまで為替レートは上昇した。 CBMは、先月にも両替業者10社の営業許可を取り消している。
◆14日、ミャンマーの通貨チャットの価値は大幅に下落し、過去最低水準に達している。米ドルの公定為替レートは1ドル=2100チャットだが、現在の実勢レートは １米ドル＝3,530 ～ 3,630 チャット。
◆ドル準備高が極めて低水準になったため、軍事評議会はタイバーツを国際決済および決済通貨として指定することを許可した。
◆ミャンマーチャット、15日午前に10万チャット＝990タイ・バーツまで暴落。クーデター前の2021年1月時点では、10万チャット＝2,200タイ・バーツ前後で取引されていた。
◆15日付、軍事政権国営紙によると、海外渡航者へ米ドルを販売し、約3000人が購入した。外貨販売に適用された両替レートは１米ドル＝2,500～2,600チャット。公定レートは同2,100チャット。タイ通貨は１バーツ＝75～85チャットで取り引きされた。
◆米国の圧力により、バングラデシュ国有銀行はミャンマー国軍と提携しているMFTB銀行とMICB銀行の口座を凍結している。口座には110万ドルが残っている。 ミャンマー国軍は銀行口座の再開を要請したが、バングラデシュ政府は開設できないと拒否した。
◆17日、1 ドルの価格は 3,800 チャットを超える過去最高値に達した。
◆17日、アパレル業界で世界売上高ランキング２位のH&M社がロイターに対し、ミャンマーから撤退する意向を明らかにした。衣料生産の現場で労働者の権利の侵害が行われていることが理由。
◆軍事評議会のミャンマー中央銀行は、1米ドルの価格が3,900～4,000チャットであるというニュースをSNS上で広めた人々に対して措置を講じると再び脅迫した。
人道問題
◆アラカン軍（AA）は、最近の洪水で住民6人が死亡し、7万エーカー以上の農地と85の湖が被害を受け、7つの郡区の390カ村2万8,072軒の家が浸水したと発表。サイクロン・モカの被害も回復されておらず、緊急の援助が必要。
◆最近の豪雨でアラカン州チャウトー郡ニャウンチャウン避難民キャンプでは約142、ティンニョ避難民キャンプでは約200、ミャウウー郡のミャタンザウン避難所では32の避難所が破壊された。ここには多くのロヒンギャが住んでいる。
軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力
◆刑務所当局は恩赦を発表する際、赦免されたロヒンギャ囚人の名前を列挙したと伝えられているが、その後彼らを釈放せずに別の監獄に移送した。
◆マレーシアに渡ろうとしてモン州タンビューザヤッ郡ウェーカミー村近くで拘束されたロヒンギャ難民145人のうち140人が入管法違反で起訴され、チャイマヨー刑務所に収監された。バングラデシュの難民キャンプに暮らす家族の証言によれば、この事実を16日に警察から知らされたという。
軍事政権による国民・財産への攻撃
◆ダヌの青年グループは、シャン州の(ダヌ族を主要民族とする)ダヌ自治区でビルマ軍がクーデター以降、民間人40人以上を殺害し、抵抗勢力に関与したとしてピンダヤ(Pindaya)郡区とユワーガン(Ywangan)郡区の民間人を逮捕・殺害し、50軒以上の家を焼き払ったと主張。 NLD党員所有の住宅20軒も封鎖された。
平和的抗議・CDM
◆ミャンマーの中央部に軍隊の居場所は減っていき、添付写真のように革命の講演会ができるようになってきている。ただし、残ってる軍隊は最後の踏ん張りとして、市民への虐殺をまだまだ続けている。 この革命期間を生き残るには知恵と団結が必要です。
◆軍事政権は、反軍政のCDMに関与する教職員はヤンゴン教育大学、ザガイン教育大学の通信教育コースへの登録を許可しないと発表。登録には、政治、CDMに関わらないとの誓約書を要求。
武装抵抗・PDF・戦闘
◆14日、チン州タントラン郊外で軍事政権軍とチン武装勢力とが衝突し、情報筋はチン武装勢力の同志３人と少なくとも政権軍兵士６人の死亡を確認した。 チン武装集団は、兵士２人を捕虜。衝突から1時間半後、軍は近くのKhuafo村を空爆、爆弾数発を投下して村で最大の教会と他のいくつかの家を破壊した。
◆KNLA率いる部隊と軍事政権軍との戦闘は、16日もカレン州ミャワディ郡区で続いた。タイのメーソットでは国境を越えて銃声と爆発音が聞こえた。 タイ当局は国境沿いの警備を強化している。 衝突は、政権軍がミャワディ町の南に位置するレットカット山の基地を奪還しようとした後に勃発した。
国際関係
◆アセアン大陸部で注目すべき動きが。賭博詐欺やそれに伴う人身売買、誘拐などに対処すべく、中国公安部およびタイ、ラオス、ミャンマーの警察当局が15日から16日にかけてタイのチェンマイで会合を開き、特別作戦を共同で始動させた。作戦実施のためにチェンマイに調整センターを設立することも決定。
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13-19/AUG/2023 #WhatsHappeningInMyanmar