7-20/MAY/2023 #WhatsHappeningInMyanmar

2023年5月7日から5月20日までの2週間にミャンマーで起きたことです。

*今回は2週間分のまとめです。事情により、しばらくの間、まとめの更新が滞ります。
▼強力なサイクロン「モカ」が襲来し、数百人が亡くなり、大きな被害が出ています。
▼ASEAN首脳会議が開催しましたが目に見える進展はなく、内部の亀裂が広がっているようです。
▼ザガイン地方域をはじめ各地への空爆がつづき、住民の死傷、住宅への被害が広がっています。

目   次

国内情勢

◆軍評議会による記者会見が5ヶ月以上休止している。

◆中国外交部長の訪緬時に国境を跨いだオンライン等のギャンブル活動の取り締まりを強化することで合意した後、ミャンマー軍は、シャン州ラショー市への外国人の立ち入りを期限付きで禁じる措置に踏み切った。またカジノの集中するタチレク市への外国人の入域も禁じる計画。

◆シャン州の街で、ASEAN人道支援センターの幹部らが乗った車が銃撃され、シンガポールなど非難声明。

◆NUGは、シャン州における外交官車列への攻撃を非難(NUG外務省)。

◆シャン州進歩党/シャン州軍(SSPP/SSA)は、ミャンマー国内のオンライン上で広まった恐ろしい残虐行為の画像を受けて、国民からの激しい批判に直面している。

◆軍評議会は12日私立学校教育法を制定。 同法では私学教育の基準が定められており、私学教員に各地の管理組織の審査を経て登録証の発行を受けることを義務付けている。学校での国の安定を脅かす行為や文化にそぐわない活動も禁じている。違反すると懲役刑か罰金刑が科される。

◆軍事政権は15日、同国第2の都市マンダレーにある3つの私立病院を完全に閉鎖するという強硬な措置を講じた。これは、病院がCDMに参加した医師や看護師を雇用し、PDFの負傷者に治療を提供していたという親軍支持者の主張に応えて行われた。

◆軍を離脱した元兵士らによればカヤー州で軍事作戦を展開する第66師団の兵士が戦闘で死亡しても遺体が回収できなかった場合、行方不明者扱いとされ、生命保険が支給されなかったり、銀行の預金が軍内で将校らにより勝手に引き出されたりするケースが相次いでいる。死亡時50万Ksの保険料は月額8400ks。

◆2020年総選挙でタニンダリー地域ラウンロン郡第2選挙区で当選したNLDのミン・サン氏が17日避難先のタイで病気により逝去。66歳。元タニンダリー地域政府の農業・畜産・灌漑相。クーデター後、軍によるNLD党員の拘束が始まり、タイに避難していた。

◆ヤンゴンのKyeemyindaihg郡区で、軍事政権の女性警察官が白昼の路上でトラック運転手らに賄賂を要求している。 これは、2021年のクーデター後の軍事政権下でこの国がどれほど腐敗したかを示している。

◆バゴー地方域にあるTaungoo刑務所で、死刑判決を受けた政治犯1人を含む政治犯10人が刑務所のドアを足で蹴り、銃を持って逃走し、そのうち9人が解放区に到達した。

人道問題

◆ロヒンギャ難民、市民権なき帰還を拒否。

◆多数の民間人が犠牲になったザガイン地域パズィージー村の軍による空爆の状況を人権団体ヒューマンライツウォッチが調査。遺体の写真や現場の動画を分析した結果、空爆で使用された爆弾は、殺傷能力の高いサーモバリックと呼ばれる燃料気化爆弾であると断定。

◆ベンガル湾南東部に発生した強いサイクロンが北西に進路を取り進んでいるとの情報を受け、エーヤーワディ地域ラプタ市周辺の村の住民5千人がラプタ市内の僧院に避難。食料等の生活を周囲からの寄付に頼っているという。

◆地雷に関する啓蒙活動を行う組織Explosive Ordnance Risk Education in Myanmarは12日、サイクロンの影響で地滑りが起こり、地面に埋まっていた地雷が移動したり地上に露出したりする可能性があるため、不審な物を見つけても触れたり移動させたりしないよう市民に注意を呼びかけた。

◆国連世界食料計画WFPは、ベンガル湾で発生したサイクロン「モカ」が14日にミャンマー国内の紛争の影響で自然災害に対し脆弱になっている地域を直撃する可能性があるとの予報を受けて、非常事態に備え、ラカイン州及びその周辺地域の住民40万人の1ヶ月分の食料等を被災の可能性がある地域に輸送した。

◆13日、暴風雨の影響で、ヤンゴン地域、マンダレー地域、タニンダリー地域等で、倒木による住宅損壊等の被害が相次いでいる。

◆サイクロン「モカ」の上陸により14日、西部ラカイン州都のスィットェー市で洪水が起こり電話通信塔等が損壊。電話やインターネット通信に障害が出ている。

◆強い勢力を持つサイクロン、モカがラカイン州を直撃。14日の州都スィットェー市内の様子を映した動画

◆ミャンマーに上陸しサイクロン・モカは、少しずつ勢力を弱めながらも依然強い勢力を保ちながら、チン州、ザガイン地域、マグェー地域などを通過する見込み。いずれも軍による苛烈な攻撃の続く地域だが、とりわけザガイン地域では避難民の数が40万人に及んでおり、重大な影響が懸念される。

◆ザガイン地域サーリンジー郡で、市民団体アニャー・ピッタインダウンレーミャーがサイクロンの影響による豪雨の中、避難民に食料を配給する様子。

◆バングラデシュ政府のロヒンギャ難民支援組織RRRCは、難民キャンプ内の仮設住宅約500棟がサイクロンの影響で損壊したと発表。

◆ラカイン州スィットェー郡内のムスリム集落の多数のロヒンギャ住民がサイクロン・モカの影響による洪水で死亡。行方不明者も多数。女性と子どもだけでも400人超が犠牲になったとの情報もあるが、正確な数は明らかになっていない。

◆サイクロン・モカの直撃を受け、住民40人超が犠牲となったラカイン州スィットェー郡西部の海岸沿いに位置するロヒンギャの住む集落ベーダー村の16日現在の様子を写した動画。インタビューに答えているのは、家族5人を失った男性。

◆米国国際開発庁(USAID)は、サイクロン・モカの被害に対し、20万ドルの緊急支援を決定した。最も大きな被害を受けたラカイン州とチン州に、緊急性の高いシェルター、水、公衆衛生に関する物資を支援する。

◆アラカン軍AAの発表によれば、サイクロン・モカで被災したラカイン州への緊急支援としてNUGがAAに対し1億チャットを寄付した。またカチン独立軍が3億チャット、コーカン民族組織MNDAAが1億チャットそれぞれ寄付した。

◆世界遺産バガンの仏塔や寺院が、サイクロン・モカの暴風雨で被害を受けた。

◆NUG人道援助・災害管理担当副大臣は、ラカイン州北部を襲ったサイクロン「モカ」の緊急救援のための国際社会による援助が現地に届いていないと述べた。

◆ザガイン地方域シュウェボのPDF隊員は、サイクロン「モカ」によって農作物の収穫が壊滅的な影響を受けている地元住民を支援するために、活動を開始した。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆12日、マンダレー出身の著名な政治家ドー・ウィンミャミャが刑期満了で釈放された。

◆政治犯支援協会AAPPの発表によれば、軍は3日に刑法505条(a)に基づき収監されていた政治囚千人超を解放したと発表したが、実際には解放措置の対象となっていたにもかかわらず国民登録証番号が5/で始まるザガイン地域出身収監者の多くが、解放されなかったか解放後に再び拘束された。

◆軍は19日、ザガイン地域モンユワ郡の抗議デモの主導者ウェーモーナイン氏に国家反逆罪(刑法122条)でさらに禁錮20年の有罪判決を下した。 同氏は、刑法505条等ですでに20年の有罪判決を受けておりこれで計54年となる。弁護士を依頼することが許されていないため自力で控訴手続きを行っているという。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆マンダレー地域スィングー郡とマダヤー郡間に所在する8村を6日から7日にかけて軍と軍製民兵組織ピューソーティーの合同部隊が侵攻。現在、1万人超の住民が避難している。 避難民の支援者によれば、猛暑が続き、避難民の間で下痢等の病気が蔓延。医薬品の不足も深刻だという。

◆モン州イェー郡ワーパテー村を7日午後11時頃、軍が戦闘機で空爆。村の住民が負傷し、民家が焼失した。村の全住民は村外に退避。周辺で戦闘は起きていなかった。

◆ザガイン地域サーリンジー郡タントー村を8日午前6時頃、軍が焼き討ち。 2手に分かれてサーリンジー市を出発した軍部隊がモンユワに向けてフェリーで川を渡ろうとしていたところ、国民防衛隊に爆発物を仕掛けられ阻害され兵士2人が死亡。その後、軍部隊は同村に侵入し民家12軒を焼いた。

◆タニンダリー地域ダウェー県イェービュー郡に8日、兵員50人程度で編成される軍部隊が侵入。地元住民約30人を拘束し、拠点を構えるカマウンチャウン村の僧院に拘禁している。拘束された住民の多くが女性。戦闘は起きていなかった。

◆チン民族戦線CNFの発表によれば、3月と4月の2ヶ月間に軍がチン州内で行った空爆で投下された爆弾の数は121個にのぼり、死者24人、負傷者33人。キリスト教の教会や民家50棟が破壊された。

◆ザガイン地域イェーウー郡タンドー村の高校を9日午後2時頃、軍が戦闘機で3回に渡り空爆。爆弾6発を投下、機関銃で射撃。図書室と校門が破壊された。地元住民によれば、戦闘等は起きていなかった。

◆ザガイン地域カンバルー郡ズィーゴン区域内の8村に12日、軍第361歩兵大隊が侵入し焼き討ち。民家178棟が全焼。住民1人が殺害され、11人が拘束された。13日の時点でまだ解放されていない。

◆ザガイン地域カニー郡でサイクロン・モカの影響で豪雨による洪水が起こる中、軍が14日、集落を空爆。軍北西部軍管区司令部の部隊が重火器て攻撃した。 軍がタミンチャン村とミンマ村の間の集落を侵攻したのに対し、市民防衛隊が抗戦した際、軍側に大きな被害が出たことへの報復として行われたもの。

◆ザガイン地域カニー郡チャウンマ村の学校を17日、軍が戦闘機2機で空爆と機上掃射を行った。学校に隣接する民家も被害を受け、7歳の子供が負傷。 学校は休校中であったため、校舎内には誰もいなかった。 同日、同村から4マイル離れた地点で軍とPDFとの間で戦闘があったという。

武装抵抗・PDF・戦闘

◆タニンダリー地域イェービュー郡ナブーレー区ダウェー経済特区近くで14日早朝、地元市民防衛隊と軍との間で激しい戦闘が発生。その際、軍が空爆により市民防衛隊を攻撃。哨戒機で爆弾3発を投下した。

国際関係

◆ミャンマー国連大使はインタビューで、ミャンマー情勢もサミット主要議題に取り上げ、「各国が一致して軍への資金流入を止め、人道支援を必要とする避難民への支援を呼びかける強いメッセージを出すべきだ。日本はミャンマーにとって最も親しい友人の一人で日本の役割は重要だ」と述べた。

◆9日〜11日にかけてインドネシアのフローレス島で開かれるASEAN首脳会議でミャンマー問題についての協議が予定されている。議長国インドネシアが会議終了後に発表を予定している声明の草案には、市民に対する空爆への糾弾や暴力の即時停止等の項目が含まれているという。

◆インドネシア・ジョコ大統領は、8日に起きた避難民との面談のためにシャン州スィーサイン郡を訪れていたASEAN派遣団の車列への武装集団による襲撃を非難。 インドネシア、シンガポールの外交官、ASEAN人道支援担当者から成る派遣団がパオ民族解放機構PNLO事務所を訪れていた。

◆シンガポール外務省の9日の発表によれば、バラクリシュナン外相は議会で対ミャンマー政策について問われた際に、「ASEANの5つの合意の履行に進展が見られないのはミャンマー軍の所為であり、暴力行為の即時停止と合意の履行に向けて圧力をかけ続ける」と回答。

◆国連は17日に発表した報告書で、クーデター以後少なくとも10億ドル相当の武器や関連製品を輸入しており、ロシアと中国が武器輸出を通じて国軍による反対勢力の弾圧を支援していると指摘。中ロのMi-35攻撃用ヘリコプターやミグ29戦闘機、K-8ジェット機がミャンマーの学校や病院、宗教施設、住宅の空爆に使用されている。

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