11-17/JUN/2023 #WhatsHappeningInMyanmar

2023年6月11日から6月17日までの1週間にミャンマーで起きたことです。

▼[抵抗勢力による行政機構整備] カレンニー州に行政を担う暫定評議会(IEC)が設立され、NUGやAA、TNLA、MNDAAなどが、祝賀メッセージを寄せました。NLD政府の経済顧問だったショーン・ターネル氏が、NUG設立の暫定中央銀行特別顧問に任命されました。

▼[軍事政権の模索] 軍事政権の内務大臣らが特別房に収監されているアウンサンスーチー氏を訪問し、和平プロセスへの協力を求めました。軍報道官は、このニュースをデマだと否定しました。

▼[人道問題] 日本政府、バングラディシュのコックスバザールに避難している、サイクロン・モカで被災のロヒンギャ難民に追加の人道支援を発表しました。軍事政権はラカイン州への人道的アクセスを停止しています。タニンダーリ地方域の村で、果物を採りに森へ入った村人が地雷の爆発で死亡する事件が発生しました。今後、こうした被害が懸念されます。

▼[ロシアとの関係] 軍事政権は、7月からロシアへの直行便運行を発表し、ロシアとの関係強化を図っています。一方、NUGの諮問機関NUCCは、軍への武器支援を続けるロシア非難の声明を発表し、ウクライナとの協力関係模索を示唆しました。

▼[国民への弾圧] 軍事政権は、5月3日(カソン月満月の日)の恩赦で釈放した政治囚を再逮捕しています。パジジー村大虐殺(4月11日)後、Facebookのプロフィール写真を黒にした(哀悼の意を表す)ジュエリーモデルに重労働懲役3年に処しました。NLDは、軍事政権によって93人の党員が殺害され、1,200人が拘束されたと発表。

▼[軍による攻撃] シャン州、タニンダーリ地方域、カヤー州、ザガイン地方域で、軍事政権軍による村々への侵攻、焼き討ち、略奪が続き、多数の住民が村から避難。PDFとの戦闘も発生している。

▼[武装抵抗] 首都ネピドーの警察署2か所に手榴弾が投げられ、警察官数人が死傷しました。ザガイン地方域で少数民族武装勢力がピューソーティーグループの基地を奇襲攻撃し、6人を捕虜とし、武器を押収。カヤー州ではPDFが郡区警察署を攻撃・占拠し、署長を含む多数のメンバーを殺害、武器・弾薬を押収しました。

▼[平和的な抗議] 連日、ザガイン地方域やマグウェー地方域の村々では、軍事政権に反対する住民のデモ行進が行われています。反軍抵抗勢力の支配下にある地域で、素材が戦いに関連した制作美術展が開催されました。アウンサンスーチー氏78歳の誕生日(6月19日)を記念する「フラワーストライキ」が呼びかけられています。

目   次

国内情勢

◆2日、カヤ―州民主党(Kayah State Democratic Party;KySDP)は、第一回党大会で政党名をカレンニー州民主党(Karenni State Democratic Pary;KSDP)に変更した。

◆6日、カレンニー州暫定評議会(The Interim Executive Council of Karenni State;IEC)が6人の評議員で設立。NUGのほか、アラカン軍(AA)、タアン民族解放軍(TNLA)、ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)などの少数民族武装勢力が、設立を祝うメッセージを寄せた。カレンニー州諮問評議会(KSCC)は、連邦民主連合の構築を掲げ、2021年4月9日に設立されている。

◆5月30・31日にザガイン地方域で交戦中の反軍政の民兵組織170以上が、軍との戦いで協力を深め、支配地域を統治するための戦略を共有するフォーラムを開催したが、NUGと連携するPDFグループが欠席したことが波紋を呼んでいる。しかし、NUGの諮問機関NUCCは出席して演説、主催者は「すべての革命グループが集まり協議するためのプラットフォーム」だと説明、NUGは集会の支持を表明している。(“Anti-junta groups align at Myanmar’s Sagaing Forum, minus shadow government: Observers question whether the NUG’s absence points to a schism within the opposition.” By RFA Burmese, 2023年6月9日)

◆10日、政権報道官ゾーミントゥンは記者会見で「法律では武器の供給は認められていないが、加害者から身を守って死亡させた行為は犯罪行為にはあたらない」と述べた。軍事政権が反政府勢力の容疑者を処刑するために強硬派や秘密の支持者に武器を供給しているという「陰謀論」が間接的に裏づけられた。

◆11日、反軍抵抗勢力の支配下にある地域で美術展が開催された。 空爆や砲撃で被害を受けた建物の破片など、戦争による素材を使って制作された作品や、地雷で負傷したレジスタンス戦士が着ていた衣服を使用した作品などが展示された。

◆IEC議長にカレンニ民族進歩党(KNPP)党首Khu Oo Reh氏が選出された。IEC は、州の立法府・行政府・司法府間の抑制と均衡を確保し、州民が行政権を手にすることが最終目標。NUGを含む州外の抵抗組織とも連携する予定。

◆クーデター後、全国で拡大の一途を辿る内戦で負傷した軍将校や兵士を西部リゾート地のガパリビーチやチャウンダービーチに慰安旅行に送り出したと軍が11日に公表。それぞれの管轄軍管区司令官が負傷兵を出迎えた。クーデター後初。軍隊内の分裂を防ぐための方策との見方も。

◆ネーピードーの情報筋によれば5/27と6/4の2回に渡りネーピードー刑務所に収監されているアウンサンスーチー氏を軍評議会の指名する内務大臣ソートゥッ中将、ヤービェ中将、キンゾーウー中将(退役)が訪問。和平プロセスへの協力を求めたという。これ以前にも何度か面談が行われていたとの情報あり。

◆14日、ミャンマー軍政報道官は、スーチー氏と軍幹部の面談を否定。内務大臣ら3人が拘束中のスーチー氏と2度にわたり面談したという報道をデマと一蹴。

◆12日午後5時20分、軍評議会の本拠地ネピドーにある警察署へ2人乗りのバイクから手榴弾が投げられ、警察官1名が死亡、3名が負傷した。また、午後8時頃にも襲撃があって死傷者が出た可能性があるが、詳細はまだ判明していない

◆連邦議会に選出された国会議員の会議が3日間開催され、現場の状況、各地域が直面する困難に対する協力の可能性について議論し、将来の課題について意見交換が行われた。

◆レジスタンスのZero Guerrilla Forceは9日、ザガイン郡区のSar Taung町を大胆にも訪問した。同グループは、今回の訪問は軍事政権下で暮らす人々を激励することが目的だと述べた。 (Video: Zero Guerrilla Force)

◆対抗政府の諮問機関NUCCは、10日付で軍への武器支援を続けるロシアに対する非難声明を出した後、メディアの取材に対し、必要に応じてウクライナと協力関係を結び対応して行くことも視野に入れていると発言。安保理での武器禁輸措置への拒否権発動や原子炉建設支援等の露の軍支援をあらためて批判した。

◆14日、軍事政権が任命した投資・対外経済関係省大臣は、今年7月からロシアとミャンマーが史上初めて直行便で結ばれることになると述べた。軍事政権はロシアからのエネルギー供給、軍事兵器・技術を大量に手に入れようとしている。

◆NUGは、オーストラリアの経済学者ショーン・ターネル氏を暫定中央銀行の特別顧問に任命した。アウンサンスーチー氏率いるNLD政府の経済顧問を務めたターネル氏は、軍事クーデターから5日後逮捕され、公務機密法に基づき懲役3年の判決を受け、2022 年 11 月 17 日に 5,700 人の囚人に対する恩赦により釈放されました。

◆カチン州ミッチーナ連邦学校は、教育を受けることができない700人の生徒を受け入れる。

◆15日、ネピドーで軍のヘリコプターが墜落し、教官のMin Thu Aung少佐と訓練中の女性士官が死亡した。

◆タニンダーリ地方域のミェイク県で、村人が果物を採りに近くの森へ入ったところ地雷が爆発し、一人が亡くなり、一人が負傷した。

経済ビジネス

◆宝石小売の英国TJC社は、ミャンマー産ルビーを販売したことを認めた。同社は、軍事クーデター以降ミャンマーからの宝石調達停止を決定しており、意図せぬ間違いであり、同様のミスが発生しないよう対策を講じたと説明。

人道問題

◆3日付報道のなかで、サイクロンの被災者、救援物資をお金を払って受け取っている(一部の村落ではお金がなくて救援物資を受け取ることができていない)と証言。

◆ミャンマー 大型サイクロン上陸1か月 被害の全容不明 支援滞る。甚大な被害を受けた西部ラカイン州では8日、軍の支配下にある州政府が国際機関が被災地へ入ることを認めない命令を出した。

◆ラカイン州軍評議会報道官フラテイン法務長官がサイクロン・モカの被災地への復興支援の受け入れ拒否の事実はないと発言。ただしNGOは郡軍評議会に届出をする必要があると。一方国連UNOCHA は9日、軍が援助受け入れを拒否している発表。州治安国境大臣が7日以降援助許可の署名をやめているとの情報も。

◆軍事政権はラカイン州への人道的アクセスを停止した。これは違法な軍事政権による容認できない行為である。(CRPH Myanmar)

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆オスロ平和研究所の調査報告書によると、2021年2月1日の軍事クーデター後、2022年9月30日までの8カ月間に「政治的理由」により少なくとも6,337人の民間人が殺害され、2,614人が負傷したことが判明した。クーデターに反対するさまざまな武装勢力も、軍事政権への協力者とされる2,152人の命を奪った。(Oo, Min Zaw & Stein Tønnesson (2023) Counting Myanmar’s Dead: Reported Civilian Casualties since the 2021 Military Coup, PRIO Paper. Oslo: PRIO.)

◆軍評議会が恩赦により釈放した政治囚を再逮捕している。たとえばヤンゴン市において、不当に逮捕され、5月3日(カソン月満月の日)に恩赦により釈放された政治犯を軍評議会が再逮捕し、インセイン刑務所に拘留していることがわかっている。

◆ザガイン地域ザガイン郡パドゥー村からザガイン市内の僧院に避難していた避難民のうち9人を6日、軍が拘束。現在も消息が途絶えたまま。5/19に国民防衛隊PDFと軍との間で戦闘が発生したことで市内に避難していた。軍支持派のテレグラムには拘束された避難民はPDFに関与していた等の投稿がなされていた。

◆信頼できる情報によると、軍事政権下で刑務所に収監されているウィンミン大統領の健康状態が悪化している。 大統領には尿道カテーテルが挿入されているという。

◆ジュエリーモデルのメイパンチェさんは、4月11日のパジジー村での軍事政権の空爆による大量虐殺後、Facebookのプロフィール写真を黒にした(哀悼の意を表す)として、軍事法廷で重労働懲役3年の判決を受けた。

◆ヤンゴン市シュエピーター郡区の中国系工場に対し4800ks→5600ksへ賃上げ要求を行った従業員7人が解雇され、うち労働組合議長の女性トゥートゥーサンさんが14日、工場の平穏を乱す意図で煽動したなどとして私服警察に逮捕され、軍尋問所に連行された。工員らはこのことに抗議して出勤を拒否している。

◆カレン州議会代表委員会CRKHメンバーのティンウィン氏と国民統一政府NUGの労働大臣ナイントゥウォンナ氏のカレン州パアン郡トンアイン村の自宅が13日,軍により無断で施錠された。差し押さえられた形。

◆NLDは、軍事政権によって93人の党員が殺害され、1,200人が拘束されたと発表。

◆軍事政権によって殺害、拘束される犠牲者が、連日増大し続けている。AAPPによる15日の集計によると、クーデター以降軍事政権によって民主派活動家と市民3,662人が殺害され、いまなお1万9,010人が拘束されている。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆カレンニー人権団体によれば、5/25よりシャン州南部モービェー郡で軍と抵抗する市民との間で激しい戦闘が継続。8歳、13歳の子を含む少なくとも35人の一般市民が犠牲に。モービェー市内には砲撃を受けたり軍に射殺されりした住民の遺体が残っているが、軍が駐留しており遺体の回収ができない状態。

◆南東部タニンダーリー地域タニンダーリー郡で軍による住民の恣意的な拘束が多発。9日バンラムッ村に兵力100人程度の軍部隊が侵入し住民4人を拘束。パナッンゲー村でも住民1人が拘束された。これにより住民1600人程が山中に避難。雨季始まっておりビニールシート等雨避けが必要。食料、医薬品も不足。

◆ザガイン地域キンウー郡イェーエーゴ村に9日、軍部隊が侵入し、牛や山羊等の家畜70頭を略奪。翌10日には、民家4棟と学校の校舎を焼いた。前日に近辺で地元住民から成る国民防衛隊PDFが路上に爆発を仕掛けて同部隊を待ち伏せ攻撃したことで銃撃戦が発生。双方に死者が出ていた。

◆東部カヤー州ディモーソー郡西部の避難民キャンプに10日午7:15頃、軍第427師団と第102師団の放った重砲2発が着弾し爆発。避難民が住居として使用する小屋全50棟のうち1棟が破壊された。負傷者は出ていない模様。避難民の一部は別の場所に退避した。

◆ザガイン地域サーリンジー郡ニャウンビンジー村落区内の村を9日〜11日にかけて軍が襲撃。11日午前9時頃には、トンズーチャウン村を含む複数の村を数回に分けて焼き討ち。同村落区内の10村の住民約1万人が村から避難。すでに食料不足に陥っているという。

◆キンウー郡情報発信組織によれば、5/7-6/14の約1ヶ月間でザガイン地域キンウー郡の11村の住宅596棟が軍評議会の焼き討ちにより焼失した。キンウー郡は最も抵抗の盛んな地域であり、軍側にも多数の人的損失が出ているため標的にされているという。

◆ザガイン地域でアヤードー郡マジーサウッ村に軍部隊が15日午前5時頃襲撃。3回目の焼き討ちを行った。2回目は5/25。住民1人が射殺され,住宅500棟が焼かれた。

◆南東部タニンダリー地域タイェッチャウン郡内の村への侵攻を軍が8日に開始。これにより11村の住民約5千人が避難。同地域は降雨量が多く避難民は困難を強いられている。食料、医薬品も不足。現在軍はヤンゲー村に侵入し焼き討ち。11日には同村に母親の薬を取りに戻った23歳男性住民が軍に殺されている。

平和的抗議・CDM

◆ザガイン地方域、マグウェー地方域の村では、軍事政権に反対するデモ行進が連日続いています。

◆レジスタンスのZero Guerrilla Forceは9日、ザガイン郡区のSar Taung町を大胆にも訪問した。同グループは、今回の訪問は軍事政権下で暮らす人々を激励することが目的だと述べた (Video: Zero Guerrilla Force)。 Khit Thit Media, 2023年6月12日, 14:45 によれば、リーダーは、彼とその部隊は完全武装して行進したが、軍と警察は塹壕や地下壕から出てこなかったと語った。

◆民主派の活動家たちは6月19日に、78歳になるアウンサンスーチー氏の誕生日を記念する「花で示す抗議活動(フラワー・ストライキ)」を呼びかけている。

◆NUG天然資源・環境保護大臣は同省CDM職員との会合で、軍事を優先しCDMへの支援が弱かったと謝罪した。また、CDM成功委員会がCDM業務を担当している。これまでの革命では自力で資金を調達できなかったが、今回の革命ではNUGPayが稼働し、銀行設立の計画が立てられている。私たちはCDMが落胆せず、革命が終わるまで協力することを望んでいると語った。(Mizzima – News in Burmese, 2023年6月16日, 19:49)

武装抵抗・PDF・戦闘

◆8日、Student’s Revolutionary Force (SRF)はピューソーティーグループの基地を奇襲攻撃し、ザガイン地方域Mingin郡区にあるIngyintaung村でメンバー6人を生け捕り、武器を押収した。 ピューソーティーは軍事政権の秘密の民兵部隊で、政権軍の制服と武器を装備し、各地域の歩兵大隊が軍事訓練している。

◆13日午前4時50分頃、PDFがカヤー州Mese郡区の警察署を攻撃・占拠し、署長を含む多くの軍事評議会メンバーが殺害された。PDFは武器と弾薬を手に入れた後に撤退。軍はヘリコプターと重火器を使って市内30か所以上を攻撃している。 また、PDFはMese東の軍基地を占領し他の駐屯地でも戦闘が行われている。

◆16日、PDFの発表によると、ザガイン地方域における3日間の戦闘で、ミャンマー軍側は部隊長を含む兵士約30人が戦死した。

国際関係

◆13日、カヤー州メーセ郡でカレンニー軍KAが軍基地3ヶ所と警察署1ヶ所を襲撃・制圧して戦闘が発生したため、タイに避難した住民3342人をタイ当局が保護。タイ地方国境業務推進センターが軍人、ボランティア、行政機関と連携してケア。戦闘をタイ軍が空からの監視を継続。

◆日本の外務省は13日、今月6日に発表したミャンマー及びバングラデシュのサイクロン被害に対する200万ドルの人道支援に続き、コックスバザール及びバシャンチャール島に避難しているロヒンギャ難民に対して5.84億円の人道支援を発表した。

◆[独占記事:タイ、ミャンマー軍事政権とのASEAN会合への再関与を模索] タイ暫定政府がミャンマー和平計画を話し合う非公式会議 (18日開催) に、ミャンマー軍事政権を含むASEAN各国外相を招待。

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