20-26/Nov/2022 #WhatsHappeningInMyanmar

2022年11月20日から27日までの1週間にミャンマーで起きたことです。

▼軍事政権は、引き続きザガイン地方域での大規模掃討作戦を続けている。村々に軍部隊が侵入し、家屋を焼き討ちし、あるいは重火器の銃弾で住民が殺害され、数千人、数万の住民が避難を余儀なくされている。抵抗勢力の強い地域での焼討ちは、軍事評議会の重要な戦略だ。

▼チン州、マグウェ―地方域、カレン州では、軍と各民族武装勢力・国民防衛隊との戦闘が激化し、軍は、戦闘機、Mi35ヘリコプターによる空爆や機銃掃射を行った。

ASEANは、ミャンマー国軍の排除対象を拡大し、国防相会議に招待しないことを決めた。

▼軍事政権は、ロシア、中国との関係を深め、ロシアと原子力発電所建設の協議を継続している。また、中国から購入した6機の中国製戦闘機がシャン州の空軍基地に到着する予定。

▼日本ミャンマー協会会長の渡辺秀央元郵政相がミャンマーを訪問し、軍事政権幹部とティラワ経済特区開発や日本の投資促進を話し合った。なお、この直後、AA (アラカン軍) 報道官が26日から軍との停戦に入ったことを発表したが、この会談との関連を指摘する報道もある。

▼オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)グループは、ミャンマー事業から2023年初頭までに撤退すると発表。

目   次

国内情勢

◆マンダレー市エインドーヤー・パゴダ近くの地区役所で19日、何者かによって仕掛けられた爆発物が発見されたため、軍が周辺の道路を封鎖して爆発させた。18日には、ヤンゴン市ミンガラータウンニュン郡区でも爆発事件が起きている。

◆ザガイン地域モンユワ郡での軍翼賛政党USDPの集会で21日、キンイー総裁が同地域内での暴力の横行を指摘。国民防衛隊PDFは無学であるとし、カチン武装組織に利用される危険性があるためアクセスを遮断していると述べた。PDF側は、無学は暴力で支配する軍の方。我々には不正義を見破る教養があると反論。

◆AA (アラカン軍) 報道官が26日から軍との停戦に入ったことを発表。ヤカイン州の住民が直面している戦闘による困難な状況を打開するべく軍との間で人道支援に関する非公式な合意を取り付けた由。停戦の期間は、軍側の合意の履行状況次第だとも。停戦合意は軍に対する抵抗と政治目標の変更を意味しないとのこと。

経済ビジネス

◆オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)グループは22日、ミャンマー事業について、2023年初頭までに撤退すると発表。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆南東部タニンダリー地域ダウェー市内で、15日〜18日までの間に少なくとも市民8人が拘束された。 拘束されたのは、路肩でミャンマーのスナック、パラーダを売る行商人や空港ロビーで搭乗を待っていた旅行者等。自宅で突如拘束された女性もいるという。1人を除いてはいまだに解放されていない。

◆エーヤーワディー地域ピャーボン刑務所の被収容者が14日、UNHCRやICRCに対し刑務所内で受けている不当な抑圧についての実態調査を行い、然るべき措置を講ずるよう要請する文書を出した。同文書で明らかにされた抑圧は、身体的暴力や暴言、食事や医薬品が十分に支給されていないことや重労働の強制等。

◆エーヤーワディ地域パテイン刑務所に昨年3月から収監されていたNLD議員3人と政治活動家8人に対し刑務所内の特別裁判所が22日、国家反逆罪及び侮辱罪で禁錮20年を言い渡した。 17日に軍評議会が全国の被収容者を多数解放したが、いまだに多くの政治囚が収穫されたままだ。

◆Voice of Mandalay (VOM) の Telegram メッセージング チャネルの管理を志願した若い女性が22 日午後 4 時、マンダレー市で逮捕された。マンダレー ストライキ委員会のメンバーが逮捕された後にこの女性の電話番号を入手した軍事政権の治安部隊が、反軍事的抗議グループであるマンダレー ストライキ委員会のメンバーを装ってこの女性に連絡し、逮捕した (Chindwin News Agency, 2022年11月25日 9:13)。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆ヤンゴン市マヤンゴン郡区マヤンゴン第3地区カンターゼーヨン通りの住居100軒程度を19日、軍が不法占拠だとしてブルドーザーで取り壊した。取り壊しの様子をスマホで撮影したり、荷物を取りに自宅に戻ろうとした住民が拘束された。 現在住民らは取り壊された自宅に戻り、家財を拾い集めているという。

◆ザガイン地域シュエボー郡レイッヤーゴン村を軍が焼き討ちし、民家30棟が全焼。 シュエボー郡内を哨戒していた軍部隊が、同村に陣営を張って駐留した後、20日に村を退去する際に村内の民家に火をつけたという。

◆ザガイン地域チュンフラ郡内の総住宅数約200棟のカワーデー村を21日、軍が焼き討ち。火の手は村全体に広がり午後9時現在も燃え続けている。 タゼー郡ナヌィントー村にも軍が侵入し駐留。 軍部隊が侵攻して来たことで、両村の住民合わせて約7000人が村を離れて避難している。

◆ザガイン地域キンウー郡ソージー村、タナッセイン村、マダウンジー村、シュエカー村を21日、軍が焼き討ち。18日〜19日にかけてパウンレーゴン村の民家136棟に火をつけ、70代の住民を火中に投じて焼殺。90代の住民も重火器の砲弾を受け死亡した。

◆SAC部隊は、過去数日間でザガイン地方域ザガイン郡区の 3 つの村を焼き払い、883 軒の家屋を破壊し、約 4,200 人の住民が避難を余儀なくされた。 抵抗勢力の強い地域での焼討ちは、SACの重要な戦略だ。

◆マグェー地域パウッ郡サテイン村で22日夜間、軍部隊が焼き討ちを開始。翌23日午前7時25分に再開。現時点で民家約20棟が焼失。 近隣の村の住民合わせて5,000人が22日に村外の安全な場所に退避したという。

◆カチン州パーカン郡タウンコー村のサッカー場近くで23日、軍とカチン独立軍KIAとの間で戦闘が発生。軍が同村に重火器を撃ち込んだため住民1人が死亡、少なくとも10人が負傷した。同村のほか、近隣のカウンサン村、カインジャウン村等の住民約1,000人が村を離れ、避難している。

◆マンダレー地域ピージーダゴン郡K地区第9区画及びチャンミェーターズィー郡の住宅1200棟が24日、軍によりブルドーザー等で取り壊された。借地権、使用権について問題のない住宅だった。 荷物や家財を運び出す猶予も与えられなかったという。

◆ザガイン地域カンバルー郡南部の農村を16日〜22日にかけて軍が侵攻。家屋の接収、地雷の埋設、放火などを行ったため、チャウッタイン村、チースー村等、8村の住民数万人が避難を余儀なくされている。

◆ヤンゴン地域ミンガラードン郡ピンマービン村落区サンターマーディ地区の住宅約500棟を25日、軍用地を不法占拠したとして、軍と警察200人がならず者約100人を伴ってブルドーザー4台で取り壊した。 取り壊しの行為者に対し、どこの組織から派遣されたのかを尋ねた住民女性と2歳の息子が逮捕された。

◆カレン州コーカレイ郡で軍とカレン民族解放軍(KNLA)との間で22日頃から戦闘が激化。ドーナ山麓のコーヌエ、コームー、チャウッサーイッコン村の住民約400人(うち200人が子供)が退避。 1日〜24日にかけて戦闘が21回発生。 先月、コーカレイ市の奪還戦が起こってから7,000人の住民が避難している。

◆ザガイン地域キンウー郡ミットー村を26日、軍が襲撃し65歳の住民男性1人を銃殺し、民家に火をつけた。カンティッ村に移動し19歳のPDF隊員を銃殺した。 15-23日にかけて、9歳と5年生の子どもを含む住民10人が軍により殺害された。 11月にキンウー郡全域で焼き討ちや空爆により多数の民家が焼失した。

平和的抗議・CDM

◆ザガイン地域カニー郡の市民が自主運営する学校で、学芸会が開催され、保護者観覧のもと生徒によるダンス等が披露された。同校では、教員23名が幼稚部から10年生までの計470名の生徒の学習指導を行っており、進級試験の他、運動会等の行事も実施されている。

◆NUGが運営する臨時基礎教育学校、ヤンゴン市ティンガンジュンのIBEST校に通う生徒の個人情報が軍がプロパガンダを展開するテレグラム・チャンネル上に流出。学校側は、急遽休校にする措置を取った。

武装抵抗・PDF・戦闘

◆チン州ファラム郡ティーボワル村の軍基地近くで15日、軍とチン民族防衛隊CNDFとの間で戦闘が発生。軍側は戦闘機2機、ヘリMi35機で空爆や機銃掃射を行った。19日にも激しい空爆があり、ミャンマー史上最悪の攻撃だとCNDFがコメント。

◆東部カレン州パープン市の軍基地をカレン民族解放軍KNLAが襲撃し、軍側兵士6人が死亡したとカレン民族同盟KNUのメディア、ムトロー・ニュースが報じた。同メディアによれば、現在KNLA第5旅団と軍側の国境警備隊BGFとの間で戦闘が激化。1996年に軍に攻略された基地を KNLAが奪回したという。

◆カレン民族同盟KNUの統制下にあるカレン州チャーインセイッチー郡パヤートンズー所在の鉱山の第1、第2鉱区を22日、軍が空爆。建物が損壊したが人的被害はなかった。16日にも第6鉱区が空爆を受け中国人3人が死亡している。軍報道官は、同鉱山が地域の安全を脅かしていたため爆撃したと説明している。

◆ザガイン地域キンウー郡モンフラ村を軍評議会が23日、北西部軍管区司令部のヘリコプターでMi-35で攻撃。これにより国民防衛隊のメンバー1人が死亡。4人が行方不明。住民にも死傷者が出ている。

◆ヤンゴン市北ダゴン郡区第45地区の電力局で、25日午後7時にリモート爆発装置2発を爆発させることに成功したと都市ゲリラ組織のHuman Rights Defenders及び兄弟同盟が発表した。

◆22日、カレン州のMyawaddy-Waw Lay道路で、軍事政権が重砲でカレン民族解放軍 (KNLA) の特殊部隊Cobral Columnの輸送車を攻撃し、20 歳の女性同志を含む 3 人の同志が殺害された。軍事政権は、先月カレン民族解放軍に奪われたThebawboベースキャンプを奪還するために、Cobral Columnに対して激しい攻撃を開始していた (Chindwin News Agency, 2022年11月23日 19:48)。

国際関係

◆ハリス米副大統領は18日、プラユット・タイ首相とのバンコクでの会談の中で、深刻化するミャンマー危機について言及。クーデターを起こした軍の蛮行や人権侵害を強く非難し、アメリカ政府はミャンマー市民と共にあると明言。 この後予定されている比大統領との会談でもミャンマー問題に触れる予定。

◆ASEANは、ミャンマー国軍の排除対象拡大し、国防相会議に招待せず。いままでASEANは、首脳会議と外相会議に限り軍事政権代表を排除していた。

◆現在ロシア・ソチで開催中の原子力技術開発関連の国際フォーラムに軍事評議会の指名する電力大臣と技術大臣が出席。軍事評議会の代表団は、Rosatom社会長と個別に面談し、原子力発電所建設にかかるフィージビリティースタディのためのMOUに署名。

◆軍が中国から購入した中国製戦闘機FTC 2000 G・ 6機が22日〜24日かけて中国雲南省シーサパンナ空港からシャン州ナムサン空軍基地に到着予定。1機の価格はおよそ850万米ドル。マンダレー地域ダダーウー空軍基地所属の攻撃機A-5のパイロットが、中国でFTC 2000 G 操縦訓練に参加したという。

◆日本ミャンマー協会会長の渡辺秀央元郵政相がミャンマー を訪れ、クーデターを起こした国軍No.2のソーウィンと面会。ティラワ経済特区開発や日本の投資促進を話し合い、記念品を交換したと国営紙が報道。

◆軍企業Myanmar Economic Holdings(MEHL)の運営する海運会社ファイブスターラインの船舶がカタールのハマド港に入港したとの情報を受け、W杯開催国のカタールに対し、人権団体Burma Campaign UKが入港を認めないよう要請。 カタールはミャンマーの人権に関する国連の非難決議案に賛同した国の一つ。

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