25/DEC/2023-04/JAN/2024#WhatsHappeningInMyanmar

2023年12月25日から2024年1月5日までの12日間にミャンマーで起きたことです。

コーカン地域で軍事政権司令部が降伏
MNDAAは2023年11月24日にラウカイに向けて戦闘していると発表、12月27日には北シャン州コーカン地域に非常事態を宣言した。中国政府は自国民にただちにこの地域から避難するよう勧告した。そして、2024年1月5日、軍事政権軍はコーカン自治区のラウカイ地域作戦司令部を大量の兵器・弾薬とともに同胞同盟軍に明け渡して降伏し、6人の准将を含む2,389人の兵士とその家族4,000人以上は安全にシャン州の東北地方軍司令部があるラシオへと移送された。
統一ワ州軍(UWSA)が初めて軍事作戦に加わり、北部同盟軍とともに、中国との国境にあるホパン市を占領した。
軍事政権軍はラウカイの拠点基地防衛のために、この間、周辺への激しい砲撃・空爆をつづけ、多くの住民が死傷し、建物を破壊され、避難を余儀なくされた。

▼軍事政権の空爆・砲撃は、シャン州、ラカイン州ザガイン地方域バゴー地方域でも行われ、住民が死傷し、建物が破壊され、避難を余儀なくされた。
▼国連調査によると、クーデター前の約19倍にあたる1,860万人(全国人口の3分の1)が人道支援を必要とし、国軍の弾圧などで200万人以上が国内避難民化した。

▼軍事政権のヘリコプターが、カチン州でKIAのミサイルで撃墜された。

▼軍事政権は受刑者9652人と外国人114人を恩赦、政治囚の解放は少数だった。
▼軍事政権の拷問と医療拒否によって、2023年に16人の政治犯が死亡した。

▼NUGは「ひとつの中国原則」への支持を表明した。
中国は空爆で中国人が死傷したこと、ミャンマーからの砲弾が落下して住民が負傷したことに強い不満を表明し、国民の安全を守るためにあらゆる必要な措置をとると述べた。

インドネシアのアチェで、数百人の学生がロヒンギャ難民の一時避難所を襲撃、政府は安全な場所に避難させた。
タイ当局はミャンマー政権に対し、カレン州のタイとミャンマー国境における詐欺・人身売買ギャングの取り締まりを要請した。

目   次

国内情勢

◆22~24日に中国雲南省の省都・昆明で行われた中国の仲介による軍事政権と三同胞同盟との協議は、双方の要求に大きな隔たりがあり、成果を上げられなかった。関係筋によると、双方は1月に3回目の協議を再開することで合意した。

◆軍事評議会、10月31日から2カ月間で不法入国中国人、1万2316人を強制送還。

◆27日、MNDAAはコーカン地域に非常事態を宣言し、高速道路に戒厳令を発令した。その翌28日、中国は、安全のため国民が直ちにミャンマー北部から出国するよう強く勧告した。一方26日、軍事評議会は中国資本の中信グループ会社と、チャウピー経済特区および深海港プロジェクトの契約を締結したと発表。

◆30日、MNDAAはラウカイ市在住の住民・外国人に、軍事政権の空爆・砲撃から身を守るために安全な場所へ避難するよう勧告。

◆事実上すべての陸路が閉鎖または戦闘中のため、航空補給/増援がSACの唯一の現実的な選択肢である。 ここ数週間でシャン北部全域で多数の民間人が空爆と砲撃によって殺害され、多くの住宅や宗教施設などの民間インフラが破壊された。 これは勝利の戦略ではなく、絶望と狂乱の戦略だ。

◆ 2024年1月1日、NUG外務省が「中国に対する国民統一政府の立場」を発表。「一つの中国という原則を尊重する」など。

◆1027作戦の結果、300の詐欺センターが閉鎖され、4万人以上が中国に送還された。 MNDAAの彭徳仁司令官の新年の演説では、三同胞同盟が1000人以上の捕虜をとらえ、MNDAAが軍事独裁政権打倒への取り組みを加速させていると述べた。

◆4日の独立記念日式典で、ソーウィン国軍副司令官が2024年の国勢調査実施について「計画は進行している」と強調。また、軍事政権は独立記念日に合わせ、刑務所などに収監されている地元の受刑者9652人と、外国人114人に恩赦を与え、解放すると発表した。受刑者大量恩赦の動きは、軍事政権が軍の人的資源の急激な減少を受けて、囚人を徴兵し、前線に送られるよう訓練する動きと一致する。

◆5日、ミャンマー国軍はコーカン自治区の司令部をMNDAAに明け渡し、シャン州北部の中国との国境沿いに広がる同自治区の首都ラウカイ町をコーカン族軍に完全支配させた。敗北した政権軍は、武器と弾薬をMNDAA軍に引き渡し、シャン州の東北地方軍司令部があるラシオに家族とともに避難した。

◆5日、シャン州北部のホパン市解放宣言。第一特別行政区人民政府が正式に行政を引き継いでいることを発表し、自軍に規律を徹底。

◆ミンアウンフラインがネピドーでワインを飲み食事をしている間、彼の軍隊とその家族は、同胞同盟の連合軍のなすがままに閉じ込められている。

◆次々に明るみになる邪悪な裏側: シャン州コーカン地域の中国国境近くで活動するオンライン詐欺シンジケートは、年間 140 億米ドル以上を稼いでいた。これらは、ミャンマー軍と密接に関係し、ミャンマー軍によって保護されている 4 つの家族によって運営されていた。

経済ビジネス

◆16日のNUCCの声明によると、経済制裁にもかかわらず、10月から今月初めにかけて、リベリア、パナマ、ベトナム、マレーシア、インドネシア船籍の12隻の石油タンカーがミャンマーへ燃料輸送を行った。船のほとんどはミャンマーに向かう前にシンガポールに寄港していたという。

◆25日、ミャンマー中央銀行は、アジア向け輸出代金の45日以内入金を30日に短縮し、即日実行。ミャンマーは2021年の政変以降、欧米からの経済制裁などの影響を受け、深刻な外貨不足となっている。

◆エーヤワディー地方域パテインで12月に中国の縫製工場が閉鎖され、約3,000人の労働者が失業し補償もない。 閉鎖原因は電力供給不足、発電機用の燃料購入の困難、需要の欠如、原材料不足による。Myanmar Garment Manufacturers Association加盟全国871社中271社は閉鎖された。

◆25日、NUGはミャンマー商工会議所連盟に解散命令を出した。

◆26日、国民統一政府NUGの春の開発銀行が、カチン独立軍KIA及び国民防衛隊の合同部隊が攻略したザガイン地域コーリン市に間もなく実店舗の一号店の営業を開始する旨を発表。同銀行は、NUGがインターネット上で営業する銀行で、対面の店舗はなかった。

◆チャウピュー経済特区深海港計画が再始動へ、中国CITICなどと26日に調印式。

◆ミャンマーが在外国民に課税することに対して、人材受入れ企業関係者は「納税が軍の資金源になる」などと問題視しかねない投資家や人権派の反応を警戒。試算=在日ミャンマー人 約 7万人で月1,000円→月 7,000万円、年8.4億円、正規滞在者が約200万人いる在タイだと、月3億バーツ(約12億4000万円)。これが軍の手に渡る事になる仕組み。

◆1027作戦とシャン州北部における中国の投資プロジェクトのマッピング。

人道問題戦争犯罪

◆26日夜、ミンアウンフラインの武装飛行機がコーカン市西部区大水塘街の民間居住地に毒ガス爆弾を投下し、地元のビルマ族10人が中毒となり、そのうち毒ガスを吸った子供2人が死亡した。

◆12月の国連OCHA報告によると、1860万人(人口の3分の1)が人道支援を必要とし、クーデター前の約19倍。国軍の弾圧などで200万人以上が国内避難民化した。

軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力

◆マンダレーで、21日から24日にかけて市民12人を手当たり次第逮捕。

◆軍評議会は、モン州タンビューザヤッ郡の住民を国民防衛隊PDF支援の疑いで恣意的に拘束しており12月だけで少なくとも50人が拘束されている。拘束された住民は軍の尋問所で3日間炎天下に放置等の拷問を伴う尋問を受けた後、チャイマヨー刑務所に移送されている。解放された住民はほとんどいないという。

◆25日、シャン州コーカン自治区の主要都市ラウカイで、ミャンマー軍の砲撃により市民30人以上死傷。

◆死刑判決を受けた2人の政治囚が、刑務所内で治療を受けられずに死亡した。エーヤワディ地方域パテイン刑務所で、コサンリンサン氏が亡くなった。政治犯ネットワーク-ミャンマー( Political Prisoners Network – Myanmar) は、軍事政権の拷問と医療拒否によって、2023年に16人の政治犯が死亡したと報告している。

◆2024年1月4日、ミャンマー 独立記念日にあわせ受刑者9600人余を恩赦。AAPPによると、恩赦対象の9600人余りのうち、政治犯は少数という。マンダレー市長のイエルイン氏らが釈放された。2021年に反体制デモの取材中、逮捕されたフォトジャーナリストのKaung Sett Linさん(27歳)が恩赦で釈放された。ミャンマーのモデルThinzar Wint KyawとNang Mwe Sanが解放された。インセイン刑務所から、100人以上の政治犯と18人の外国人囚人を含む合計2,400人以上の囚人が釈放された。NLD政権時代のヤンゴン地域社会問題相の妻によれば、インセイン刑務所から解放された900人のうち505条等で収監されていたいわゆる政治囚は135人のみ。マンダレー中央刑務所は4日午後、恩赦した人々の釈放を開始した。4日にバゴー地方域Pyay刑務所から100人以上の囚人が釈放されたが、その中には政治犯は1人だけだったという。

◆4日午前6時頃、ラカイン州スィットゥエー中央市場にパウットー郡から干し魚や野菜を売りに来た行商人少なくとも20人を、軍兵士らが拘束し車両で連行した。身柄は警察に引き渡され、現場に残された商品は警察が持ち去った。拘束の理由について軍からの説明はない。

軍事政権による国民・財産への攻撃

◆ラカイン州ミャウウー郡に拠点を置く軍作戦司令本部指揮下の第540, 377, 378軽歩兵大隊、第31警察大隊が25日、重火器で砲撃したことで歴史遺産のミャウウー考古学博物館及び僧院3棟が損壊。アラカン軍AAは世界遺産登録を目指す歴史的建造物を故意に狙った許されざる行為とし徹底抗戦の構えを示した。

◆シャン州北部ナムト25日、ゥー市第3地区ボージョウ通り在住の住民男性2人が、軍の空爆により自宅前にて死亡。 23日にも軍の放った重砲により同市内の9歳の子どもが死亡。住民5人が負傷した。負傷者らは現在ラショー病院で治療を受けているという。

◆25日、ザガイン地域シュエボー郡ニャウンビンター農園に駐留する兵員100人程の軍部隊が、ミンスィー村、スィンイン村、ガドーセイッ村に侵攻。イェーウー郡でもディペーイン市内から出動した軍部隊が23日、複数の農村を襲撃。両郡合わせて10村余りの住民数千人が避難を余儀なくされている。

◆26日、ラカイン州ミャウウー郡北部で、軍が120mmの重砲を市民の暮らす集落に向けて撃ち込んだ。これにより子ども4人を含む市民6人が死亡。避難民キャンプの避難民5人が負傷した。

◆28日、地元住民が生中継した軍事政権による中国との国境都市・北シャン州ラウカイ市への空爆ビデオ。 容赦ない空爆は、数え切れない人々が家を失い、市内のインフラは深刻な被害を受け、電気や水道の供給が途絶え、道路も通行不能となった。民間人は仮設の避難所への避難を余儀なくされている。

◆2024年1月3日午前11時頃、軍評議会軍がザガイン地域ティーチャイン郡ドービン、チュー山麓、ウェージー(トーマ)村に向けて戦闘機から3回爆弾を投下したことで、住民男性3人が死亡、4人が負傷した。昨年11月8日よりティーチャイン郡内で軍とPDFとの間で激しい戦闘が続いており、軍は少なくとも150回に渡り空爆を行った。

◆4日、ザガイン地域タゼー郡セインナン村の学校付近を軍評議会が戦闘機で空爆。この空爆で5歳の子供を含む女性4人が死亡。女性4人が負傷した。周辺で戦闘は起きていなかった。近隣の村の住民約3000人が避難。

◆4日午後3時頃、バゴー地域ピー県パウンデー郡ティッポウッ村落区タウンカマウッ村を軍評議会軍の兵士約20人が襲撃。民家20棟、籾倉2棟が全焼。村の住民59人が住居を失った。襲撃を受け、地元国民防衛隊が抗戦。最終的に軍は撤退。

平和的抗議・CDM

◆26日ヤンゴン某所に基礎教育学生同盟が、治安部隊の厳しい目をくぐり、軍事独裁に反対する横断幕を掲げた。

◆激しい戦闘が続く東部カヤー州メーセ第8避難民キャンプに開設された自主運営学校の様子。児童数250人、教員数16人。教材と校舎の不足により授業が行われているのは7学年までのみ。州全域で約400校が自主運営されており、ボランティア教員3500人が指導にあたっている。生徒数は4万人超

武装抵抗・PDF・戦闘

◆パラウン州解放戦線(PSLF)とその軍事部門TNLAが、世界的に有名な鉱山都市ナムトゥー(နမ်မတူ)を占領。

◆コーカンMNDAA は、軍事評議会の地域戦略司令部であり国境防衛隊(BGF)の拠点であるラウカイへの本格的な侵攻を開始した。 抵抗勢力が鹵獲した多連装ロケットシステム(MLRS)と重砲が、初めて登場した。

◆2024年1月1日午前3時、軍事政権はシャン州北部ラシオ市を防衛するため、周辺にある雲乃大橋を爆破した。

◆2日午後1時、マグェー地域パコックー市内の軍営インワ銀行に対し、地元市民防衛隊Special Guerrilla Force(SGF-Pakokku)がドローンを使用して爆弾を投下。警備にあたっていた軍評議会軍兵士3人が死亡した。

◆MNDAAは、軍事政権から接収した戦車をシャン州北部の前線に配備していると伝えられている。

◆3日午前11時59分頃、カチン州Waingmaw郡区でKIAは、FN-6肩搭載ミサイルによって、ライザ近郊の陸軍基地に食糧を届けていた陸軍のヘリコプターを撃墜した。墜落したヘリコプターには軍事評議会のメンバー6人が乗っており、全員が死亡した。

◆4日、シャン州北部ラウカイ郡区にある軍評議会軍地域司令部傘下の残存部隊が降伏し、降伏した軍評議会メンバーと家族は東北地方軍司令部のあるラシオに移送されている。現地の軍事情勢に詳しい関係者は5日、MNDAAがラウカイを制圧したと発表したことをRFAに認めた。昨年10月27日以降、MNDAAは1027作戦のもと、ラオカイへの移動に欠かせないルートを全て破壊。軍は空爆等で抗戦したが兵站ルートが遮断され補給不能となった。

◆5日、コーカン軍MNDAAは、シャン州北部特別区のコーカン市を奪還し軍を完全に排除したと発表。市内にいた軍評議会の軍人及び家族は兵站ルートを断たれたためMNDAAと交渉の末、投降。武器をMNDAAに引き渡す動画がSNS上に流れている。MNDAAは投降した軍関係者2389人を安全な場所に移動させたと述べている。

◆5日、ミャンマーの民族軍の中で最も強力なUWSA (United Wa State Army;統一ワ州軍)「ワ」の部隊が1027作戦以来初めて軍事作戦を開始し、北部同盟とともにミャンマーと中国の国境にあるホパン市を占領した。

◆5日、ミャンマー軍ラウカイROC (地域作戦司令部) と複数の軍事政権歩兵部隊は、約2,389人の兵士とその家族が三同胞同盟に降伏するのを目撃した。 1027 作戦の71日目は、再び壮大でエキサイティングで歴史的なものとなった。

◆ラオカイで降伏した軍事評議会のメンバーとその家族4,000人以上がラシオ等へ向かっている。

国際関係

◆インドネシア最西端の州で数百人の大学生が、100人以上のミャンマーの少数民族ロヒンギャ難民のための一時避難所を襲撃し、迫害されているロヒンギャ難民を強制退去させた。インドネシア政府はロヒンギャを安全な場所に連れて行った。

◆28日、中国は自国民に、ミャンマー北部からの早急な退避促した。

◆29日、中国外務省はミャンマー側に「極度の不満」「重大な苦情を申し立てる」。 先週昆明での会談が失敗に終わった後、ラウカイでは、ミャンマー軍が空爆を開始して病院を攻撃し、中国人を殺害するような暴力が急増した。

◆タイ当局、ミャンマー政権に対し、タイ・カレン州国境での詐欺・人身売買ギャングの取り締まりを要請。

◆「3台はミャンマーの軍関係者に売ったよ」自衛隊高機動車が海外に密売される驚きの手口。「部品をバラバラに運んでこっそり組み立てる」「自衛隊車両とわからないよう車体を白く塗り替えることも」。

◆1月3日、中国雲南省の南伞镇(なんぺいちん)にミャンマークーデター軍の砲弾が着弾して死傷者。

◆4日、中国政府は、ミャンマーでの戦闘で中国人に死傷者が出たことに「強い不満」を表明し、国民の生命と財産を守るために「あらゆる必要な措置」を取ると述べた。3日、ミャンマーからの砲弾が国境を越えて中国雲南省南傘町に落下し、爆発して複数の人が負傷したと報じられた。

◆中国政府・ミャンマー軍  “停戦”に向けた協議か。国境地帯で少数民族との戦闘激化。ミンアウンフライン総司令官は5日、ネピドーで中国の孫衛東 外務次官と会談。

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