2023年4月9日から15日までの1週間にミャンマーで起きたことです。
▼11日、ザガイン地方域カンバルー郡区パズィージー村で住民多数が虐殺される戦争犯罪が起きました。地元住民の行政事務所開設を祝う集まりを、軍事政権のジェット戦闘機、戦闘用ヘリコプターが襲撃して空爆と機銃掃射を加え、168人(男性121人・女性47人)、うち18歳未満の子どもが男子8人・女子11人の遺体が確認されています。6か月未満の赤子、妊婦も含まれ、重傷者も多数います。
⇒詳しくは、「軍事政権の空爆で168人死亡、負傷者多数」(https://savemyanmar-sakura.jp/airstrikes-at-11-april/2023/04/18/)を御覧ください。
▼チン州の学校近くにも10日午前11時、軍が戦闘機で爆弾2発を投下し、学校長、キリスト教の牧師を含む地元住民9人が死亡しました。
目 次
国内情勢
◆国民統一政府NUG国防省は、アラカン軍AAが創設14周年を迎える10日、AAに祝辞を送った。NUGは5項目から成る祝辞の中で、共通の敵、軍評議会を殲滅させるための共闘を呼びかけた。AAと同盟関係にあるTNLAとMNDAAもAAへの祝辞の中に、軍評議会を倒すべくあらゆる抵抗勢力と手を携える方針を記した。
◆ミャンマー軍事政権トップは、タイに対して、自分の娘の名前を麻薬、マネーロンダリング事案から削除するよう要求している。
◆シャン州北部のラショー市にあるヤンタン・パゴダの商店街と駐車場の近くで強力な爆発が起き、4 人が死亡した。 爆発は13日午前11時30分頃に発生した。いまだ、犯行声明を出した組織はない。軍の保安部隊が市内中を捜索している。
◆マンダレー市のThingyan水かけ祭りの仮設舞台で集団ダンスが演じられていた途中で停電が発生し、ダンスが中断。この様子を写したビデオが、ソーシャルメディアの口コミで広まった。
◆NUG国防相は、軍の空爆で 160 人以上が死亡したパズィージー村の行政事務所開設は、秘密の軍事会議ではないと述べた。
◆14 日、マグウェイ地方域Minhla郡区にあるNLD幹部の Kyaw Thura の家は、軍事政権によって封鎖された。Kyaw Thura の逮捕状は、扇動罪に関する刑法第 505 条 (A) およびテロ対策法第 50 条 (J) に基づいて発行された。
経済ビジネス
◆ミャンマー全土で燃料が不足。ガソリンと軽油の供給が困難。ヤンゴン市内の一部ガソリンスタンドは正月の長期休暇を目前に商品確保が追いつかず営業休止に追い込まれている。営業中の店舗でも長蛇の列ができており、店側は販売に制限を設けざるを得ない状況。価格も高騰。
◆ENEOSホールディングス株式会社は4月13日「(開示事項の経過)当社子会社によるミャンマー連邦共和国における石油・天然ガス開発事業からの撤退に関する同国政府の承認について」で、ミャンマーにおける石油・天然ガス開発事業から撤退したと発表。
人道問題
◆東部カヤー州で激しい戦闘が継続する中、軍は交易に使用される州内道路上で検問を強化しており、軍の許可なしに食料を輸送しているなどとして車両ごと拘束されるケースも。避難民は、食料が届かず食料不足に苦しんでいる。戒厳令発令後の2ヶ月で戦闘が82回発生、避難民は2万6千人増加。
軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力
◆政治犯支援協会AAPPの11日付発表によれば、軍事クーデター発生後の2年余りの間に軍により死刑判決を受けた民主化運動家の数は155人に上る。ほとんどが若者。75%がヤンゴン市インセイン刑務所に収監。 罪名はテロ防止法違反や殺人罪。 AAPPは、死刑宣告を武器として利用していると軍を批判。
軍事政権による国民・財産への攻撃
◆2日〜7日に渡り、ザガイン地域カター郡ぺーランゴン村、チュンドーゴン村、ピンレービン村を軍が占拠し、焼き討ち。4日〜8日にかけて空爆。ほぼ全ての住宅が全焼した。
◆10日午前11時、チン州ファラム郡ウェーブーラ市内の学校近くに軍が戦闘機で爆弾2発を投下。学校長、キリスト教の牧師を含む地元住民9人が死亡。3人が負傷。戦闘が起きていたわけではなく、地元住民は市民に対する無差別攻撃だと見ている。9人は11日朝に埋葬された。この小さな町は、政権の空爆によって恐怖におびえ、 荒廃したままだ。
◆ザガイン地域カンバルー郡パズィージー村でのNUG主導の行政事務所開所式を北西部軍管区司令部部隊が11日、空から攻撃したと軍政党USDPのメディアが報道。地元組織によれば軍は、戦闘機とMi-35攻撃用ヘリコプターで爆撃・機銃掃射。800人の参列者のうち子供を含む100人近くが死亡したと見られるが遺体の損傷激しく確認難航。
◆NUG は、 100 人以上が死亡した Pazigyi村への空爆は戦争犯罪であり、軍事独裁体制はすぐに地上から撤去されるだろうと声明。
◆軍報道官はMRTV で、「11日にPa Zi Gyi 村で空爆を実施し、100 人以上が死亡したことを確認した。国民と政府に反対するいわゆるテロ集団PDFの弾薬庫と地雷を攻撃した」と主張。
◆ザガイン地域カンバルー郡で11日に軍の空爆で殺害された住民の遺体回収にあたっていた住民を軍北西部司令部部隊が同日夕方再びヘリで射撃。それでも犠牲者100人超のうち80人の遺体の回収と葬儀が完了。翌12日に残りの遺体の回収を試みた住民の上空を軍ヘリが旋回したため断念。正確な死者数は未確認。
◆11日の軍による空爆で100人以上の犠牲者が出たザガイン地域カンバルー郡パズィージー村は総住宅数100 軒程度の小規模な村。村はほぼ壊滅状態で、生き残った住民は全員避難。いまだに遺体が散乱した状態だが危険があり回収に戻れないため、犠牲者名簿を作ることができない。
◆15日、北西部チン州ハーカー郡フニーヤーローントール村を軍が焼き討ち。総住宅数40軒のうち4軒を除いて全焼。 チン民族軍CNAとチン民族防衛隊CDFの合同部隊と軍との間の戦闘で、チュンチョン村に封じ込められた軍部隊の救出のためにハーカー市から出動した軍部隊による行為。
平和的抗議・CDM
◆13日のヤンゴン、マンダレー、マグウェ、モーラミャイン、パテインなどの大都市では、ティンジャン祝日の前夜なのに、無言の抗議が行われているように、外に出ている人はいない。
武装抵抗・PDF・戦闘
◆8 日早朝、ザガイン地方域にある PDF の一時的なベース キャンプが軍事政権軍によって襲撃され、ミャンマー北西部のザガインの町から 7 マイル離れたOakphu村にある地元 PDF の大量の武器および装備が押収された。に参加しないよう警告。
◆軍評議会がヤンゴン市ピー通り沿いのヤンゴン地域議会前に設置した水かけ祭りの中央ステージを軍への抵抗組織Dark Shadowが8日、リモート式時限爆弾で爆破。9日にもサンジャウン警察署前の仮設ステージを爆破。軍が開催を計画する水かけ祭りへの反対を示す行動。市民にも祭りに参加しないよう警告。
◆ミャンマー軍の指揮下にある国境警備隊はShwe Kokko周辺地域の支配権を取り戻し、タイ当局は、9日に5,000人の避難民をShwe Kokkoに送り返した。
◆4月13日朝、チン州Ha Kha郡区から 17 マイル離れたチョンキョン村で、チン革命統合軍と軍事評議会との間で激しい戦闘が勃発し、軍事評議会が空爆を行った。 軍事評議会の縦隊はチン国防軍によって繰り返し攻撃され、約30人の軍事評議会兵士が戦死し、5 台の車が道路に放置された。
国際関係
◆タイ入管が、治療のためにメーソット市に渡った国民防衛隊PDFメンバー3人を拘束し、身柄をミャンマー軍傘下の国境警備隊BGFに引き渡した後、3人の死亡が伝えられた件で、このタイ入管の措置が拷問禁止・強制失踪関連法及びジュネーブ条約違反に当たるとタイ・大衆党が批判。
◆11日、グテーレス国連事務総長はザガイン地域カンバルーでの軍による空爆に関する声明を発表。 犠牲者の家族に対し深い哀悼の意を表するとともに、あらゆる形態の暴力を非難し、国際人道法に従って民間人は保護されなければならないと述べた。
◆英国は、国連安全保障理事会に対し、学校の子供たちが踊っていた村の集会所へのミャンマー軍の空爆に関する会合を呼びかけた。130 人以上が死亡するクーデター以来最悪の攻撃となった。 この虐殺は国際法に違反しており、まったく弁護の余地はない。
◆ASEAN 議長国のインドネシアは、カンタブルで数十人の民間人を殺害したミャンマー軍の空爆を強く非難した。
◆シンガポールは、ザガイン地方域におけるミャンマー軍による最近の空爆を強く非難するインドネシアによる ASEAN 議長声明を支持する。民間人へのいかなる攻撃も非難すべきものであり、容認することはできない。
◆14日午後4時から、日本でミャンマーのテロリスト軍に対してただちに行動するよう要請する緊急院内集会開催。パズィージー村への軍事政権による空爆の詳細報告もなされた。
9-15/APR/2023 #WhatsHappeningInMyanmar