2022年10月9日から15日までの1週間にミャンマーで起きたことです。
▼NUGは政府会議で大統領代行が「テロリストの軍事評議会がテロ犯罪を隠蔽し、偽の選挙を出口として強制するために躍起になっている事実に最後まで抵抗することは、私たち国民一人一人の責任だ」と演説し、2023年に民主化革命を成功させる計画を策定したと発表しました。
▼連日戦闘が起こっているカレン州で、現在35万人余りの住民が避難生活を余儀なくされており、うち半数が18歳未満の子ども。医薬品等、生きるために必要な物資が著しく不足しているという。また、クーデター以降、武力紛争地域では若い女性の死亡が増えています。
▼ヤンゴン国際空港の入管、警察、軍情報部、税関から成る出国者調査委員会は出国者に対し、CDM参加公務員名簿と照合し調査を実施しており、9日朝も2 人が逮捕されました。
▼軍は、ザガイン地方域、マグウェ地方域の村々への襲撃をつづけています。ザガイン地方域では村を襲撃する際、PDFが村を防衛するために敷設した地雷地帯を、拘束している住民を「人間の盾」として先に歩かせ、進軍しました。
▼10月10日はダディンジュ満月の日です。この灯明祭に合わせて各地でキャンドルデモ、軍事政権への抗議行動が実施されました。
目 次
国内情勢
◆マンダレーでは、Kyaw Myo Tun 軍曹が軍事評議会の兵士間の銃撃戦で死亡した。銃撃犯のアウンアウンアウン軍曹は逮捕され、宮殿に拘留された。
◆NUG大統領代行「テロリストの軍事評議会がテロ犯罪を隠蔽し、偽の選挙を出口として強制するために躍起になっている事実に最後まで抵抗することは、私たち国民一人一人の責任だ」と演説。2023年に民主化革命を成功させる計画を策定したと発表。
◆シュエマン氏が自ら率いる連邦改善党(UBP)の解党を発表。幹部の高齢化によるものとの説明。元国軍大将。 SPDC政権時代にはタンシュエ氏、マウンエー氏に次いでナンバー3。軍系翼賛政党USDPの元副議長。 NLD政権時代にはスーチー氏と緊密に連携。下院議長を務めた。
◆軍司令官は、全土停戦協定(NCA)署名7周年を迎えた15日に行った演説の中で、少数民族の要求のうち実現可能性があり、合理的な項目を満たすべく2008年憲法の改正も視野に入れると述べた。 ワ州統一軍(UWSA)のような勢力の大きいNCA未署名組織の要求に応えることを想定した発言だとする見方もある。
経済ビジネス
◆トヨタがミャンマーで自動車生産を開始。
◆中国とミャンマーを結ぶ鉄道網が着々と整備されていて、インド洋へ貨物の大動脈となる。
◆国境地帯にプロジェクトで生まれた“新都市”には多くの中国人が居住し、オンラインカジノや人身売買、資金洗浄など、犯罪の温床にもなっているとの指摘。
人道問題
◆今年6月よりザガイン地域カンバルー郡北部の7村に軍が侵攻。現在までに住民計約9千人が退避している。 避難先で住民が蛇に噛まれる事故が相次いでいる。4ヶ月間で少なくとも26人が噛まれ、うち3人が死亡。 アクセスの悪さや軍による輸送妨害により血清等の医薬品が著しく不足しているという。
◆カレン民族系人権団体KHRGの発表によれば、連日戦闘が起こっているカレン州で、現在35万人余りの住民が避難生活を余儀なくされており、うち半数が18歳未満の子ども。医薬品等、生きるために必要な物資が著しく不足しているという。
◆クーデター以降7,158人の民間人が死亡、ザガイン管区が死者最多。死亡した民間人は、尋問センターや軍の野営地、警察の留置所で逮捕、拘束されている間に死亡した人、武力衝突が発生している地域で捕えられ焼き殺された人、戦闘中に道案内として拘束、連行されて死亡した人々。
◆クーデター以降、武力紛争地域では若い女性の死亡が増えている。マグウェ Ngape郡区で、10月6日から行方不明になっていた21歳と14歳のチン族女性の遺体が、9日に発見された。首、胸、お腹等に複数の刺し傷があり、1人は下半身裸でうつ伏せに横たわっていた。性的暴行を受けた後、殺害された疑いがある。
軍事政権による恣意的な逮捕、殺害、暴力
◆7日、タニンダーリー地域ダウェー県ラウンロン郡チャウッニーフモー村で、ダウェー大学2年生の女性(20歳)が軍製民兵ピューソオティーに拘束された。ダウェー市への移動途中に武装した同民兵の検問に遭った模様。 現在チャウッミェッフモー村の民兵基地で拘禁されており家族も面会が許されていない。
◆ヤンゴン国際空港の入管、警察、軍情報部、税関から成る出国者調査委員会が出国者に対し、CDM参加公務員名簿と照合し調査を実施。掲載者は政治関連の犯罪歴の有無、誓約書への署名歴の有無、詳しいCDMの活動状況、身分事項等について調べられる。犯罪歴ありとみなされれば軍尋問所に送られるという。
◆NLD政権下で首都ネーピードー市長を務めていたDr.ミョーアウン氏と副市長のイェーミンウー氏に対し、ネーピードー刑務所内の裁判所は、汚職容疑について禁錮3年を言い渡した。
◆ネーピードー刑務所裁判所は13日、自宅軟禁時代からアウンサンスーチー氏の警護を担当しNLD政権下でも大統領府の警備部次長を務めたアウンナインウー氏に国家機密法第3条第1項(c)違反で禁錮10年を言い渡した。7月に処刑されたジミー氏の携帯電話から連絡の履歴が見つかったことで拘束されていた。
◆ザガイン地域カレー市在住の26歳チン族男性は、先月9日に軍による検問で拘束され、軍の尋問所に連行された後、本日14日に遺体となって家族のもとに返された。背中には無数の傷があった。家族はメディアに何も語らないよう軍から口止めされているという。
◆スーチー氏の刑期26年に。約8000万円受け取った汚職の罪で新たに禁錮3年の判決。
◆拘束中の久保田徹氏に出入国管理法違反で禁錮3年の判決。 煽動罪などですでに7年の刑が判決されていたので、禁錮刑は計10年になる。
◆軍事政権、マンダレーのObo刑務所から120人以上の政治犯を他の刑務所に移送 。互いにつながりをもたせなくするため。
軍事政権による国民・財産への攻撃
◆8日ザガイン地域ミャウン郡ニャウンカーヤー村を2つの軍部隊が同時に襲撃。住民800人全員が退避。 午前8時に村に侵入した軍部隊はすぐに放火を開始。12棟が焼失。UNOCHAの10月1日付報告によれば、クーデター後、軍により破壊された家屋や建物の数は2万8千棟に上る。
◆10月12日の発表:9月8日にシャン州南部カヤー州境地域を軍第66師団が侵攻。地元PDF との間で戦闘になり、市街地や住宅街を軍が重小火器で攻撃。これにより9月29日までの間に 10歳未満の子ども3人を含む5人が死亡。14人が負傷した。
◆ザガイン地域チャウンウー郡メーテーチョー村を軍が焼き討ち。 民家70棟が消失。
◆9/30から軍第50歩兵大隊と民兵ピューソオティーの100人規模の合同部隊がマグェー地域ティーリン郡の村々へ襲撃を開始。12日にはアナウッペッ村を2度目の侵攻。13日同村のマウントゥーさんとメーロンさん宅から焼死体が2体ずつ発見された。高齢者を含む村の住人が行方不明となっており、現在捜索中。
◆モン州チャイットー郡で、チャイッティーヨー・パゴダの参拝客3人が銃撃され死亡した事件で、軍の犯行だと報じたBBC Burmese とThe IrrawaddyをSACが、「悲観主義者の手先による臆面なき詐欺行為」と非難。 カレン民族同盟(KNU)は14日付で当該事件が軍の犯行であると断定する声明を発表している。
◆マグェー地域パウッ郡ティージャウッ村を兵員約400人程度の軍部隊が襲撃。12日から14日にかけての3日間、焼き討ちが継続している。 これにより村の全住民が避難。村内の家屋の大半が焼失したと見られているが、現在も村内に部隊が滞留しており正確な被害の程度は確認できていないという。
◆11日、ザガイン地方域の村を国軍が放火、地雷地帯は拘束している住民を「人間の盾」として先に歩かせ、進軍した。
平和的抗議・CDM
◆ダディンジュ満月の灯明祭に合わせて各地でキャンドルデモ、軍事政権への抗議が実施されている。
武装抵抗・PDF・戦闘
◆7日ヤカイン州ミンビャー郡チャッスィン橋付近で軍とアラカン軍(AA)との間で重火器を用いた戦闘が発生。 翌日、同郡内のオウッカービャン地区行政長および市民4人をAA支援への関与の疑いで軍の第379歩兵大隊が拘束した。
◆ラカイン州とチン州では、軍事政権陸軍と AA が 1 週間にわたって激しい戦闘を繰り広げている。
◆10日早朝、ヤカイン州マウンドー郡のレイッヤ国境警備隊基地をアラカン軍(AA)が攻略し、基地司令官や兵士らを拘束。AAは小重火器で当該基地への攻撃を開始した。AA及びSACからの声明の発表はない。
◆11日ヤンゴン市北ダゴン郡区7番通りx8番通りで早朝に爆発事件が発生。夜間外出禁止令の対象時間を過ぎて間もなくの出来事。 9日夜間にはフライン郡区で爆発。 サンジャウン郡区バホー通り裁判所近くの交通警官詰所でも爆発が2回起こった。FLA、EGA等、複数のゲリラ組織が犯行声明を出している。
◆14日、ヤンゴン市ミンガラードン郡区所在の空軍基地に、107mmロケット砲3発を撃ち込んだとヤンゴンを拠点とする武装抵抗組織がメディアに明かした。実際に音を聞いたという地元住民の証言はあるが、被害の程度は分かっていない。
国際関係
◆ミャンマー国軍は日本政府が2017-19年に供与した旅客船3隻のうち2隻を利用し、100人以上の軍人や物資をラカイン州のブティーダウン(Buthidaung)に移送した。国軍は同地域で少数民族武装勢力アラカン軍と戦闘中。
◆記録によると、イスラエルは長い間、残忍なビルマの軍事政権を経済的チャンスと見なしてきた。
◆国軍が4月に強行した民主化活動家ら4人の死刑執行と、9月に国軍のヘリコプターによる攻撃で少なくとも11人の子どもが死亡したことを受け、米が制裁追加。
◆12日、ミャンマー民主化支援議連はASEAN諸国国会議員の連盟と共同で、ミャンマー国軍の武力中止や人道支援拡大を日本政府に要請。
その他
◆12日モン州のチャイッティーヨーパゴダの登山口付近で参拝客3人が死亡、19人が負傷した銃撃事件について、市民を狙った犯行だと軍がPDFを非難。PDF側は否定。犯人を特定するためCCTVを公表すべき。標的は料金ゲートにいた軍兵士。軍側の反撃で市民が犠牲になったとコメント。
9-15/Oct/2022 #WhatsHappeningInMyanmar