民衆の(非武装の)闘争や市民抵抗運動がなぜ必要なのでしょうか?

(by Tayzar San)

進行中の政治的・国際的変化

3回目の非常事態宣言期間が終了する2023年7月31日を前に、地上での軍事的戦いの劣勢を空爆によってなんとか食いとめている軍事政権は、各国からの経済制裁が効いて外貨不足・チャット安が進行し、国民生活が困窮の度を深めている状況を打開しようとして、政治・外交の場で新たな動きを見せているようです。

7月初めからの政治的・国際的に注目すべき動きを表にしてみました。

こうした動きを見ると、軍事政権の戦略は、一方では非常事態宣言の4回目の延長を行って抵抗勢力への攻撃・弾圧を強化しつつ、ASEANからの認知を得て政権の正当性を獲得することにあり、そのためにはASEANの5項目合意を守る姿勢を見せ、ロヒンギャ融和の姿勢を見せようとしているようです。中国は、ロヒンギャ問題でイニシアチブをとりつつ、南シナ海で対立要因をかかえるASANの海洋国への対抗軸を画策しているように見えます。

現在の政治的・国際的動きを考えるために

現在の変化を見るときに大事なことは、大局的な見方だと思います。
そうしたときに私は、Tayzar San氏の発言を思いだします。

1年前、当サイトでTayzar San氏の「独裁政権は必ず崩壊する:タイザーサン氏の確信」 を紹介しました。
彼の経歴、現在行っていることはその記事をご覧ください。
7月15日にTayzar San氏は、彼のフェイスブックに、以下の投稿をしました。
ともすれば政治的・国際的・軍事的な目の前の動きだけに目を奪われがちですが、なかなか見えにくい民衆の動きについても目を向けることが大切だと思い、以下、https://www.facebook.com/photo?fbid=6668050983252275&set=a.556955327695235を紹介いたします。

民衆の(非武装の)闘争や市民抵抗運動がなぜ必要なのでしょうか?

質問 :

今、民衆による「春の革命」において、私たちは武器をとって戦争の悪に反撃しなければならない状況に来ています。

現時点でも(非武装の)大衆運動、大衆闘争、ストライキ、市民的不服従運動は依然としてまだ必要なのでしょうか?
今後もこうした活動を続けるのでしょうか?
これらは今でも重要ですか?
本当に効果があるのでしょうか?

答え:

偉大な革命のためには、こうした大衆闘争や大衆運動が続けられなければなりません。
未来を拓くためには多くの努力が必要です。
こうした大衆の闘いは、独裁政権との闘いにおいて極めて重要であり、効果的です。

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このトピックについてもう少し説明しましょう。

テロ戦争グループは大衆闘争、大衆運動、大衆ストライキが震えるほど怖い

テロ戦争グループは大衆闘争、大衆運動、大衆ストライキが震えるほど怖いのです。独裁政権と闘ううえでの、大衆闘争や大衆運動の効果、その重要な役割を軍集団はよく理解しています。したがって、軍集団は大衆の運動を鎮圧するために、さまざまな方法で奮闘しています。

独裁政権と闘うための市民的不服従運動、大衆運動、民衆ストライキが非常に効果的かつ強力であることを、世界中の多くの国における革命過程を比較分析した多くの研究調査が示しています。

たとえば、故ジーン・シャープ政治学教授、世界有数の大学であるハーバード大学のエリカ・チェノウェス政治学教授が執筆・編集した学術書は、独裁政権と闘うためのこうした市民的不服従運動の巨大な可能性についての包括的な研究を提供しています。


ジーン シャープ (著)/瀧口 範子 (訳)『独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書』(ちくま学芸文庫、2012/8)
ジーン シャープ (著)/谷口 真紀 (訳)『非暴力を実践するために;権力と闘う戦略』(関西学院大学研究叢書 241編、2022/4)
エリカ・チェノウェス (著)/小林 綾子 (訳)『市民的抵抗:非暴力が社会を変える』(白水社、2022/12)

ミャンマーでも、ネウィンやタンシュエのような独裁者の祖父の時代でも、最も恐れ、最も聞きたくない声は「民主主義」を求める国民の叫びでした。世界でも一緒です。偉大な独裁者はみな、国民の本当の声や大衆の闘いを非常に恐れています。

「春の革命」の2つの柱

現在のミャンマー「春の革命」でも、民衆がさまざまな手法で独裁体制と闘い、さまざまな形で革命を起こしています。これらの戦い方をまとめると、大きな柱は以下の2通りだと言えます。

1.  武力抵抗闘争
2.  (非武装の)大衆闘争

言い換えれば、これら2つの柱は相互に依存しているということです。テロリスト集団を襲う左の拳と右の拳です。

いま闘われている「春の革命」の特徴の1つは、革命の両方の柱のバランスが取れており、強力であることです。したがって、この革命は「両面革命」とも言えます。

これら2つの革命の柱を戦略的に組み合わせて闘うことにより、独裁体制をできるだけ早く打倒するというすべての民衆のニーズを実現できます。

大衆闘争、大衆運動は、多くの民衆が参加できる革命的な運動

大衆闘争や大衆運動とは、独裁政権に反対する、街頭での大衆ストライキ、市民的不服従のCDM運動、オンラインや現場でのキャンペーン活動、金融的・経済的に関わらない抵抗、未購入 不使用 対話しない「ボイコット」や非協力、社会から除外する社会的懲罰、労働者・農民・都市階級およびすべての社会階級が参加するゼネスト、国際的に正当性を認知させる運動、国際的な制裁を求める運動です。

これらは、世論の圧力によってクーデターグループを崩壊させる運動であり、軍隊側の人を民衆側に移ってもらうことを含め、多くの民衆が参加できる革命的な運動の例です。

民衆が支持・補助・拍手・応援する側、いわゆる「試合を観戦するファン」になる程度では、民衆革命はできません。自分自身が「革命家」となり、さまざまな革命的手法で参加しなければなりません。それこそが「民衆革命」という言葉と一致するでしょう。

すべての民衆が参加できるために「市民抵抗運動」は、非常に重要かつ効果的な革命手法であり、大きな武器です。

圧倒的に優位な敵に対抗するうえで最も効果的な「民兵戦略」

すべての民衆が、さまざまな形で「バランスをとりながら同時に」革命に参加しているということを、国民統一政府(NUG)も、文学理論によっても、「民兵戦略」(民衆が闘う戦略) と呼びます。

自分たちよりも強力な武器を有し、圧倒的に優れた資源を持つ敵に対抗するには「民兵戦略」が最も効果的かつ最も適切な戦略であり、ここでは民衆の闘争・活動が命と同じくらい重要だということが、関連する専門家たちに認められています。したがって、「春の革命」が均衡を保って活動しつづけ、速やかに成功するためには、すべての柱が強力でありつづけなければなりません。

これらの革命の柱は相互に依存しています。何かが揺れたりして、消えてしまえば、他の柱にも多大な悪影響を与えるでしょう。したがって、国民全体がさまざまな方法を用いて、完全な戦闘態勢で軍事独裁者と対峙し、果敢に挑むべきです。民衆革命には「バランス」が必要です。

大衆闘争・大衆運動

大衆闘争・大衆運動は、邪悪な独裁政権に対する革命に全国民が参加しており、軍事独裁を認めていないこと、彼らの戒厳令の強制を認めていないこと、独裁政権に従順になってはいないことを示すために非常に効果的であるだけでなく、この独裁制を変え、終わらせるうえでも非常に効果的です。

大衆がテロ戦争グループを受け入れていないということが、オンラインや地上での大衆闘争・大衆運動、ストライキや(抵抗側からの呼びかけに応えて、お祭りの日に独裁政権への抗議の意思を示すために1日外出しない等の)キャンペーンのおかげで、世界にはっきりと伝わっていると思います。 今まで2年以上大衆闘争・大衆運動をしている民衆の熱意と勇気を、世界の人々が驚きながら尊敬し、祝っています。

道路から叫ぶスローガン(「革命は必ず成功する」など)は、テロリスト軍事グループという亡霊を追い払う行動音であり、PDFやCDMの英雄たちにとっては非常に効果的な薬でもあります。

一般ボイコット

同様に、全民衆が24時間フルタイムで参加できる経済的・金融的・社会的な種々さまざまな「一般ボイコット」が順調に続くことも重要です。言い換えれば、これは金融戦争、経済戦争です。

一般ボイコットという大衆的な方法で、テロ集団の所得・経済活動 財源を揺るがし、彼らの力を弱めることも、革命の重要な戦略です。国民統一政府 (NUG) もこの金融闘争の戦略を、特別な注意を払って実施しているようです。

NUGは現在、NUG-Payと同様に、(NUGの新しい) 中央銀行と春季開発銀行 (Spring Development Bank) などに力を入れていると理解しています。同時に、軍隊と外貨の合法的な出入り(取引)が行われている主要銀行2行が先月、国際社会から制裁を受けましたが、これによってテロ軍事グループが絶望的になったことを国民が気づいたかと思います。

「ボイコット」については誰もが知っているでしょう。軍隊が持つもの/軍隊と関わっているもの/軍隊に利益をもたらすもの/軍隊に利益をもたらす物品やサービスを使用しない・購入しない・奨励しない、テロ軍の不当な命令には従わない、税金を払わない、家族以外のお客さんのリストを報告しないなどのジェネラル・ボイコット、テロリスト軍と同じことを望む人や軍隊に加わった人たち全員を認めない・関わらないなどの社会的懲罰すなわち社会から「排除」する行動です。民衆のお金は一銭も軍側に行かせないこと、いわゆる 毒の木に水を注がないことが必要です。

同様に、軍隊にドルを提供している/軍隊が長生きするために協力している国際事業会社・組織・国に圧力をかけ、反対しなければなりません。軍事グループと協力し、利益をもたらすすべての人々に断固として反対しなければなりません。

したがって、すべての民衆がストライキに全面的に参加する必要があります。

「国民が (国王を) 嫌なら国王は耐えられない」という古い諺があります。今の軍事集団は「国王」ですらなく、ただのテロ集団です。

国民の力でこの軍事集団を打倒しましょう。

正義は悪に必ず勝つ!

Tyzar Sanは、PDFの兵士たちに向かって説明する。

かれは、春の革命を戦っている兵士たちに、大衆運動の重要性を説いています。
革命においては、PDF 軍と同じくらい民衆が重要です。

https://www.facebook.com/photo?fbid=6834278809962824&set=a.556955327695235 より。

民衆の(非武装の)闘争や市民抵抗運動がなぜ必要なのでしょうか?

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